「年下男子からのアプローチに身をゆだねそうになる…」湯山玲子編【オトナLab.】vol.7

2021.11.27 LOVE

短期リレー連載、【オトナLab.】vol.7です!

オトナ世代特有の多岐に渡るお悩みを、テレビや雑誌などで活躍するエキスパートたちが答えてくれるリレー連載。

多数の質問の中から、エキスパートが自らお答えするものをセレクトしました。

vol.7でお答えいただくのは、著述家の湯山玲子さんです。

「若い彼の積極的なプッシュに身をゆだねそうになる私はダメ…?」

(質問者/45歳・会社員)

夫45歳、息子10歳の3人家族でメーカーで管理職をしています。1~2年ほど前から29歳の男性部下から好意を寄せられ困惑しています。そもそも人妻ですし、彼は部下で、親子ほどの年の差があります。上司として人懐っこく手のかかる年下男性を可愛いと思って接していましたが、いざ好意を告げられると気になってしまい仕方がないのです。最近は私が意識していることを知って、ランチに誘われたり、ペアを組む仕事に志願してきたり、打ち合わせと称して2人きりで会えるシチュエーションを増やしたりと今まで以上にグイグイ迫られています。つとめて冷静に接してはいますが、このままだといつか彼を受け入れてしまいそうで怖いのです。

家族を壊すほどの勇気は今のところありませんが、この先、子育てが一段落したら…と考えてしまう自分がいます。そこまで若い彼の気持ちが変わらない保証はありませんが、低い確率に期待してしまうのです。まとまりのない話で申し訳ございません。何かアドバイスがございましたらよろしくお願い致します。

 

女性、45歳。更年期も性欲も同時にやってくる年齢。

湯山先生の大人VOICE▼▼

世の中には不倫を全うできる人と、できない人がいます。不倫を全うする、というのは、言い換えれば、家庭を持ちながら、性愛関係を家庭以外のパートナーと育む、ということで、お互いが社会から後ろ指をさされないような防御ルールを厳格に守っていれば、不可能ではありません。今や女性も仕事を持ち、かつてのような、妻の座こそ女の幸せ的な切実な結婚願望がなくなっている今、ワイドショーやレディコミでお馴染みの「相手に奥さんがいることが耐えられない」という不倫マインドに陥らない女性も、少なくない。

ちなみに不倫は犯罪ではありません。ワイドショーとネットが結託した新ニッポンの正義モラルからすると大罪のようですが、そもそも、夫婦関係に他人が口を挟むことではなく、「他人は他人、自分は自分」と冷静に感情処理するのが、大人のたしなみというものです。

相談者の方は「29際の部下に言い寄られる45歳」というわけで、本当に魅力的なんでしょうね。それとともに、時代は変わったんだな、と非常に感慨深い。「成熟した女性を全てババアと疎み、若い女性だけにしか欲情しない」という傾向がある日本の男性もずいぶんと変化したものです。

さて、45歳と言えば更年期にさしかかり、女性の場合ホルモンの関係からか、性欲マックスを自覚する人が少なくない。一方、本来ならば夫婦で一緒にセックスライフを謳歌すべき同年齢の夫の方のリビドーは下り坂。日本人の夫婦は「お互い家族になっちゃったから、もうセックスできない」というセックスレスが当たり前なので、そんな性愛絶好調コンディションの女性に、これまた絶好調の29歳男性からのモーションがあったとしたら、心身ともに揺れ動くのは当然でしょうね。

 

一番の精神的なストッパーは”飽きられるかも”という想像

この件はふたつの選択があります。まず「コトを起こさない」と決めた場合ですが、まずは今回の年下男のアプローチで火がつき、ムラムラと出口を待ち構えている自らの性欲を自覚し対処しましょう。マスターベーションもオススメですが、ジョギングや水泳などちょいハードめのスポーツでの発散は中学生男子のスポーツ熱中と同様、効き目があります。

精神的なストッパーとしては、コトを起こした場合に考えられる最大リスクを想像して気持ちを萎えされることですかね。これ単純に「周囲にバレたときが怖い」と考えがちですが、最も恐ろしいのが「相手のエロス情熱が冷め、自分が捨てられる」という飽きられ案件です。

最初こそセックスは燃え上がります。しかし、女性は回を重ねる毎に相手を信頼し快感を深めて行くのに対し、男性はそうではない。決して若くはない肉体に対して、果たしてどれだけ情熱を注ぎ続けてくれるかといえば、私の周囲の実例を見るにつけ、実のところあまり成功例がないのです。そして、ここが重要なのですが、自分の心と肉体に火がついてしまったあとの、若い男との情事の終わりに年上の女が負ってしまう心の傷は計り知れない。若ければ、女友達とヤケ酒でもして「あんな男は忘れて、次いこう、次!」となるのですが、リアルに次がなさそうなところが傷を深くしてしまうのです。同時期に更年期がやってくることも精神的にハードでしょうね。

 

家族以上に、会社にばれることを警戒すべき

さて今度は「コトを起こす」と決めた場合。当たり前の事ですが、決して家族にバレてはいけません。それよりも気をつけなければ行けないのが、会社の人間たちで、特に女性は非常にカンが鋭いので要注意です。一般的な不倫には無関心な人もそれが職場の上司と部下となると徹底的に嫌悪の対象になるのは、それが必ず公私混同に繋がるから。フェアな競争原理が会社員の評価軸ですから、まあ、当たり前ですね。もはや、ふたりとも隠密同心、二重スパイぐらいの気配りで行動したいところです。

自分がそのつもりでも、問題はお相手の方。なぜなら、若い男性というのは、元気なかわりに、鈍感力も凄い。コトを起こした以降、どう彼が会社でクールに装えるかどうかですね。加えて、男は自分の情事を他の男にひけらかしたい、マウンティング欲があるので、彼が仲のいい同僚と飲みに行ったとき「実はさ・・・」とならないように、きっちり釘を刺しておくべし。

そして、最も重要なのは、相談者のマインド設定です。不倫でもたらされる「心身の恋のよろこび」を、「世間的にはけしからんことだが、私は今、ありがたく充実している」と相談者自身が肯定的かつ自主的にとらえられるかどうかです。それこそ、社会的に非難されていることからどうしても持ってしまう罪の意識とどれだけ共存し、手なずけることができるかですね。

不倫の当時者は自分。これは結局、相談者はどう生きたいのか?!  という根本的な問題なのです。

 

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