結婚しても仕事は辞めないで!「おふたりさま家計」リアルレポート
一生涯の「お金の相談パートナー」、フィナンシャルプランナー(FP)や士業の有資格者を探すサービス「FPCafe」に所属する女性FP4人が、みなさんのお役にたてるコラムを交代で書いていきます! 今回は私、辻本ゆかがお送りします。
いつまで仕事をするのかな? ふと頭によぎったことを整理するため、オトナの女性が私のところによく相談に来られます。結婚イコール退職という暗黙のルールがあった時代と違い、自分で働き方を選べるようになっているのも理由のひとつ。今回は「15年間勤めてきた会社を退職しようか」と悩んでいる35歳Aさんのリアルなご相談を紹介します。
退職後の暮らしをイメージする
2年前に結婚したAさん。勤続15年の間に築いた責任ある仕事と、溜まってゆく家事に毎日ヘトヘトです。「会社を辞めて、家事や趣味のフラダンスを楽しむ」が理想のAさんから「自分の貯蓄を趣味に使うので退職もアリでは」との相談です。
Aさん夫婦の手取り収入は600万円(会社員の夫:350万円 Aさん:250万円)。今は共働きのため余裕のある家計ですが、Aさんが退職すると夫の収入だけで暮らすことに。毎月の生活費が半分近くになる計算です。また、Aさんが退職したとして家計をシミュレーションすると、78歳で夫婦の貯蓄が尽きました。
私も結婚後に会社員を辞めましたが、溜まった家事は一週間もあれば片付きます。外出も家計を考えると頻繁にはできず、「今日も誰とも話していない!」と帰宅後の夫を捕まえてマシンガントークし随分嫌がられたものです。Aさんも自由な時間と引き換えに、使えるお金に苦労することになりそうです。
おひとりさま予備軍と自覚する
「退職後に、突然おひとりさまになったらどうする?」こんな質問に、Aさんの頭に「?」が浮かびます。離婚はもちろん、30代の今、死別は想像すらできません。
夫と死別したとき遺族年金を頼りたいところですが、夫の「ねんきん定期便」をもとに計算するとAさんが受給できる遺族年金は年間35万円。月額では3万円弱でした。「えっ!それだけ?」と思いますよね。
これは、子どものいないAさんに、「遺族基礎年金」の受給権がなく、「遺族厚生年金」のみ受けとれるためです(詳しい条件等は、日本年金機構の「遺族厚生年金」で確認して下さい)。
離婚の場合、相手が悪くても一握りの慰謝料が関の山。
「おひとりさま」になっても安心して生活するには、仕事を辞めないことが選択肢のひとつなのです。
それでも辞めたくなったら
人間関係に悩むなど、どうしても辞めたいときはあるものです。
退職前にすることは貯蓄をすること。失業保険の受給中は夫の扶養に入ることはできず、その間は国民年金保険料や国民健康保険料を自己負担することとなります。また、給料天引きされていた前年度の住民税も退職後に請求が来ます。会社を辞めて退職金を手にしても、多くの部分が社会保険料に消えていくのです。
また、会社の退職金規定も確認しておきたいところです。Aさんの会社では、勤続年数15年では300万円の退職金に対し、勤続年数20年では500万円と200万円もの差がありました。
収入減は老後の暮らしも直撃します。今と未来のどちらに比重を置くか悩むところではありますが、再就職はベテラン組でも難しいこと。暮らしとお金の両輪で考え、自分が望む幸せ未来を手に入れてください。
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