いまコロナ往診医が目のあたりにしてる「オミクロンも案外ヤバい」現実
「ほとんどが軽症であるとはいえ、感染者数がこれだけ増えれば、高齢者や合併症のある患者さんへの感染も当然増えます。オミクロン株は数で圧倒してくるんです」
そう語るのは、豊洲、有明など東京の湾岸エリアで新型コロナ患者への往診を始めた呼吸器・アレルギー専門医、豊洲はるそらクリニック院長の土屋裕医師。
若いファミリー層に人気の同エリアで現在起きていることを聞きました。
80歳代の高齢者、発症から5日で肺炎と診断。往診治療を始めたところです
「若いファミリー層がたくさん住む湾岸エリアですが、実はもともと住んでいた高齢者も結構います。そんな中での感染爆発ですから、母数が多い分だけ重症化する人も出てきます。昨日も80歳代の高齢者が肺炎を発症、新型コロナの新しい点滴治療薬を往診で開始しました」
繰り返し報道されている通り、市中感染が広がりすぎているため感染ルートの特定は困難を極めています。このケースでも特定できませんでした。
「高齢のご夫婦2人暮らしのためじゅうぶんに気を付け、ほぼ外出もしていなかったと言います。感染はご主人で、本人は特に苦しくはないとおっしゃるものの、診察すると呼吸音に少しの違和感がありました。クリニックが持っているCTで撮ってはじめて肺炎が判明、もし見逃していれば急な重症化があり得なかったとは言えません」
このように、無症状でも肺炎になっているケースは実は多いのではと土屋医師は指摘します。
「若い人を中心に、オミクロン株はそこまで過剰に恐れるものでもないという意識が広まっています。たしかに90%が無症状、もしくは軽症ですが、怖いのは若い人が無意識に家庭内、電車内、スーパーなどで高齢者や合併症のある人に感染を広めてしまうところ。ここ湾岸地域は世代幅が広いため、特にそういったリスクが高い地域なんです」
すでに街中のドクターの限界は越えている。ただの風邪ではない
感染爆発を受け、年明けからは夜間の往診を始めた土屋医師。往診車を持たないため診察道具一式を宅配バッグで背負って往来します。さらに、保健所のパンクを受けて自宅待機患者の経過観察も診断を下した医師の受け持ちとなりました。
「毎晩1時間以上かけて10人以上の患者さんから電話で症状を聞き取り、報告書の入力も行うため、帰宅は毎晩深夜に。街中のファミリードクターとして手が回る限界はすでに越えています」
この状況下、現在できる治療の内容に関してもまだ万全とは言えないのが臨床医の実感です。
「昨年のうちに経口薬のラゲブリオ、中和抗体注射薬のゼビュディ、ロナプリーブが認可されましたが、いずれも適応は高齢者、合併症のある方のみで、元気な若い方は治療の対象ではありません」
昨日肺炎を発症した高齢者に投与した注射薬も今のところ適応が限られ、ラブゲリオもあくまでも重症化を30%予防する薬。インフルエンザに於けるタミフルのような誰にでも簡単に出せる特効薬ではありません。
「まだ確立された治療薬もないのにインフルエンザと同じ扱い、ましてやただの風邪扱いなどはできません」
つづき>>>抗原キットも尽きました。もはや風邪症状の人は感染した前提で振舞って
お話 医療法人長生会 豊洲はるそらファミリークリニック
院長 土屋裕先生
医学博士、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医、日本医師会認定産業医。
「2020年4月に開業したときには新型コロナがまさに流行り始め、呼吸器内科を標榜しての開業が危ぶまれました。しかし呼吸器内科医として逆にこういう時こそ新型コロナに立ち向かわなければいけないと奮起し、開業と同時に発熱外来を立ち上げ、都内で2番目の新型コロナPCR検査を公費でできるクリニックに承認され、新型コロナワクチンも基本型施設となり地域の中核として接種してきました。コロナ診療以外もアレルギー、咳や喘息、肺炎の患者さん、生活習慣病の患者さんが日々多く来院され、スタッフ全員春風のような優しい笑顔をモットーに診療にあたっています」
東京都江東区豊洲4-10-18 プライヴブルー東京1階
03-6211-0833
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