オミクロンに一家で感染「これでいいのか」言い尽くせない理不尽
早ければ2月上旬でピークアウトとも考えられていたオミクロン株の感染爆発。まだまだ予断を許さない状況が続きます。
1月下旬から一家3人が相次いで感染した大沢ミサトさん(45歳・会社員/東京都)は「感染してみないとわからない理不尽が多々あった」といいます。その経緯を聞きました。
一家で感染したあとだからわかる「もっと前にできたこと」は
50歳のご主人、保育園年中の息子さんと3人で都心部のマンションに暮らすミサトさんは、ご自身がアレルギーと咳喘息を持つためコロナ感染対策には気を配ってきました。
「たまたま我が家は全員軽く済んだので言えるのですが……」
2月4日の厚労省通達以前は、家庭内での濃厚接触者は発症者の隔離期間10日のあと、さらに7日隔離される必要がありました。
「いわば、家庭内感染を防げた功労者のほうが長く拘束されてしまう、逆ペナルティの状態でした。幸い、私たちは夫婦とも自分で勤務を調整できる仕事でしたが、そうはいかない職種の友人もいました。その後は家族の隔離も10日に短縮され、『みなし陽性』対応も可能になりましたが、きっとこんな混乱は沖縄の感染爆発の時点で予見できていたことですよね。保健所の対応も含めて、もう少し前にもっと現実に即した簡略化もできたんじゃないかな?と、感染してみて思うんです」
オミクロン株はある日突然「身の回り」に飛び込んできた
ミサトさんのオミクロン体験は突然始まりました。
「1月17日(月曜)の夜、保育園から息子のクラスに陽性者が出たため明日は登園しないでくださいと連絡を受けました。予期はしていたので、おお、きたな、という感じでした。感染状況の確認ができるまではクラス閉鎖と言われ、慌てて夫婦の勤務を在宅に変更しました」
保健所と連絡がつき、濃厚接触の可能性もある息子さんは潜伏期間を2日見て20日に保健所でPCR検査と決まりました。また、夫婦分は翌日に東京都の無料PCR検査を予約できました。
「私自身にリスクがあるため、どこで検査できるのか情報を追っていたのが役に立ちました。今思えば、この時点ではまだ行政にも医療にも余裕があったんですね。我が家ものんびりしてました」
ところが翌18日(火曜)、事態は急転します。午前に無料PCR検査に出かけたご主人は、検査の際に喉に違和感があることに気づいたそう。帰宅後、午後から発熱が始まり、夕方には陽性の連絡が入ります。
「目の前でみるみる夫の体調が悪化していくんです。ものすごく寒気がする、のどがひどく痛いと。幸い手元にカロナールがあったためすぐ服用しましたが、そこから2日は38.5℃でした。何もしなければ40℃近い熱になったと思います」
2日の間、ご主人は寝室から出ないよう厳密に隔離。食事は分けて、タオルは別、お風呂も最後、トイレは使うたびに触った場所を除菌ティッシュで拭き取るなど、東京都のガイドラインを厳守して過ごしました。
「なのですが、まだ『みなし陽性』制度もないころで、18日の無料PCR検査では陽性の診断は確定せず、医師の診断を受けなければなりませんでした。陽性とわかっているのに、夫は改めて翌19日に病院に出かけました。当日の夕方には陽性が確定しましたが、こういう二度手間が医療機関を疲弊させたと思いますし、陽性者が外に出るとなると、どれだけ気を付けても誰かに感染リスクを負わせたとも思います」
恐ろしい。急に発熱、あれよあれよという間に進行するオミクロン
20日(木曜)には息子さんのPCR検査に出かけましたが、公共交通機関は使えず、車も持たないため、片道徒歩30分かけて保健所を往復しました。この結果は21日(金曜)にメールで届き、陰性。ほっとして保育園にも元気ですと報告した直後に、息子さんが「急に眠くなった」と言い出します。
「普段はお昼寝もしないため、どうしたんだろうと思いましたが、寝てくれれば仕事ができるのでラッキー。でも、夕方起こしたら身体が熱いんです。これは……?と熱を測ったら39℃。あれっ、体温計壊れちゃったかな?と3度測りました。さっきまで元気だったのに、こんなに急に熱が上がるだなんて」
すでに体調が回復していたご主人が急いで近隣の小児科の予約状況をチェック、即予約。その日のうちにクリニックでPCR検査を受け、22日(土曜)に息子さんも陽性との連絡が入りました。
「その22日のお昼、ついに私ものどの痛みを感じて、かかりつけの病院に電話をしました。でも、たった数日前の夫のときとはうって変わって『パンクしているのでこないでください』と断られました。18時30分から翌日分の予約開始でしたが、ものの30秒で全枠満杯。やむを得ず同じ病院の耳鼻科を予約して、のどの症状なので耳鼻科にかかりました、私は咳喘息を持っていますと説明、PCR検査を受けました」
この23日(日曜)クリニックでのPCR検査直後、ミサトさんもついに発熱。家族と同じように、のどの痛みと全身の強い倦怠感に襲われました。
「とってもだるい割に、私の場合は熱は最高でも37.9℃でした。普段は夫と家事を分担しているのですが、夫の隔離中は100%私のワンオペでした。仕事をしながらのお世話で疲れがピークにきていたので、もうお母さんは寝かせてくださいと寝込みました」
24日(月曜)は倦怠感のため仕事も休みに。お昼前には熱が下がったものの、夜に陽性の連絡、そのころから警戒していた「喉喘息」の症状が出始めます。
「普段も風邪をひくと治り際に咳がひどくなり、風邪の症状が治まっても約10日ほどはつらい咳に苦しむんです。今回も同様で、咳が出だしてちょっと夜は眠れないなという状態になりました。ラッキーなことにPCR検査の際に相談して喘息の薬を追加してもらえていたので事なきを得ましたが、これがなかったらどうなったか……紙一重でした」
後編につづく>>>保健所からの連絡が途絶えた。オミクロン対応、これは人災ではないか
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