お願い、気がついて。カレはいちども甘く囁いていない【不倫の精算#39】後編

2022.02.15 LOVE

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前編「きっとカレも私を好き。勝手に燃え上がる専業主婦の思いは」の続きです

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

 

誰だって心の奥底に持っている「求められたい」という本音

Vさんの不満は、「求められない自分」にあった。

 

「彼も、私に気がないわけじゃないと思うのですよね。

ふたりきりで話すのを嫌がらないし、私の話をよく覚えてくれていて好みのお菓子を買ってきてくれるし、帰り際には『また来ます』と言ってくれるし。

たぶん、夫の存在を気にして家では手が出せないのかなって。

それなら、いっそ外で食事にでも誘おうと思うのですが』

 

Vさんは切羽詰まっていた。

 

好意“のように見える”振る舞いにすがりつき、彼も自分と同じ気持ちのはずと思い込み、その証をほしがっているのだ。

 

「彼のほうから触れてくるとか、『好き』と言ってくるとか、そういう動きはないのですよね?

もし本当にその気があるのなら、とっくに応えていると思いますよ。

夫が近くにいようが自宅だろうが、手を出す人は普通に出すので」

 

読めば反感を買うだろうなと想像しながらこんな返事を送ったが、Vさんからの返信には

 

「そうなのでしょうか。

本当に好きでも、相手が既婚者だからという理由で我慢する人も大勢いますよね?

私は彼の本心が知りたいのです。

好きなら求めてくれても私はいいし」

 

と、願望が書かれていた。

 

これがVさんの本音だ。

 

「最終的に求めてきたのは彼」という事実がほしいのだ。

 

相手が既婚者だからという理由で我慢する、確かにそんな人もいるが、それを理解していて「なお自分のことが好きで求めてくる彼」がVさんは見たいのだった。

 

でも、「してはいけないこと」の一線が必ずある

彼の態度に業を煮やしたVさんは、

 

「先日、彼が帰るときに私の電話番号とLINEのIDを書いたメモを渡しました。

いつでも連絡くださいって、これくらい友達なら普通ですよね?」

 

と、みずから一歩踏み込む行動に出た。

 

それを旦那さんは知っているのですか? と尋ねようと思ったがやめて、「それは既婚者側がしてはいけないこと」と書くべきか考えていたら、ふたたびVさんからメールがあり、

 

「彼が家に来たのですが、夫の知らないところで連絡はしないと言われました。

やっぱり夫が邪魔なのですね、気にしなくていいのに」

 

と、憤懣を抱えた言葉が並んでいた。

 

「……」

 

Vさんは、彼の姿を見ていない。

 

“それ”が答えなのだ。

夫がいなければ恋愛関係になるのではない、「既婚者の女性と親しくなるつもりはない」「あなたよりあなたの夫とのつながりを守る」というサインなのだ。

 

よく考えて。そもそも「脈」はなかったでしょう?

居ても立ってもいられず、

 

「あなたに対する気持ちは今まで一言も出ていないと思いますが、それが彼の本心なのだと思います。

まともな人なら旦那さんの存在を無視しないし、仕事でつながりのある人の奥さんなら余計、不倫なんてしないでしょう」

 

と送った。

 

どんなに彼の好みのものを並べようが、肌を露出させようが、“OKサイン“を出していようが、持つ関係が「不倫」なら拒絶する。

それが自分と相手に対しての誠実さであり、正しいあり方なのだ。

 

Vさんの話に耳を傾け、専業主婦として生活を支えることを「尊敬する」と口にし、好きなものを手土産に用意する。

それらは人としての気遣いであり、それ以上でもそれ以下でもない。

 

注意深くVさんのメールを読んでいればわかるが、男性のほうはただの一度も気のある素振りを見せていない。

ひたすら流して終わらせる、そんな自分を見せることで「応えるつもりはない」と伝えているのだ。

 

彼の姿から目をそらすから、求めてくれない欲求不満ばかり募る。

Vさんが知るべきなのは、「既婚者から色目を使われても無視するが、人としての気遣いは忘れない」彼の誠実さなのだと思った。

 

血を吐く思いかもしれないけれど、どうか忘れてほしい

それ以降、Vさんからメールは来ない。

 

独身男性とどうなったのか、悪い想像が多いが、それでもこの片思いに先がないのは明確だった。

 

こっそりと連絡先を渡されてなお「しない」と筋を通す男性の様子からは、はっきりとした拒絶が感じられた。

それを正面から理解すれば、他人を不倫関係に誘うことの危うさに気がつくはずだった。

 

「好きなら乗ってくるはず」「夫がいなければ応えるはず」ではない。

「仕事の関係先かつ友人の奥さん」という自分の立場を振り返れば、そのリスクの高さが男性にどう影響するか、わかるはずだ。

 

自分が抱える現実は「求められたい」が叶う環境ではないことを、そして自分はその欲とどう向き合うのが正解なのかを、もう一度考えてほしいと思った。

 

この話の前編>>>きっとカレも私を好き。勝手に燃え上がる専業主婦の思いは

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