40代が子宮頸がん「異形成」と言われた…「次の瞬間すべきこと」って?【医師の本音】総集編

「子宮頸がんかもしれません」、ある日突然そう言われたらどうしますか?

あるいは、乳がん、子宮体がん、卵巣がんなど女性特有のがん。

特に、健康診断や定期検査で指摘され「大きな病院へ行って精密検査を受けてください」と言われた場合、

「……って、どんな病院に行けばいいの?」「検査を待つ間にも進行しそうで焦るけれど、いま何をすればいいの?」

と、次に具体的に何をすべきか戸惑うことでしょう。

いますでにご不安な気持ちでいらっしゃる方、リスクがあるとご存じの方、当てはまるご友人がいらっしゃる方、そして「もしかして私も」と知っておきたい方。

乳がんも含め、「がんのセカンドオピニオン」を中心に診察する医師・新見正則先生に「どうすべきか」心構えを教えてもらいました。

「女性特有のがん」と40代【医師に聞く】

この記事の目次
1 ある日突然判明する…「異形成」とは何なのか 

2 子宮頸がんの「クラス」とは何なのでしょう? 

3 「がんの治療」の病院選びには3つのポイントがある

4 もう子どもを望まない人ならば、子宮全摘出も検討できる 

5 子宮頸がんの治療方法には何があるのか? 

6 私が「選ぶべき」がんの治療法と、そのための病院選びとは? 

7 子宮全摘出がいいのか…?保険診療では「心を受け止める」時間が足りない 

8 あまりに真っ白になるならば、その場の説明を録音させてもらって 

9 子宮全摘出にはそれほど執刀数での経験差が出ない。再建や形成は注意が必要 

10 がんの治療開始までに「やっておくべきこと」って? 

11 がんは「治るから大丈夫」という気持ちを持つことがいちばん大切

12 やっていいことは「お金のかからないこと」か「高いけどエビデンスのあること」 

ある日突然判明する…「異形成」とは何なのか

こんにちは、オトナサローネ編集部井一です。この記事は、都内に住む友人・アキさん(49歳)から「ついに異形成Ⅳって言われちゃった……」とLINEが届いたことに始まります。

 

「クリニックから『精密検査ができる病院に行ってください』と言われたけれど、どこ宛に紹介状を書いてもらえばいいんだろう……?」と迷うアキさん。

 

そこで、私とアキさんは「がんのセカンドオピニオン医」である新見先生を訪問。結果的に、子宮頸がんだけでなく、乳がんをはじめとする「がん全般」で要精密検査と言われたときに次に何をすべきか、病院選びや診察の心構えをトータルで教えていただけました。

 

今回のメインである子宮頸がんは、主に子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって発生する悪性腫瘍です。子宮頸がんは「異形成」という前がん状態を経てがん化するため、進行する前に細胞診という検査で見つけることができます。

 

【女性特有のがん発病数】

1位・乳がん(男性も希に発症する)

2位・子宮体がん

3位・子宮頚がん

 

乳がんの好発年齢は40歳後半ですが、昨今は20代・30代の若年性乳がんの方も増えています。また、高齢の方でも乳がんに罹患する可能性があります。

 

子宮体がんは、子宮の体部に発生するがん。子宮頸がんに比べ、比較的高齢で発症することが多いため、更年期以降に不正出血がある時には注意が必要です。

 

子宮頚がんは多産婦と若年者に多く見られ、30歳から40歳代にかけてよく発生しますが、進行がんは60歳代以降で増えます。女性の生涯を通じて「気の抜けない」がんです。

 

子宮頸がんの「クラス」とは何なのでしょう?

アキ「38歳で上の子を産んだあと、39歳の定期健診で軽度の子宮頸部異形成を指摘されました。その後も欠かさず健診を受けてきましたが、ここのところもう大丈夫かな……と思っていた矢先なので不意打ちでした。内膜はクラスI、頸部はクラスIVです」

細胞診は細胞を採取して、顕微鏡で診断を行います。この細胞診は多くは「クラス分類」で評価されてきました。

 

【クラス分類】

IまたはII …… 異常なし

 …… 要経過観察

IV …… かなりがんに近い状態

V …… がん

数字が増えていくに従いがんの可能性が上がり、精密な再検査が必要になります。

*最近はベセスダ分類も使用ますが、この記事では省略します。

 

アキ「このあとどんな病院に精密検査を受けにいけばいいのか……近いところがいいのだろうとは思いますが、徒歩圏に大きな病院はありません」

 

新見「子宮頸部の軽度異形性の場合、経過観察になる場合もあれば、高度異形性では子宮頚部の切除やレーザー処置もあり得ます。もう出産も考えていないから子宮がなくてもいいという場合、子宮全摘出もあり。アキさんは閉経が近い年齢だし、過多月経で悩んでいるなら、とっちゃってもいいのかなって迷いますよね」

 

「がんの治療」の病院選びには3つのポイントがある

新見「婦人科のがんの病院選びは意外とシンプルなんです。

1・近い

2・以前かかったことがあり、以前の自分の状態と比較ができる

3・執刀数症例数が多いところ

上から順番に重視してください」

 

アキ「これまでかかってきた病院も大切なんですね。よく週刊誌は胃がんなどの執刀数ランキングを掲載していますが、執刀数だけが重要というわけではないんですね?」

 

新見「執刀数は多いに越したことはありません。ですが、がんには『がん登録』という仕組みがあり、生存率が重視されるため、専門病院では他の疾病を持っていて合併症での死亡リスクの高い人は診ない傾向があります。患者さんが執刀数から病院の正確な力量を推測するのはなかなか難しいでしょうね」

 

アキ「どういうがんでも、自分が過去受診した履歴があるほうが重要なんですね?」

 

新見医療は点で見るより線で見たほうが診断の正確性が上がるものです。前に検査したことがあり、カルテが残っている病院があればそこがいちばんです。過去の履歴と比較して病状が進んだかどうかの判断ができるからです」

 

もう子どもを望まない人ならば、子宮全摘出も検討できる

アキ「私は出産後、過多月経に悩んできたため、子宮全摘出はうっすらと念頭にありましたが、こうして教えていただくと、それも積極的に検討したいと思い始めました。子宮全摘出のメリットとデメリットは何なんでしょう?」

 

新見手術後に術部がちょっと痛い以外、デメリットはほぼありません。実は子宮って赤ちゃんの入れ物であって、それそのものはほぼなにもしていない、例えていうならいわゆる盲腸(虫垂)のような存在。卵巣のようにホルモンを分泌する内分泌器官ではないのです」

 

アキ「そうなんですね? 女性らしさのために必要な臓器なのでは?って思っていました」

 

新見「そのような気持ちの部分も非常に重要です。実際、摘出のメリットとデメリットを時間をかけてきちんと説明した場合でも、摘出を決断する女性は半分にとどまります。医師からすれば、例えるならロングヘアをショートに切るのと同じくらいの意味合いなのですが、いっぽうで女性性と密接に関わる臓器でもあります。難しいんです」

 

アキ「ちなみに、とった部分ってぽかっと開くんですか?」

 

新見「腸が移動してきてそのスペースが埋まりますよ。子宮ってみんな赤ちゃんが入ってるときのイメージで捉えがちですが、実はほんの6から8㎝、おちびの洋ナシ程度しかないんです

 

アキ「そんなに小さいんですか? 両手で輪を作ったサイズくらいだと思ってました…」

 

子宮頸がんの治療方法には何があるのか?

アキ「もし治療に進む場合、どういう方法があるのでしょう?」

 

新見「明らかに進展したがんの段階では、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つを単独、もしくは組み合わせて行います。国によって主流が違い、欧米では多くは放射線療法。体の外から照射する場合もあれば、膣内からアプリケーターを使う『内照射』もあります」

 

アキ「日本ではどうなのでしょう?」

 

新見「日本では手術療法が主流です。早期の子宮頚がんであれば子宮頸部円錐切除術でしょう。異形性の段階ではレーザーで焼いてしまうこともあります」

 

詳しくは>>>日本産科婦人科学会

 

アキ「治療法はどう決めればいいのでしょう。たとえばレーザー照射か円錐切除かを選んでくださいと言われたら?」

 

新見「その前に、細胞診でクラスIVの場合、経過観察になるかもしれません。ですが、どの場合も絶対安心のゼロリスクはあり得ません。治療方針に悩んだ場合、ぼくがいつも言うのは、医師に『先生ならどうしますか? 先生のご家族ならどうしますか?』と聞くのがいちばんいいということです」

 

アキ「切除したあとの再発の可能性はどうなんでしょう?」

 

新見「可能性はあります。そもそも、年齢がある程度になるとがんは毎日5000個ほど体内で発生していると言われていて、それを免疫力で排除しているんです。今回処置しても将来また出てくる可能性があるので、たとえば生活リズム、嗜好品、喫煙など、がんの原因として思い当たることがあるならこれを機に変えたほうがいいです。不摂生がないのならばそのままでいいですよ」

 

私が「選ぶべき」がんの治療法と、そのための病院選びとは?

アキ「私が定期的にかかってきた婦人科の一つが出産した病院です。そこに行けばいいのでしょうか?」

 

新見「選べるならば、放射線治療を選べる病院に行くほうがいいです。なぜなら、ないところに行けば確実に手術になるからです。自院でなくとも連携する病院があって、放射線治療を案内してもらえればOKです。できれば放射線は体の外からの照射だけでなく、小線源による腔内照射までできる病院ならさらにいいのですが、できる病院は全国に約200院しかありません」

 

アキ「どうやって調べればいいのでしょう?」

 

新見「日本放射線腫瘍学会の一覧から、『実施治療内容に関する情報』を見てください。

>>>こちらから

これは国立がん研究センター中央病院の例です。いちばん下の「密閉小線源治療」が腔内照射のことなので、この場合は自院で実施が可能です。

国立がん研究センター中央病院/出典・日本放射線腫瘍学会

こちらはNTT東日本関東病院。紹介体制があるという例です。これでも大丈夫です。

NTT東日本関東病院/出典・日本放射線腫瘍学会

 

ですが、放射線治療はいうなればやけどをさせてがん細胞をやっつける治療です。いっそ病変部位をすっかり取ってほしいという思いがあるのなら、放射線治療をしなくていい。この項目のない病院でも何ら問題はありません」

 

アキ「すぐに治療法を決断できない気がしますが、そう言っている間にがんは進行していきます。とても焦りますし、死が近づいているような気持ちで不安です」

 

新見「がんは何年もかけてでき上がりましたので、慌てる必要はありません。数ヶ月遅れてもほとんど問題ありませんよ。ですから納得できるまで、しっかりと考えましょう。子宮がんも乳がんも、医療の選択は大変に難しい。副作用のあるなしも、医師が思うことと患者さんが思うことは違ったりします」

 

アキ「どういう点が違うのでしょう?」

 

新見「たとえば乳がんの場合でお話すると、代表的な薬剤治療は抗ホルモン剤、殺細胞性抗がん剤、分子標的薬の3つで、がんの種類ごとに使用する薬剤が異なります。医師は抗ホルモン剤なら副作用が軽いと説明しがちですが、抗ホルモン剤を使用する患者さんでは、多くは医原性の更年期障害に苦しみます」

 

アキ「女性ホルモンの分泌を強制的に止めると聞いたことがありますが、それですね?」

 

新見「はい。急に全力で更年期が始まるので非常につらく、患者さんにとっては全然軽くありません。でも、軽いと言われたからと我慢を背負い込んでしまいます。いっぽうで、医師は髪の毛が抜けないから軽くてよかったねと口にしてしまう。こうしたボタンの掛け違いは非常に頻繁に起きています」

 

子宮全摘出がいいのか…?保険診療では「心を受け止める」時間が足りない

アキ「たまたま私はこうして精密検査後のファーストオピニオンよりも前、いうなればゼロ次オピニオンとして新見先生とお話して考えることができています。でも、クリニックで異形成と言われたときは頭が真っ白になりました」

 

新見「大変でしたよね、お察しします。普段ぼくは乳がんのセカンドオピニオンがメインですが、そもそもがんという病気がこれだけ重たいのに、さらに子宮や乳房という女性性に関わる身体の話までを、保険診療のごく短い診察時間で受け止めるのは患者さんにとってはとっても難しいことですよ

 

アキ「みんな悩むんですね?」

 

新見悩むなんてもんじゃなく、全員真っ白になります

 

アキ「紹介状の宛先を選べって言われても、どこにすればいいの…?って泣きそうになりました」

 

新見「その時点では何を治療するのかもわからないですもんね。更年期の反応も2つに分かれるんですよ、閉経してラッキーという人と、こんな早く来ちゃった、私まだ生理がほしかったって思う人。子宮も同じで、みなさん反応が分かれます。そこに医師が子宮を取るべきというような価値観の強制をするのは、ぼくはよくないと感じます」

 

アキ「私も、最初から子宮を取れと命じられていたら、悲しみと混乱と不安、いろいろな気持ちに押しつぶされたと思います。でも、自分で考えられるなら、その選択肢はアリだなと感じました」

 

あまりに真っ白になるならば、その場の説明を録音させてもらって

新見「誰だって自分のことは自分で選びたいんです。閉経していても子宮は残したいと感じる人もいます。でも、残念ながら保険診療にはそういう話を納得いくまでできる時間的余裕はありません。これは誰が悪いわけでもありません、日本の医療の仕組みならば9割の人は正しい治療を格差もなく受けられます」

 

アキ「でも、選ぶときの助言が少ないから、みんなセカンドオピニオンを求めるんですね」

 

新見「ぼくは1998年に日本で最初にセカンドオピニオンを大学病院で始めました。たくさんのお話しを聴いていると、医師ですら、患者としてがんを宣告されると真っ白になってあとの説明は理解できていません。言われたことは理解しても内容はまったく覚えていないそうです。なので、ぼくは、診察室で衝撃を受けたときはとっさに『録音していいでしょうか』と口にしてほしいと日頃から言っています。スマホで録ってあとから家族も交えて聞き直せば医師の説明が理解しやすくなります」

 

アキ「お医者様は録音を嫌がりませんか?」

 

新見「嫌がるかもしれませんが、先生、私はいま動揺で手が震えてメモも取れません、あとで冷静にお話を聞くために録音させてください、こう頼まれて断る医師がいるならそのほうが問題だとぼくは思います」

 

アキ「言われてみれば……実際、私も動揺してメモなんて取れませんでした。もし友人が同じように検査を受けたら、結果を聞きに行くときは録音させてもらえってアドバイスしたいです」

 

新見「前がん段階で、まだがんではなくても、こうした告知を冷静に受けられるわけがないんです。ぼくは、たとえばフェイスタイムでつないだりして、第三者がその場にいなくても一緒に告知を聞くのを当たり前にしたいと考えています」

 

アキ「夫が横にいてくれればよかったのにと思っていました」

 

新見「家族だけではなく、がんの経験者の先輩が一緒に聞くのだっていい、それなら要点を効果的に質問できるしょう。それ専用のボランティア組織も立ち上げられるかもしれない。この『第三者に開かれた診察室』というのをセカンドオピニオンのように普及させたいと思っています」

 

子宮全摘出にはそれほど執刀数での経験差が出ない。再建や形成は注意が必要

アキ「話を戻します。子宮全摘出にした場合、術後の身体の感覚はずいぶん変わるんでしょうか?」

 

新見「そうですね、子宮頚まで切除しますので、膣の全長がちょっと短くなります。性交渉はできますが、性的にアクティブな女性の場合は以前と同じように奥までは届かなくなると思ってください

 

アキ「手術の難易度について教えてください。たとえば、子宮全摘出は執刀数が多い名医を探し出すべき難しい手術なんですか?」

 

新見子宮全摘出は執刀医での差がそれほど出ないため、地元クリニックでもじゅうぶん対応できます。でも、子宮頸がんで、がんが子宮頚部だけでなく子宮体部の奥や周囲にまで到達しているのなら、ちょっと難易度が上がります。がんを専門的に扱う大きな病院のほうがいいでしょう」

 

アキ「ちょっと話がそれてしまうのですが、ちなみに先生のご専門の乳がんの場合、執刀医の選び方はありますか?」

 

新見子宮も乳房も、じつは取るのはそれほど大変ではなく、難しいのは再建なんです。どんな内容であれ、再建、形成といった分野は形をつくる技術と、形を決めるコミュニケーションの両方がものをいうため、経験豊かな専門の執刀医を探すのがベターです」

 

アキ「子宮頸がんにも再建があるんですか?」

 

新見「はい。妊娠を希望する時は子宮頚部のみを切除して、膣と子宮体部を繋ぐ再建手術が可能な場合もあります」

 

アキ「乳がんは部分切除にすれば術後もラクなイメージです」

 

新見「ところがいま、乳がんは部分切除が減り、全摘出が増えています。ぼくのところにきて相談すればするほどみんな全摘出を選びます。シリコンでの再建を考慮すればいいのです。乳房再建は上手な先生を選んで行ったほうがいいです。」

 

アキ「以前は傷口は小さいほうがいいと言われていましたよね? なぜ全摘出を?」

 

新見「乳がんの部分切除は、そのあと30回の放射線照射を受けます。この照射のせいで皮膚が厚く硬くカサカサになってしまうんです。皮膚の伸びが悪くなるため、結果的に再建が困難になってしまう。この放射線照射を避けるために、また残存乳房の再発がゼロになるという理由からも、全摘出がいいということになるのです」

 

アキ「再建しないのなら手術はそれほど大変ではないということですね」

 

新見「はい、私はもう再建しなくていいわという人ももちろんいます。どのケースも納得いくまで話し合って選択できることが大切です」

 

がんの治療開始までに「やっておくべきこと」って?

アキ「ちなみに私は39歳でHPVへの感染がわかっていましたが、それからでもワクチンを接種すべきだったのでしょうか?」

 

新見「あまり知られていませんが、ほとんどの成人女性はHPVに感染します。しかし、多くの場合、免疫の力が働き、感染しても異形性に至らないのです。異形性になっても正常に戻るんですね」

 

アキ「免疫は大切なんですね……」

 

新見「26歳までは性交渉があっても、つまり感染している可能性があってもワクチンを打つべきだと考えられています。いっぽうで、46歳以上ならばワクチンの意味がないとされています」

 

アキ「これから閉経を迎えると女性ホルモン分泌が減り、自然に異形成が落ち着いていくということはありますか?」

 

新見「子宮筋腫や子宮内膜症は閉経と症状の緩和が関連しますが、子宮頸がんは女性ホルモンの影響を受けません。ですが、異形性が正常に戻ることもあります。これも免疫の力で正常に戻しているのです。むしろ、軽度異形性ではがんになるよりも正常に戻ることの方が多いのです。正常に戻ることがない状態をがんと思えばいいです

 

アキ「ひとまず子宮全摘出を念頭に、出産時にかかった病院への紹介状をもらおうと思います。精密検査までにがんを進行させないため、やっておいたほうがいいことって何でしょう? 子宮を温めるとか?」

 

新見「異形性の段階ではいわゆる免疫力でがんにならないようにしているのです。ですから、バランス良く食べる、ストレスを減らす、適度の運動をする、禁煙する、お酒は適度に飲むなどの世の中でよく言われている健康管理を心がけましょう」

 

アキ「ヨモギ蒸しのような、子宮を温める取り組みは?」

 

新見「気持ちがよくて、お金もそれほどかからないことならやってみるといいでしょう。専門性のある人間を1人拘束するならば1時間6000円はかかるものです。ただし、ひとつ思い出してほしいのは、お料理のとき大きい塊の肉に火を入れようとしても中心はなかなか温まらないことです。外から熱を加えても身体の内部にある子宮は温まりません

 

アキ「言われてみれば……。漢方薬を飲んでおくのはどうでしょうか?」

 

新見「ぼくはフアイアという明らかな抗がんエビデンスのある漢方エキスの普及活動をしています。明らかに免疫力を上げる生薬です。がんの患者さんたちが苦しむ姿を見て、力になりたいと探し出したもので、奏効率も明らかですから大変におすすめです。ぼくのクリニックで処方できます。そのほか、朝鮮人参の配合された漢方薬も免疫が上がるのでいいでしょう」

 

アキ「私は貧血で、過多月経のせいでいつもフェリチン値が低いと言われます。鉄剤も飲んだほうがいいですが?」

 

新見「フェリチンは体内の貯蔵鉄ですので、あまり気にしなくていいです。症状に直接関係するのはヘモグロビンです。不安にかられて何でも飲むのではなく、貧血があるなら貧血の改善のためと、意味のあるものを飲んでください。貧血そのものも子宮頸がんに直接的にマイナスには働きませんが、総合的な免疫力を考えると貧血の状態はよくない。バランスのよい食事をとることが大切です」

 

がんは「治るから大丈夫」という気持ちを持つことがいちばん大切

アキ「治療を始める前に進行してひどくなってしまうのではないかと不安です。どう解消すればいいのでしょう?」

 

新見「アメリカではヨガがいいと言われていますね。日本ではヨガなんてエビデンスがないとばっさり切り捨てる傾向にありますが、ぼくは些細な事の積み上げが大切だと思っています」

 

アキ「どんなことを積み上げたらいいんでしょうか? 不安がすごいので、できるだけ効くことをやりたいです」

 

新見「エビデンスの有無より、まず治るから大丈夫という希望を持つこと、そしてよく寝ること。エビデンスがないことを否定しなくてもいいんです。ぼくが2013年にイグノーベル医学賞受賞をハーバード大学で頂いた研究は、『オペラ椿姫を聴くと免疫制御細胞が誘導される』というものです。音楽だって免疫に影響を与えるのです」

 

アキ「なるほど、これはダメ、あれは効かないって迷う必要はないんですね」

 

新見「しかも日本の医療は、国民皆保険でフリーアクセス、素晴らしいシステムです。そこは疑わなくていいです」

 

アキ「つまり、勝手に不安を膨らませず、毎日をできる限りヘルシーに過ごすのがいちばんの薬ということですね」

 

やっていいことは「お金のかからないこと」か「高いけどエビデンスのあること」

新見「そういうことです。人は自分が信じるものには希望を持つことができます。一生懸命な人って、希望が続くから治るんです。他人の言葉にくよくよする人ががんになりやすい。やっていいのは安くてお金のかからないこと。ぼくは50歳過ぎてからトライアスロンを始めましたが、ランニングは本当にどこでも無料でできて最高です」

 

アキ「うーん。重要性はわかるのですが、運動は習慣化が本当に難しくて……」

 

新見「無理してやらなくていいですよ、無理をしないこともとても大切です。お金のかからないことであればエビデンスなんで気にせず、どんどんやればいい。でもお金のかかるものには必ずエビデンスを求めてください。ダメなのは、エビデンスがないのに高額なもの。がんの周辺には不安につけこんでこうしたものがたくさん押し寄せてきます」

 

アキ「なんでも試すのではなく、見分ける必要があるのですね」

 

新見「ぼくがフアイアを啓蒙しているのは、これも安くはないのですが確実なエビデンスがあり、2年生存率で10%以上の治療効果、抗がん剤と同等の奏功という確かな数字があるからです。これに限らずどんなものでも、迷ったらぼくのようなセカンドオピニオン医のところに相談にきてください。正しい医学的判断をわかりやすい言葉で説明してあげます。どうか不安にならないでください」

 

 

お話/新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在はがん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。セカンドオピニオンのパイオニアとして次の仕事は「第三者がオンラインで参加する開かれた診察室」を広めたいと思っている。また漢方の勉強中に出会った世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙をライフワークにしている。

https://niimimasanori.com/

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集部 井一美穂

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