都知事選を棄権すると数百万円の損?私の1票の価値、具体的においくらなんですか?
大波乱の2016東京都知事選挙は7月31日(日曜)投票です。さて、7月10日に行われた第24回参議院選でも「若い世代の投票率の低さ」が問題になりました。とはいえ、投票に行かないことで起きる問題も今すぐにはわかりにくい。そこで、お金に換算してみましょう。具体的に、私が棄権すると私は1回いくら損をするのでしょうか?
シンプルに割り算すると、国政は1票ウン百万円?
まず、規模がわかりやすいよう、国政で考えてみます。以下、比較に使うデータは、同年度であることより新しいことを重視しますので、あくまでも「目安」と考えてください。
いちばん単純な1票の価値は、「政府が使う予算」を「有権者数」で割れば算出できそうです。有権者数は、平成27年9月の段階で104,106,821人、約1億人です(総務省 平成27年9月2日現在選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数)。
一方、政府の1年の予算(一般会計)は96,721,841,054円。ケタが多すぎるので書き直すと、約96兆7218億です(財務省 平成28 年度一般会計補正予算)。
これを単純に割ると、92万9063円。議員の任期は衆議院4年、参議院6年ですから、6倍すると……乱暴に言えば参議院選を1回棄権すると約600万円もの損!という計算になります。
ちなみに、日本の平均給与は26年分で 415 万円(国税庁 平成26年分 民間給与実態統計調査)。1回棄権すると年収以上の損なんですね……。
予算の4割弱は将来世代の負担
余談ですが、この政府予算(一般会計)は、全額が私たちが払った税金そのままというわけではありません。”歳入のうち税収は約58兆円であり、一般会計予算における歳入のうち、税収でまかなわれているのは約6割弱であり、4割弱は将来世代の負担となる借金(公債金収入)に依存しています”(財務省 平成28年度一般会計予算(平成28年3月29日成立)の概要)。要するに、4割近くを前借して成立している予算ですから、若い世代の棄権は表面額以上の大損と言えます。
「税を使う主体」で考えると地方選挙も重要!
税収は大きく「国税」「地方税」に分かれます。収入の55%が国税であるいっぽう、歳出は地方が58%。国政のほうが、国全体に関わる審議が行われるから真剣に考えないとと感じがちです。しかし、「誰がその予算を使うのか」を考えると、「地方がどうお金を使っているのか」は思っているよりはるかに重要というわけです(国と地方の関係に関する一考察) (総務省 平成27年版地方財政白書)。
都政も同様に割り算すると
さて、都政の予算規模(一般会計)は7兆110億円。有権者数は11,274,080人。約1100万人です(東京都 平成28年度東京都予算案の概要)(平成28年東京都知事選挙における選挙人名簿登録者数について/doc形式)。同じように単純に割ると約62万円、都知事の任期4年を掛け算すると、約248万円です。コロコロ変わって困る都知事ですが、250万となるとちょっとした車が買えますね。候補者選びにも気合いが入ります……!
「区議・区長選」も意外な高値?
こうしたシンプルな割り算を、国政だけでなく区市政単位でもやってくれるサイトがありました。「Price of One Vote」でチェックしてみると、実は市区長・市区議員選挙も結構なプライスです。私がチェックした中では、住民が少ない東京都千代田区の区議選・区長選が、他の区が200万円前後のところ670万円と大高騰! 棄権してしまいがちな市区の選挙、実はけっこう重要でした……。
棄権して得をする要素はゼロ
こうした「1票の価値」にはいろいろな考えがあります。NIKKEI STYLEの記事「100万円以上? 1票の価値、お金に換算すると」では予算のほか、国債、有権者数と候補者数の不均衡から起きる1票の格差、世代格差なども総合的に加味した数字を算出しています。今回ご紹介したシンプルな割り算よりもリアルな数字が掲載されていますから、ぜひチェックしてください。
そもそも、こういった記事を読む人は政治に関心のある層ですから、投票率はきっと高いでしょう。しかし、地方選挙も1回棄権すると200万円以上の損と知った今、私は念のため期日前投票もしておく構えです。みなさまも1票をお大事に!
スポンサーリンク