「10歳年下の不倫相手」体はいいのに逃げ出したくなる瞬間とは【不倫の精算#41】前編

2022.03.08 LOVE

このシリーズの一覧

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

 

不倫の話といっしょに夫への罵詈雑言もぶちまけてくる彼女

Xさんは45歳、気の強い性格で良くいえば豪胆、悪く言うなら傍若無人なところがあった。

 

年下の独身男性との不倫はすでに二年目に入っており、それを誇らしげに語るのが印象的だった。

 

「うちの人よりずっと稼ぎがいいし、あっちの相性もいいし、大事にしてくれるの。

やっぱり女は愛されないとダメよね」

 

得意げにそう話す様子に、お盛んで、とだけ返して後はにこにこと聞いてきた。そんな彼女が不倫について口にするとき、夫への罵詈雑言もセットになるのが常だった。

 

「実家が金持ちだからって、たいした苦労もせずに生きてこられていいわよね、うちの人は。

昇進しなくても生活費に困れば親が何とかしてくれるし、羨ましいわ」

 

口を歪めながら悪しざまに夫を語る姿には、「そんなに嫌いなら別れたらいいのに」という言葉すらうかつには口に出せない不穏さがある。

 

自身が不妊症らしく「子を作れなかった」と話すXさんは、夫と離婚するタイミングを失ったまま、結婚生活を続けていたのだった。

 

不妊治療に専念し、そのお金を夫の両親から援助してもらった話は聞いていたが、「プレッシャーに耐えられなくなった」夫がギブアップしてしまい、子どもについての話題はいっさい出なくなったらしい。

 

夫婦仲は冷えていくが「これを理由に別れるのは納得がいかなかった」Xさんは、離婚せずにジムで知り合った年下の独身男性と不倫関係を持っていた。

 

今日久しぶりに会ったのは、この不倫相手から別れたいと言われたことについての相談だった。

 

10歳年上の「年寄り女」とわざわざ不倫する男性のワケは

「たぶん、彼女ができたのよ」

 

待ち合わせたイタリアンのお店で、ランチを注文するなりせかせかと話しだしたXさんは、珍しく憔悴していた。

 

いつもは、後ろできれいにまとめあげた髪に健康的な肌色の首筋を冬でも見せるのだが、この日はモスグリーンのタートルネックに濃いブラウンのアイシャドウ、猫背でかがみ込む様子は疲れが伝わった。

 

「カレがそう言ったのですか?」

水を飲んでから尋ねると、Xさんはまた慌てて首を横に振った。

 

「ううん、言われてはいないのだけど。

でも、普通、こんな年寄り女と別れる理由って言ったら、新しい彼女じゃない?」

 

「年寄り女」と自分を評することに、ダメージの深さが見える気がした。

 

Xさんの不倫相手である男性は35歳のバツイチで、銀行に勤めている。

10歳も年の差のあるXさんとはジムで知り合い、親しくなったのは「私のあけすけなところが好きなのだって」と聞いていた。

 

歯に衣着せぬ言い方は確かにXさんの特徴だったが、男性にはそれが打ち解けやすい、本音を言いやすい相手と映ったらしかった。

 

Xさんはレスになった夫との生活に不満を募らせており、お互いに下心があれば当然仲良くなるのも早く、ホテルに行くまで2ヶ月もかからなかったらしい。

 

その過程を楽しそうに以前話してくれたが、「いざベッドに横になると、ジムで見た通りの立派な体つきで惚れた」と興奮して口にする様子には、夫への罪悪感はまったくなかった。

 

それからはジム以外で会うようになり、今まで特に大きな問題もないのはXさんの“自慢”が変わらないことで知っていた。

 

その“年下の彼氏“が、最近になって急にLINEを既読スルーして電話にも出なくなり、先日突然「別れてほしい」と言い出したのだった。

 

その独身男性が「逃げ出したくなる」明らかな理由

「ほかに女がいるなら、そんな気配とかはなかったのですか?」

 

テーブルにサラダとパスタが届き、フォークを手にしながら尋ねると、つられるようにカトラリーの入ったかごに目をやってXさんは答えた。

 

「思い出してみたらね、あったのよ。

前は、いつLINEや電話をしてもすぐ返してくれていたけど、ここ1ヶ月くらいは既読スルーがたくさんあったの。

仕事が忙しいって言われていたから特に疑ってなかったのだけど、いま思えば別の女性と会っていたのかなって」

 

新型コロナウイルス感染症が流行してから、以前より会う頻度が減ったのは聞いていた。

それは仕方のないこと、とXさんは受け止めていて、「抱き合えなくても常に連絡を取り合えるつながりに満足していた」のだ。

 

男性からの返信が遅くなり、不在着信に気がつくはずなのにかけ直してこないことが続き、それを仕事と言い訳されても鵜呑みにしていたが、ある日突然突きつけられたのは別れだった。

 

「女でしょ、絶対」

 

サラダの葉にフォークの先端を刺したまま、Xさんは視線を落として言った。

 

「わからないですよ、まだ。

ちゃんと聞かないと」

 

離れている状態が普通になると、こんなときに「自分がいない間に相手は何をしていたのか」が異常に気になる。

悪い想像しか浮かばないのは、この関係は不倫であって、独身である相手には「ほかの女性を選ぶ選択肢がある」のが当たり前だからだ。

 

突然別れを切り出したのは、ほかに付き合いたい女性ができたから。

そう思い込もうとするXさんの気持ちは理解できた。

 

だが、時間が進むうちに、そうではない「真実」が見えたのだった。

後編>>>【不倫の精算#41】後編

続きを読む

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク