みんな「本当にやりたいことを探す」呪縛にかかっています【キャリアの棚卸#5】
40代に入り、会社員生活の残りが20年を切りました。ちょっとだけ生活が落ち着いてきた人が次に考えるのが「この先どういうキャリアをどう積んでいくか」。この仕事をこのまま続けていくのか? 他の道を歩んでいくのか?
女性のセカンドキャリア研修を手掛ける株式会社Next Storyの代表、西村美奈子さんにお話しを伺いました。
【何から始めればいい?40歳を過ぎたら考える「キャリアの棚卸」のこと】
日本の働く女性は「本当にやりたいことを探す」呪縛にかかっている
私たちは「本当にやりたいことを探し続ける」呪縛にかかっていると思います。失敗は許されないと思っているんです。でも、キャリア構築には失敗ってないんです。どんなことでも経験はすべて資本になります。なので、自分はキャリア資本の蓄積をしてきたのだとポジティブに捉えてください。
思い描いていたキャリアと違うならば今日から再構築すればいい。資本として積んできた経験を捨てる必要はないんです。資本の中のいくつかと、これから起きることを掛け算にして強みを増やしていくんです。
これだけ言っても、私たちは「セカンドキャリアは失敗できない」という思い込みから逃れられず、自分が新たにすべきこと、いちばんやりたいことを探さないとならないと思いこんでしまいます。
セカンドキャリアって、外へ出ていくばかりではなく、会社組織に残る選択まで含めてのもの。ただ、この場合、漠然と定年を延長するのではなく、会社に残るならばこの会社の中で何をして貢献していくのかを明確に意識するマインドチェンジが必要です。そのほか、他社への転職もあり得るでしょう。
40代では、いちどキャリアの要素分解をやってみるといいと思います。私自身も、社内では様々な部署を経験したかわりに何のプロでもないと思いこんでいましたが、要素分解をしてみると一貫して「伝える仕事」をやってきたなと気づけました。
ソフト開発で入社し、海外研修センターでインストラクターをして、海外展示会担当になり、コンテンツビジネスを担当し、情シスに入って社内の情報共有をやり、最後はマーケでデジタルマーケティングに取り組むと、本当にいろいろやってきたんです。
これらの共通点は何かと分解してみると、共通していたのが「人に何かを伝えること」。私はこれを自分のキャリア資本であると考え、これからのメインにしていきたいなと考えたのです。そしてたどり着いたのが、「女性のセカンドキャリアを考える」という分野でした。
キャリアってなにも、積み重ねて上へ載せなければならないわけではないんです。あくまでも資本ですから、使える要素をどう見せていくかなんです。
棚卸しをしたらタスク設定がセットです。細かく実行に落とし込む
私の研修ではキャリアの棚卸しも行ないます。ライフチャートを書いて、楽しかったときと落ち込んだときを見える化します。上を向いたとき、なにがきっかけで上を向けたのかに着目して、深堀りし、自分の特徴を把握していきます。
特に45歳以下の場合、まだまだ定年を見据える段階のはるか手前ですが、育児と仕事の両立など、さまざまな理由でキャリア変更を考えていると思います。でも、何をすればいいか漠然としすぎて迷う。
迷う場合、まずは将来なりたい姿を考えてみてください。でも、あくまでもいまの時点で思いつく将来でいい。1か月たったら変わるかもしれませんが、ぼんやりでいいからなんとなく考えてみる。
続いて、それを実現するために足りないものは何か、5年後、1年後とバックキャスティングします。現在の自分とのギャップを埋めるには何をすればいいかを考えるんです。この勉強が足りない、この人脈が足りないと具体的なことを考え、それらをタスクレベルに落とし込みます。
とはいえ、なりたい姿が決まらない人もいます。この場合はぼんやりでいいので、いま思いつくこと、気になることをどんどん列挙してみてください。その中でも楽しそうなことにだけ注目。よし、これについて考えてみよう、どうやって調べるのかな、本を読もう、この分野の資格を調べようと、興味をタスクレベルに変えていきます。このとき、とにかくこれをやった、これもやったとチェックできるよう、具体的な行動に分解することが大切です。
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詳しくは
https://next-st.com/post/eventinfo/20220604-1/
お話/西村美奈子さん
株式会社 Next Story 代表取締役 富士通グループ在職中から「マチュア世代の働く女性のセカンドキャリア」をテーマ に研究に従事。早期退職後、自身の経験と研究をベースに会社設立。昭和女子大現代ビジネス研究所研究員、2級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)
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