人間関係に疲れてもう辞めたい。40代の転職は現実的?

2018.02.13 WORK

仕事上の困難は、ステップアップするためには必要な時もありますが、仕事を続けること自体が苦しくなってしまう場合もあります。

特に人間関係のストレスは、自分だけではどうすることもできないケースも多いものです。そんな時には転職や退職を考えざるを得ませんが、その後の生活のことを考えると安易な選択は禁物。収入減によって暮らしが大きく変わってしまうリスクを避けるためには、冷静な計画性も必要です。

 

塾講師は、生徒・親・職場の3つの人間関係をこなす

千葉県の学習塾で講師をしているM子さん(46歳、独身)は、半年ほど前から続いている仕事上のトラブルに悩んでいました。仕事は講師1人が2人の中学生を担当する形式で、宿題や定期テストの勉強をする補習中心の塾なのですが、そのうちの生徒1人が塾に行きたくないと親に訴えたようなのです。

すると、親が学習塾に怒鳴り込んできました。M子さんのやり方が悪いから、自分の子供が塾に行きたがらなくなったと言うのです。

M子さんには心当たりがありません。子供の様子に変わったところはなかったのですが、1ヵ月ほどもめた挙句、その子は塾をやめてしまいました。

それだけでも相当なストレスでしたが、その後は職場から浮いたようになり、それもまたM子さんを苦しめていました。

そのため、M子さんはこの頃から退職を考え始めるようになりました。

 

仕事をやめても生活できるか、可能性を考えてみる

しかし、いっときの感情だけで退職し、その後の生活に困ってしまうのは避けたいと思い、M子さんはマネー相談に訪れました。

M子さんの年収は450万円、貯蓄は200万円ありました。一人暮らしの住まいは、6年前に住宅ローンを組んで購入したマンションです。毎月の返済と管理費の合計は9万円ほど。60歳で完済予定です。M子さんは貯蓄が年収の半分くらいあるので、半年くらいは休養をとって気持ちをリフレッシュできるのではないか、と思っていました。そこで、実際にできそうなのか計算してみました。

 

M子さんの収支
手取り収入 310,000
住宅ローン+管理費 90,000
食費 50,000
光熱・水道 6,000
家具・家事用品 7,000
被服及び履物 20,000
保健医療 3,000
交通・通信 15,000
教養娯楽 10,000
美容 10,000
交際 10,000
保険 7,000
その他 7,000
生活費合計 235,000
貯金 75,000
支出合計 310,000

 

M子さんの生活費は月23万5000円。切り詰めたら月20万円で生活することも可能かもしれません。さらに、自己都合退職でも、退職後90日の待期期間を過ぎれば雇用保険の給付(=失業保険)が1ヵ月に18万円ほど受取れます(受取りにはハローワークに求職の申し込みをするなどの条件あり)。

M子さんが今の仕事をやめてから3カ月間は、貯蓄を取り崩して生活するとして、20万円×3カ月=60万円が貯蓄からのマイナスです。

その後失業給付(約18万円)を受取るとして、足りない分(2万円)を貯蓄から支出すれば、2万円×3カ月=6万円ですから、合計66万円。半年間収入が途絶えても、貯蓄で乗り切れそうです。

 

ただし、これは半年後に必ず再就職ができるとすれば、そして今と同等の収入があれば、の条件が付きます。

M子さんは塾講師の経験が15年ほどありますので、次も同じ職種を選ぶならその点では有利です。しかし、M子さんは職種も変えようかと考えていました。塾講師は人間関係のストレスが大きく、今後も続ける自信を失ってしまったのです。

 

40代の転職の現実とは?

収入も大切ですが、それも心身ともに健康であればこそ。心を病んでしまうくらいなら、他の職種に転職してもいいのかもしれません。しかし、46歳での転職は実際にはなかなか厳しいのが現実。再就職先が見つかっても、収入減になることは覚悟したほうがよいでしょう。

もしも年収が300万円になったら、月の手取りは21万円程度。生活はなんとかできる金額なので、M子さんにとって再就職先の収入は、年収300万円以上が最低限の条件になります。

ただし、住宅ローンと管理費だけで月9万円ですから、かなり負担が大きくなります。当然、貯蓄もできません。

 

そこで、まずM子さんがするべきことは、再就職をした場合の収入の自分の相場を知ることです。相場の収入は、転職サイトやハローワークなどで調べてもらうことにしました。

そのうえで、年収300万円より多くなりそうなら、転職を考えてもいいかもしれません。失業状態での就職活動は、気持ちが焦り有利な交渉ができなくなってしまうことが多いので、できれば退職前に、次の就職先を決めておくとよいでしょう。

そして、年収300万円に満たない場合は、転職するならマンションを手放すことも考えなくてはならないでしょう。月収の半分以上がローンと管理費に消えてしまうのは負担が大きすぎます。ローンの支払ができなくなってしまうのは時間の問題でしょう。

 

ストレスに疲れたら、早めの相談が大切

転職について、経済的な視点で考えるには気持ちの余裕がないと難しいものです。悩みが深くなると平常心で冷静な判断が難しくなりがち。「とりあえず退職する」という行動に出て、後から経済的に困ることにもなります。

M子さんの場合は結局、学習塾に転職し、現在は年収400万円。収入は減りましたが昇給の望みはあります。他の職種では、未経験のため年収300万円程度で生活が苦しくなるのが明らかなので、いろいろな仕事に応募してみた結果、補習塾の講師になりました。

早めに相談することで、お金という客観指標をもとに、現実的な年収や職種別のシミュレーションをしながら「勤め始めたあとまた転職しなくていい確実な再就職先」を検討できました。人材業界とはまた違う視点を提供できるのは私たちFPならではと思います。転職前、半年間の休養はとれませんでしたが、1カ月ほどゆっくりする期間を作れました。

 

40代での転職は決して簡単ではありませんが、不可能ではありません。戦略的に行動することで可能になることがたくさんあるのです。

 

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■タケイ啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。大手生命保険会社から保険の総合代理店に転職し、保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知されるが治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

 

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