がんの治療開始までに「やっておくべきこと」って?案外基本的です【医師の本音】#5

「子宮頸がんかもしれません」、ある日突然そう言われたらどうしますか?

あるいは、乳がん、子宮体がん、卵巣がんなど女性特有のがん。

がんのセカンドオピニオン」を中心に診察する医師・新見正則先生に「どうすべきか」心構えを教えてもらいました。

「女性特有のがん」と40代【医師に聞く】

子宮全摘出にはそれほど執刀数での経験差が出ない。再建や形成は注意が必要

アキ「話を戻します。子宮全摘出にした場合、術後の身体の感覚はずいぶん変わるんでしょうか?」

 

新見「そうですね、子宮頚まで切除しますので、膣の全長がちょっと短くなります。性交渉はできますが、性的にアクティブな女性の場合は以前と同じように奥までは届かなくなると思ってください

 

アキ「手術の難易度について教えてください。たとえば、子宮全摘出は執刀数が多い名医を探し出すべき難しい手術なんですか?」

 

新見子宮全摘出は執刀医での差がそれほど出ないため、地元クリニックでもじゅうぶん対応できます。でも、子宮頸がんで、がんが子宮頚部だけでなく子宮体部の奥や周囲にまで到達しているのなら、ちょっと難易度が上がります。がんを専門的に扱う大きな病院のほうがいいでしょう」

 

アキ「ちょっと話がそれてしまうのですが、ちなみに先生のご専門の乳がんの場合、執刀医の選び方はありますか?」

 

新見子宮も乳房も、じつは取るのはそれほど大変ではなく、難しいのは再建なんです。どんな内容であれ、再建、形成といった分野は形をつくる技術と、形を決めるコミュニケーションの両方がものをいうため、経験豊かな専門の執刀医を探すのがベターです」

 

アキ「子宮頸がんにも再建があるんですか?」

 

新見「はい。妊娠を希望する時は子宮頚部のみを切除して、膣と子宮体部を繋ぐ再建手術が可能な場合もあります」

 

アキ「乳がんは部分切除にすれば術後もラクなイメージです」

 

新見「ところがいま、乳がんは部分切除が減り、全摘出が増えています。ぼくのところにきて相談すればするほどみんな全摘出を選びます。シリコンでの再建を考慮すればいいのです。乳房再建は上手な先生を選んで行ったほうがいいです。」

 

アキ「以前は傷口は小さいほうがいいと言われていましたよね? なぜ全摘出を?」

 

新見「乳がんの部分切除は、そのあと30回の放射線照射を受けます。この照射のせいで皮膚が厚く硬くカサカサになってしまうんです。皮膚の伸びが悪くなるため、結果的に再建が困難になってしまう。この放射線照射を避けるために、また残存乳房の再発がゼロになるという理由からも、全摘出がいいということになるのです」

 

アキ「再建しないのなら手術はそれほど大変ではないということですね」

 

新見「はい、私はもう再建しなくていいわという人ももちろんいます。どのケースも納得いくまで話し合って選択できることが大切です」

 

がんの治療開始までに「やっておくべきこと」って?

アキ「ちなみに私は39歳でHPVへの感染がわかっていましたが、それからでもワクチンを接種すべきだったのでしょうか?」

 

新見「あまり知られていませんが、ほとんどの成人女性はHPVに感染します。しかし、多くの場合、免疫の力が働き、感染しても異形性に至らないのです。異形性になっても正常に戻るんですね」

 

アキ「免疫は大切なんですね……」

 

新見「26歳までは性交渉があっても、つまり感染している可能性があってもワクチンを打つべきだと考えられています。いっぽうで、46歳以上ならばワクチンの意味がないとされています」

 

アキ「これから閉経を迎えると女性ホルモン分泌が減り、自然に異形成が落ち着いていくということはありますか?」

 

新見「子宮筋腫や子宮内膜症は閉経と症状の緩和が関連しますが、子宮頸がんは女性ホルモンの影響を受けません。ですが、異形性が正常に戻ることもあります。これも免疫の力で正常に戻しているのです。むしろ、軽度異形性ではがんになるよりも正常に戻ることの方が多いのです。正常に戻ることがない状態をがんと思えばいいです

 

アキ「ひとまず子宮全摘出を念頭に、出産時にかかった病院への紹介状をもらおうと思います。精密検査までにがんを進行させないため、やっておいたほうがいいことって何でしょう? 子宮を温めるとか?」

 

新見「異形性の段階ではいわゆる免疫力でがんにならないようにしているのです。ですから、バランス良く食べる、ストレスを減らす、適度の運動をする、禁煙する、お酒は適度に飲むなどの世の中でよく言われている健康管理を心がけましょう」

 

アキ「ヨモギ蒸しのような、子宮を温める取り組みは?」

 

新見「気持ちがよくて、お金もそれほどかからないことならやってみるといいでしょう。専門性のある人間を1人拘束するならば1時間6000円はかかるものです。ただし、ひとつ思い出してほしいのは、お料理のとき大きい塊の肉に火を入れようとしても中心はなかなか温まらないことです。外から熱を加えても身体の内部にある子宮は温まりません

 

アキ「言われてみれば……。漢方薬を飲んでおくのはどうでしょうか?」

 

新見「ぼくはフアイアという明らかな抗がんエビデンスのある漢方エキスの普及活動をしています。明らかに免疫力を上げる生薬です。がんの患者さんたちが苦しむ姿を見て、力になりたいと探し出したもので、奏効率も明らかですから大変におすすめです。ぼくのクリニックで処方できます。そのほか、朝鮮人参の配合された漢方薬も免疫が上がるのでいいでしょう」

 

アキ「私は貧血で、過多月経のせいでいつもフェリチン値が低いと言われます。鉄剤も飲んだほうがいいですが?」

 

新見「フェリチンは体内の貯蔵鉄ですので、あまり気にしなくていいです。症状に直接関係するのはヘモグロビンです。不安にかられて何でも飲むのではなく、貧血があるなら貧血の改善のためと、意味のあるものを飲んでください。貧血そのものも子宮頸がんに直接的にマイナスには働きませんが、総合的な免疫力を考えると貧血の状態はよくない。バランスのよい食事をとることが大切です」

 

つづき>>>治る人はここが違う。医師が教えるがんの「治りぢから」向上

>>>こちらからご覧ください

 

 

 

お話/新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。2013年イグノーベル医学賞受賞。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在はがん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。セカンドオピニオンのパイオニアとして次の仕事は「第三者がオンラインで参加する開かれた診察室」を広めたいと思っている。また漢方の勉強中に出会った世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙をライフワークにしている。

https://niimimasanori.com/

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