このPMS症状・生理痛「放置しても大丈夫?」判断基準を医師に聞きました

あなたは普段、生理痛やPMSをどのくらい我慢していますか? 最近では、職場でも正直に「今日、生理なのよね…」「今PMSだからイラつきやすいから気にしないで」などと身近な人にだけ発言することもあるのではないでしょうか。以前と比べてずいぶんオープンにはなってきたものの、いまだに病院には行かず、我慢で乗り切るという考え方が浸透しています。でも、本当にそれでいいのでしょうか?

そこで今回は、ツムラが実施した調査結果をもとに、現状の生理痛とPMSの症状に対する実態を知っておきましょう。気になる男性の意見も公開。最後の婦人科医のアドバイスも、ぜひ確認して!

 

みんな生理痛を我慢している!

ツムラが、2022年1月27日(木)~ 2月1日(火)、15歳~49歳の生理の経験がある6,000人の女性を対象にした生理・PMS(月経前症候群)への本音調査を行ったところ、こんな結果が出ていました。

生理痛やPMSで辛くても、49.8%は周りの人に伝えないことが判明。どうして? その理由には 「表現しにくい」「わかってもらえない」「我慢するものだから」が上位に。

しかし生理痛やPMSについて周囲の人に理解してもらえず、61.9%と約6割が「辛い思いをした」と回答しています。

 

生理痛とPMSの症状は千差万別

実際、どんな症状を感じているのでしょうか。生理痛やPMSによる症状の感じ方を聞くと、実に千差万別!

腹痛の症状では「ズーンと重い感じ」「ギューっと絞られている感じ」が多く4割超え。全身の症状では「倦怠感、だるい」が59.5%で断トツ1位に。「気持ち」については「ちょっとしたことでイライラ」が56.1%で断トツ1位でした。

自由回答を見てみると、こんな表現をしている女性たちがいました。

 

<お腹まわりの痛み>

・お腹にフォークをグサグサ刺されている感じ(16歳 埼玉県)

・トンカチなど鈍器でたたかれるような腹痛(20歳 広島県)

 

<腰や子宮まわりの痛み>

・小学生が腰につかまっている感じ(23歳 神奈川県)

・腰をハンマーで殴られて動けないような痛み。腹はミキサーにミンチにされる

ようなズキズキ感(31歳 千葉県)

 

とてもリアルな表現! でも、どれも女性からしてみれば「あるある」ですよね。

 

男性も心配している?理解度が上がっているかも

続いては、ツムラが15歳~49歳の男女15,000人を対象に、生理・PMSへの理解度を調査した結果を見ていきましょう。

生理痛とPMSの理解度を尋ねたところ、男性は生理痛が41.1%、PMSが16.8%という結果に。PMSの理解度が低いのはうなずけるものの、生理痛が約4割にも上っているのは驚きます。

 

また「周囲の身近な人が、生理やPMSで体調がすぐれない様子を見て心配」に感じているのは、全体で62.9%、男性で53.6%、女性で72.6%でした。

「生理やPMSについて話題にすることはタブーではない」と感じているのは全体で61.2%、男性55.9%、女性66.6%。

ひと昔前までは、生理やPMSについて触れることが「タブー」という感覚があったものですが、その風潮は薄まってきているようです。

 

婦人科医「我慢しないで!医療機関に相談を」

とはいっても、我慢している女性が大多数という事実は決して見過ごせません。これらの調査結果に対して、「霞が関ビル診療所」 婦人科医の丸山綾先生は、次のようにコメントしています。

「今回の調査では月経痛やPMSに対してさまざまな痛みの表現が寄せられ、感じ方は人それぞれで全く違っています。痛みの感じ方は個人差があり、他人と比較することはできません。ですから、痛みをわかってもらえないから我慢する、と考えるよりも、大切なのは『ご自身でできる選択をしてみる』こと。例えば、医療機関を受診するなど、症状を緩和させることを考え行動することも、一つの選択肢だと思います。自分の今の痛み、月経痛やPMSにどう対処するか、ご自身の体について向き合ってみる(考えてみる)ことも大事です。婦人科医には、あなたの痛みを緩和し改善するためのノウハウがあります」

「婦人科を受診するというと、若い方にはハードルが高いと感じる方もいらっしゃるようですが、先に申し上げたように『痛みは個人差が大きい』ものですから、どの程度の痛みなら受診するという目安はありません。『自分の状態がどうなのかわからないので知りた

い』という場合でも、気軽に受診してください。ただし、『日常生活に支障がある』『以前より症状が重く辛い』『月経痛で動けないほど痛い』方は、ぜひ一度、受診をお勧めします。子宮内膜症や子宮筋腫などの器質的疾患の有無を検査しましょう。これらを放置しておくと、症状の悪化だけでなく、不妊や将来的にがんの原因となることもあるからです。

また、どのような症状でも、今より改善する可能性があることを知っておいてください。例えば、『座っていれば、仕事や勉強・家事は何とかこなせる』という方は、低用量ピルや漢方薬などを服用することで『座っていなくても、通常通りに仕事や勉強・家事がこな

せる』ことが期待できます。またPMSのイライラ感は、薬を使用しなくても、白砂糖系のスイーツや辛い物などの刺激物を避けることで緩和が期待できるなど、自分でできる生活上の“養生のコツ”もいろいろあります。『このくらいなら我慢できる』ではなく、『月経前後でも月経以外の時期と同じように生活できる』ようなハッピーな生活を目指しましょう」

生理痛やPMSへの周囲の理解度も上がってきた今、そろそろ「我慢」するのは卒業したほうが自分のためになりそう。そして、同時に周囲やパートナーのためにもなりそうです。ぜひ参考にしてみてください。

 

お話しを伺ったのは…

丸山 綾(まるやま・あや)先生

「霞が関ビル診療所」 婦人科医。

1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院(現日本大学病院)、丸の内クリニックなどを経て、現職。専門は産婦人科一般、漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。

  • 霞が関ビル診療所 東京都千代田区霞が関3-2-5

 

【調査出典】ツムラ「生理・PMSの本音と理解度調査」

 

 

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