女にも「人肌が恋しい夜」はどうしてもある。そういうとき専用の対処法も【不倫の精算#49】後編

2022.05.03 LOVE

前編敢えて「ガードが甘い」バツイチ女を狙う既婚男。やっぱり入れ食い、なんですね【不倫の精算#49】前編」の続きです。

後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

 

人肌が恋しい夜はどうしてもある。そういうとき専用の対処法も

Fさんは酒を飲みに出歩くようなタイプではなく、どちらかといえば家でゆっくり一人の時間を楽しみたいほうだと普段の過ごし方を聞いていると思う。

 

彼氏の話を聞かなくなって数年、寂しいときもあるが

 

「サブスクっていうの?

動画を見放題のサービスに加入してね、週末は映画三昧よ」

 

と、自力で何とかするエネルギーを持っていることも知っていた。

 

これまで不倫などまったく話題に出たことがなく、だからこそ「行きつけのバーのマスターと肉体関係を持つ」彼女に何があったのかが気になった。

 

「Fさんが好きになるくらい、いい人なのですね、そのマスター」

 

本音ではないが、こう言えば彼女の気持ちが聞けるかと思って尋ねると、

 

「うん。

仕事の愚痴とか家族のこととか、相談も親身になって聞いてくれるしね、すごく頼れるの。

会社の男どもよりずっと頭がいいし、彼氏になってくれたらなーって思っていて」

 

弾んだ声でFさんは返す。

 

「でも、あの、不倫って大変じゃないですか?

好きなときに会えないし、奥さんの存在とか」

 

「そんなの、気にしなきゃいいのよ。

お店は日曜日がお休みだから毎週会えているし。嫁の話なんて出ないわよ」

 

ひらひらと手を振ってみせるFさんに、不倫への後ろめたさは感じない。

 

「こんな人が本当に彼氏になってくれたらな」と繰り返し、

 

「人肌が恋しいときにさ、抱き合える人がいるって幸せよね。

こればっかりは、人間じゃないと無理だもの」

 

と、Fさんは柔らかい表情でテーブルのカップを見つめた。

 

その不倫、お金が介在しなくても続いたのかしら。ヒモでもいいの?

彼との間に具体的に何があったのかは、知る気になれなかった。

今日は「久しぶりにお茶でも」と約束して会っていて、そこで不倫の話題を持ち出され、相談でも何でもないただの「ノロケ」を聞かされているだけだった。

 

誰かに触れてほしい欲は、確かに映画や動画では解消できないだろう。

それをしてくれそうな男性がいて、その人は既婚者で、まともな恋愛はできない前提があるからすぐ肉体関係を持てる。

親しくなり、恋愛感情を持ち、スキンシップの手順を踏んで最後にやっとベッドにたどり着くようなまどろっこしさがない。

 

「疑似恋愛」と自分で言うように、恋愛のフリをしながら人肌恋しさを埋められる。

不倫に走る多くの人が抱える飢餓感だった。

 

だが。

 

「売上の協力は、うまくいっているのですか」

 

茶化した調子で口にしたのは、「あなたの不倫はお金を介した関係」と自覚されたくないからだった。

 

「そうね」

 

カフェラテを一口飲んでカップをソーサーに戻してから、Fさんが答えた。

 

「毎週は無理だけど、なるべく高いボトルを入れて、あとおつまみとかご飯も注文して、お金を使うようにしているわ。

彼も『助かる』って」

 

新型コロナウイルス感染症の影響で一時期は店を閉めるときもあったそうで、既婚の彼にとっては「実家住まいでお金に余裕のある40代の独身女性」は手放せない太客になるだろう。

 

それが狙いで不倫関係に持ち込んだとまでは思わないが、もし彼女の金払いが悪くなればどうなるのか、それでも不倫を続けるのかはわからない。

 

「よかったですね」

 

笑顔の彼女に同じくにこにこと上ずった口調で返しながら、「疑似恋愛」という言葉を改めて反芻していた。

 

ホストクラブじゃないんだから、お客が全員「そう」じゃないのに

最初、Fさんが「不倫しているの」と言ったとき、「どうして」とこちらは返してそれに白けた表情を向けたのは、彼女が不倫の罪悪なんて考えていない証拠だ。

 

よくある話で、既婚者側の思惑など疑うことがない女性は多いが、お金が絡むと話は別だ。

 

「善意で」売上に協力することを当然とするようなつながりは、恋愛を装うのが男女の間だ。

それに「助かる」と感謝し、肉体を差し出して女性の欲を満たすまでが、既婚男性の役割なのだ。

 

不倫でないといけなかったのか。

 

どうしてもFさんに聞けなかったのは、肉体関係がなくても信頼と親愛でお店に通い続けることはできなかったのかという疑問だ。

 

カラダを交えれば、関係への執着が生まれる。

それをコントロールするのがどれだけ難しいか、独占欲の暴走で身を滅ぼす男女を見ていればよくわかる。

 

それを、Fさんは考えていない。

 

恋愛を装ってお金を払い続けるつながりが本当に自身が口にする「幸せ」なのか、次に連絡が来るのは「彼が奥さんを優先するの」とかありきたりな悩みかもな、とふと思った。

 

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この記事の前編>>>敢えて「ガードが甘い」バツイチ女を狙う既婚男。やっぱり入れ食い、なんですね【不倫の精算#49】前編

 

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