「押印」おういん?簡単なのに読み間違える漢字10選
この原稿を書いている日は五月ですが、空は快晴です。とても気持ちの良い晴天です。しかしここで「五月晴れ」と書いてはいけません。この「五月晴れ」を「ごがつばれ」なんて読んではいけないし、しかもこの言葉は「梅雨の晴れ間」にしか使えません。日本語って難しいですね。今日も簡単なのに読み間違いをしやすい言葉を集めました。さっとチェックしてみましょう。
1・欠伸
読み間違いの例
けっしん
正しい読み
あくび・けんしん
意味
眠いとき、退屈な時、疲労した時などに不随意的に起こる呼吸運動。あくびのこと。
例
会議が退屈だったので、思わず欠伸(あくび)をしてしまった。
説明
「けんしん」とは読みます。あくびと背伸びのことを「けんしん」というのです。いわゆる「あくび」は「欠伸」と書きますが、読めない人も多いので「あくび」とひらがなで表記することも多いようですね。
2・完遂
読み間違いの例
かんつい
正しい読み
かんすい
意味
完全に遂行すること。やりとげること。
例
任務を完遂(かんすい)する。
説明
「遂」は音読みでは「すい」としか読みませんので、「かんすい」に決定なのですが、訓読みだと「遂に」と書いて「ついに」と読みます。このあたりを混同している人が多いと推察します。
3・荒らげる
読み間違いの例
あらげる
正しい読み
あららげる
意味
荒くする。
例
声を荒らげ(あららげ)ないでください。
説明
「あららげ」なんて「ら」が多すぎない?と思う人もいるようです。しかし、もともと、荒々しいことを「荒らか(あららか)」というので、このような変化となるわけです。
4・首を巡らす
読み間違いの例
くびをめぐらす
正しい読み
こうべをめぐらす
意味
後を振り向く。昔の事を思い出す。
例
首(こうべ)を巡らすと、そこには懐かしい風景が広がっていた。
説明
「首」は「くび」と読みますので、間違いではないのですが、この場合は「こうべ」と読むのが正解です。
5・押印
読み間違いの例
なついん
正しい読み
おういん
意味
印判(いんばん)を押すこと。
例
ここに、押印(おういん)をお願いします。
説明
「なついん(捺印)」という言葉の方が多く聞かれるのではないでしょうか。署名のそばに印を押す時に言われますよね。ちなみに署名なし、例えば印刷されたものに判を押すだけの場合は、「捺印」ではなく「押印」を使います。ですから、宅急便の受け取りなどは「捺印」ではなく「押印」となるのです。
6・極彩色
読み間違いの例
ごくさいしょく
正しい読み
ごくさいしき
意味
極めて濃厚な色彩。転じて、派手でけばけばしい色どり。厚化粧にもいう。
例
話題のデザイナーは極彩色(ごくさいしき)の衣装を身にまとっていた。
説明
「彩色(さいしょく)」という言葉があるので、間違える人もいるようですが「彩色」も「さいしき」と読みます。
7・御利益
読み間違いの例
ごりえき
正しい読み
ごりやく
意味
利益(りやく)の尊敬語。神仏が衆生(しゅじょう)に与える利益(りやく)
例
御利益(ごりやく)のあるお札をお土産にいただいた。
説明
利益(りえき)という言葉があります。こちらは利得のことですね。「御」がついたら意味が変わります。神仏が私たちにくださるもの。読み方も「りえき」ではなく「りやく」となります。
8・五月雨
読み間違いの例
さつきあめ
正しい読み
さみだれ
意味
陰暦五月頃に降る長雨。また、その時期。つゆ。
例
五月雨(さみだれ)の季節になりました。
説明
「五月」には特別な読み方をする熟語があります。
五月……さつき
五月雨……さみだれ
五月晴れ……さつきばれ
五月蠅い……うるさい
「意味」のところにもありますが、五月雨は陰暦五月頃の雨ですから、今の六月、そう、梅雨のことです。同様に「五月晴れ」は六月の晴れ、梅雨の晴れ間を指しますので、五月に「今日はすがすがしい五月晴れだね」というのは誤りです。
9・雰囲気
読み間違いの例
ふいんき
正しい読み
ふんいき
意味
その場面またはそこにいる人たちの間にある一般的な気分・空気。周囲にある、或る感じ。ムード。
例
雰囲気の良いレストランですね。
説明
漢字をそのまま読めば間違いはないのですが、言いやすさから「ふいんき」と読む人も多いようです。また「囲」の字を「因」と間違えているという説も以前NHKで紹介されていました。
10・柔和
読み間違いの例
じゅうわ
正しい読み
にゅうわ
意味
性質・態度がやさしくおとなしいこと。
例
柔和(にゅうわ)な目をしている女性。
説明
「柔」は「柔道(じゅうどう)」や「柔軟剤(じゅうなんざい)」の「柔(じゅう)」なのでそう読む人が多いのでしょう。しかし「にゅう」とも読む漢字で「柔和」の場合は「にゅう」と読みます。
みなさん、どうですか? 読み間違いというものは、誰にでもあることです。間違っていたものは、この機会にしっかりと覚え直すチャンスですね。
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