「美容とリフォームの接点って何だと思う?」聞かれたらどう答えますか|『リフォームの爆発』町田康

2022.06.07 WORK

あなたは今週、どんな本を読んでいますか?

国内の読書会のパイオニアにして、日本最大級の読書コミュニティ「猫町倶楽部」のメンバーの皆さんが、働く40代女性のために自分の読書体験をシェア。おすすめの書籍が「自分をどう変えてくれたのか」、その体験を教えてくれる連載です。

今週のオススメ人は、神奈川在住のみぃすけさんです。

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はじめまして。神奈川県在住、アラフォー女性のみぃすけです。東京の美容系メーカーでインターネット広告の仕事をしています。基本的にいつ何時でも事務所に居るのですが、店頭イベントがあれば地方都市含めて支援に行きます。インターネット広告のことを考えることはもちろんですが、サロンスタッフとの雑談や店舗まわりの確認ができる支援業務も大好きです。

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今週の1冊▶『リフォームの爆発』町田康

美容師から住宅リフォーム会社にキャリアを変更するということ

あるイベントの空き時間、サロンスタッフとネクストキャリアの話になりました。

諸般の事情でハサミやブラシを置くことになった美容家のネクストキャリアの一つに、住宅の施工会社(特にリフォーム関連)があるそうです。

 

美容と施工会社の仕事に共通点はあるのでしょうか?

 

実家のリフォームがあったこと、町田康さんの作品に猫町倶楽部の山本さん(リフォーム会社経営者)が解説を書かれたことをきっかけに、『リフォームの爆発』(町田康・著/幻冬舎)を読んで考えてみることにしました。

 

町田ワールドのハチャメチャ展開と、形あるリフォーム。その相性は

予算内で抑えること、所在地の気候に合わせた対応が必要なこと、施主のライフスタイルがさまざまであること……。リフォームってオーダーメイドに近い、細やかな検討が必要です。検討しようと思えばどこまでも検討できますし、着手前には妄想ばかりが膨らむことになります。

 

そこへ持ってきて町田さんは、作品の半分近くを妄想に割いています。小説では独特のリズムでストーリー運びをする町田さん。エッセイでは心情描写に終始して外から止める人が居ないから、考えすぎて明後日の方向やメタ世界へと旅立っていきます。急にハチャメチャな世界が展開される一方で、しれっと元の話に戻してリフォーム検討を再開する大胆さがクセになります。

 

「間取りをこう変更したらどうなるかな? 」

「不具合が出ちゃうかしら? 」

「そのときどうする? 」

 

間取り変更を複数パターン、それぞれ限界まで掘り下げていくところには圧倒されました。様々な世界線の妄想が展開され、選択肢を一つ変えると未来がさらに分岐する。畳みかけてくるような分岐の嵐を真摯に描写するあたりに小説家らしさを感じ、リフォームを施主の視点で徹底的に記述してくれる町田さんの文章を贅沢に思いました。

 

猫町倶楽部代表・山本さんの解説で納得した、美容とリフォームの接点

文庫版のみ、リフォーム会社の視点で山本さんが心を尽くして解説されているのも贅沢な点です。以下は特に惹かれたことば。

 

私たち業者は打ち合わせと称する対話によって、施主の漠然とした不満の中身と真の理想とを探っていきます。(中略)ここを皮切りとし、持ち得るかぎりの知恵や技術でもって、お客さんの真意に迫る。

 

この部分を読み、施工会社の業務は美容に通じる面があると感じました。美容も、お客さまが心で描くイメージから本音を探り一緒に考えることで、より良いご提案につながるからです。この本を通じて店舗支援の際に抱いた疑問の答えを見つけた気がします。

 

リフォームについて、施主と業者両方の観点で楽しめる『リフォームの爆発』、とても面白いので、ぜひ読んでみてください!

 

 

『リフォームの爆発』町田康・著 660円(10%税込)/幻冬舎

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