【岩井志麻子】40代から「やめたほうがいい」人間関係とは?

2019.10.01 WORK

仕事で、服役経験者や刑務所への取材をしたことが何度かある。

そこで当事者達だけでなく、刑務官や弁護士といった関係者も口をそろえたのは、「やっぱり何がつらいって、人間関係なんですよね」ということだった。

人間関係は何よりつらい

シャバにいたって嫌いな人、敵や怖い人はいる。でも嫌な上司、同僚、客などは家に帰れば会わなくて済むし、夫だの姑だの家の中に嫌な人がいても、勤めに出たり外出すれば、顔を合わせなくてもいい時間は取れる。

刑務所にいれば、顔も見たくない人と朝から晩まで一緒にいなきゃならない。作業や食事、風呂や運動の場だけならまだしも、心底から嫌いな人と同房になった日には、隣で寝るんだよ。想像しただけで、やっぱり悪いことするのはやめとこうと思える。

 

常に一緒にいた、ある女性との話

しかし考えてみれば、私は少し前まで刑務所にいるも同然、みたいな精神状態にあった。
仕事関係で出会った女性と熱烈に親しくなり、仕事がないときでも一緒にいた。その蜜月は数年で終わり、破局後はお互い親の仇みたいに憎み合うようになった。

愛もあったから、彼女への憎しみで一杯になり、会わなくなってもそれこそ隣にいるかのように彼女のことばかり考えていた。親しい人達にも、眉をひそめられた。
「もう終わったことだから、忘れようよ。彼女に執着し続けるあなたを見ているとしんどそうだし、見ているこっちまでつらくなる」

 

「やめたほうがいい」人間関係とか

普通に考えれば、自分を利用だけしようとする人、返す気がない金を貸せといってくる人、裏表が激しい人、などなどが「やめた方がいい関係」だろう。

私にもそういう人達もいて、すぱっと縁切りした。その人達には、別れて清々した感しかない。

現在進行形の「やめた方がいい関係」は、やめたきゃやめればいい。だけどあなたにも、かつての私みたいな、そういう人間関係がないだろうか。

 

終わっている関係なのに

「終わっているのに、やめられない関係」だ。

執念、執着、粘着、未練、などといわれるものがとぐろを巻く関係ね。せっかくシャバにいるのに、精神が刑務所に入っているような状態は、いろんなものが無駄、もったいない。それに気づいて、やめた。

なまじ愛があったから、そうなってたんだけど。その愛に免じて、忘れましょうや。

 

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この記事は
作家 岩井志麻子

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