「 投資なんか危ないわよ、やめなさい」に隠されたたくさんの誤解とウソ

時代が変わりました。マネー環境は親の現役時代とは大きく違います。

上の世代をモデルにマネープランを立てると、のちのち「しまった!」ということに!

現代はネット情報が溢れていますが、なかには信頼性の低い情報もあります。まずはお金に関する間違いや思い込みをリセットし、正しい知識でマネー常識をとらえ直しましょう。

書籍『50代からの「確実な」お金の貯め方・増やし方教えてください』浅田里花・著/主婦の友社から7回連続でお金の新常識をまとめます。

【50代からの確実なお金の貯め方】#4

「株式投資は怖い」「ギャンブルだ」この誤ったイメージはどこからくるのか?

国が「貯蓄から投資へ」との声をかけ始めてから久しいですが、低金利が続くにもかかわらず、日本の「家計の金融資産構成」は現金・預金が50%を超えています。とても投資への関心が盛り上がっているように見えません。

学生など若い世代に聞いてみても、投資に関心がある人はまだ少ない印象です。どうも日本人には「投資は怖いもの」というイメージがあるようです。

 

投資商品の代表的なものといえば株式。ある夫婦から家計相談を受けたときです。夫から「勤め先に持株会ができたので参加したほうがいいでしょうか?」と聞かれた際、隣にいた奥さんが「株なんて手を出したらダメ!」とおっしゃいました。株式に対する多くの人のイメージが、私が証券会社で働いていた30年以上前と変わっていないことを感じます。

 

悪いイメージの理由として、元本割れすることもあるというのが一番大きいでしょう。せっかく貯めたお金が目減りするかもしれないとしたら、安全第一に
と慎重になるのはわかります。何といっても、50代はバブルの盛り上がりとその崩壊を若いときに見てきた世代です。それまで預貯金を中心に資金づくりしていた人のなかに、十分な知識と経験がないまま株式などの投資商品に手を出し、痛い目に遭った人がいることを見聞きしているでしょう。「投資などしないほうがいい」と感じたのも無理ありません。

 

振り返ると、当時は投資を行う個人が十分に守られていたとはいえない環境でした。いまは金融商品取引法によって販売ルールなどが厳しく定められており、ニーズや投資経験を無視した勧誘はできなくなっています。投資商品も当時より少額で買え、大きなリスクを負わないですむようになっています。いまは、自分で投資に回しても大丈夫な金額を定めて、それぞれのライフプランに合った投資を行うことができます。

 

投資と「投機」は別のもの。投資は対象の将来を見込んで応援する行為

また、投資のイメージが悪い大きな理由として、「投機」と混同していることが挙げられそうです。投機は文字どおり、機を見てお金を投じる行為。目的は預金金利では得られないような利益を短期で得ることで、株式や外貨の短期売買で利ザヤを稼ぎます。株式の信用取引や外貨のFXのように、少ない資金でも大きな取引ができる仕組みを利用します。

 

自分の思惑どおり相場が動けばいいのですが、反対方向に動いたら大きな損失もあり得ます。そういった一連の行為を「投資」ととらえていたら、ギャンブルのようなイメージになってしまうでしょう。

 

本来の「投資」は、投資対象の将来性を見込んで資金を投じ、応援する行為です。「自己投資」といえば、自分の成長を助けるため講座の受講料を払うことなどを指しますが、株式も同じで、この先業績が伸びそうな商品・サービスを提供する会社の株式に資金を投じ、事業活動を応援します。

 

見込みどおり会社が成長すれば、株主は利益の分配として配当がもらえ、投じた資金も株価の値上がりにより評価額が上がります。もし株式を売却すれば、元本以上の金額となって返ってきます。これは決してギャンブル的な行為ではなく、長い目で見てお金の成長をじっくり待つことといえます。

 

ただし、投資には鉄則があります。時間を味方につけるのですが…

50代はまだ100年人生の折り返し点を過ぎたばかりと考えれば、この先の長い時間を味方につけない手はありません。遠い先の老後のために、投資によって資金を成長させることだってできます。預貯金で安全第一を図っても、低金利下の利息ではお金を増やすことは期待できないのですから、「はじめに」でもふれたように、痛みの少ない少額の資金から、投資へと一歩踏み出すことをお勧めします。

 

気をつけるポイントは、まとまった資金を一度に投資しないこと。いま手持ちの預貯金はもちろん、この先退職金や相続によってまとまった資金を受け取ることがあった場合は要注意です。まとまった資金を手にした人は、「遊ばせておくのはもったいない!」という心理になることが多く、「早く預貯金ではない有利な金融商品に移し換えたい」と考えます。まとまった資金を入れた口座のある金融機関から、積極的な勧誘があることも、その心理を手伝うのかもしれません。

 

投資で失敗しない原則は「分散」です。「同じものに投資しない。同じときに投資しない」を覚えておいてください。

 

明暗を分けた2つのケースをご紹介しましょう。1つ目は、日本株市場が低迷していた2003年頃に退職。金融機関に勧められるまま退職金の多くを1つの金融商品(変額年金保険)に回した方です。「よく理解できていない金融商品をもったままでいるのが、どうにも心地悪い」ということで、私のところに相談に来られたのが2007年頃です。4年間で日本株市場は上昇しており、元本が増えていたので、解約して増えたお金を手にしました。たまたまタイミングが非常によかった結果オーライのケースです。

 

もう1つのケースは、株式市場活況の2007年頃に退職。やはり勧められるままに退職金の一部で金融商品(投資信託)を買いました。翌年リーマンショックが直撃。買った投資信託は大きく評価額を下げ、解約すると元本割れするので、しばらく様子を見ることにしました。数年後にアベノミクスによる株価上昇が始まりましたから、元本以上の利益を出せたと思われます。もし退職金の多くを注ぎ込んでいたら、入り用が生じたとき、損が出ていてもやむを得ず取り崩すことになっていたかもしれません。

 

退職時期の金融・経済情勢が明暗を分けるなんて、その人の責任にするのは気の毒です。しかし、理解できていない金融商品に大きな金額を注ぎ込むのはNG。「同じものに投資しない。同じときに投資しない」が鉄則です。

 

▶【次の話】家計の管理を「全部妻にまかせている」夫は要注意。気づかぬうちの大損エピソード

 

文/ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)・生活設計塾クルー取締役 浅田里花

1959年兵庫県生まれ。 同志社大学文学部卒業。大手証券会社を経て日本初の独立系FP会社である株式会社エムエムアイに入社、ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。1993年に独立し、フリーでの活動をスタート。

現在は、生活設計塾クルーのメンバーとして、一人ひとり・家庭ごとに合った資産設計、保障設計、リタイア後の生活設計等のコンサルティングを行うほか、新聞・雑誌等への原稿執筆、マネーセミナー講師などを手がける。また、東洋大学社会学部の非常勤講師を務め、学生にパーソナルファイナンシャルプランニングの基礎を伝える働きも。

 

 

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この記事を書いたのは
OTONA SALONE編集部 井一美穂

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