「ひとりはイヤ」誰とでも寝るほど孤独がつのる【不倫の精算・リバイバル1】(後編)
「最後はひとり」の現実は変わらない
だが、最初に関係を持った医師とはすぐに終わる。「あまりにも近場の女に手を出しすぎる」のが原因で、同僚と彼を「共有」するのが耐えられなくなったのだ。
ここで目が覚めれば良かったのだが、
「既婚者って楽なことに気づいて。お互いその気ならすぐ付き合えるし、嫌になったら別れるのも簡単だし。追ってこないじゃない? こじれないから楽なの」
気がつけば、今度は別の病棟で勤務する年下の既婚男性と肉体関係を結んでいた。「きっかけさえあれば進むのは早い」のが社内不倫。この男性とも4ヶ月ほどで別れたが、最後は別の男性と「二股」状態だったという。
婚活ではまともに相手にされなかったのに、既婚者だと簡単に求められる。それは、「自分に関心を持つオトコがいるかどうか」の証明にはなったが、本当に彼女が欲しい幸せからは程遠いものだ。
社内不倫はリスクが高い。バレればクビにはならなくても意図しない病棟の勤務に飛ばされるのは必至だし、相手の配偶者から慰謝料を請求する可能性だってある。それを指摘すると、
「うん、そうなんだよね。わかってるんだけど、病院以外での出会いなんて本当に望めなくて……」
とA子さんは深くため息をついた。
A子さんはただ、結婚相手が欲しいと思っていただけだった。それがつまずいたとき、現実の厳しさを知り、改めて孤独の恐ろしさを間近に感じた、という。
「こんなことしていても、最後はひとりなんだよね。早くまた婚活始めなくちゃ……」
そう言いながら、A子さんは彼と会うために席を立っていった。
年齢が上がるにつれ、婚活が上手くいかなくなるのはよく耳にする話だが、失敗したことでより「ひとりぼっちの自分が怖くなった」、というA子さん。
だが、不倫に走ったところでその孤独は解消されないばかりか、不要なリスクまで背負うことになる。
結局、自分を追い詰めているのは自分なんだと気がつくことが、この泥沼を抜け出すきっかけになるのではないだろうか。
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取材・文/ひろたかおり
この記事は2017年12月に初回配信されました
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