パンプス買う人「痛くないようにワンサイズ大きく」は絶対NG。 あなたがいつも靴選びを失敗する原因をプロが解説

2023.04.05 WORK

「パンプスを買って失敗した」という経験をお持ちの方は一人や二人ではないと思います。新年度のスタートで、新しいパンプスを買ったばかりだけれど、さっそく痛い目にあっている人もいる時期。

 

店員さんともたくさん話をして、色々な靴を試着し、コレだ!と思って買っても、いざ履くと足に合わない。どうしてこんなことが起きるのでしょう。

 

それは、売る側、買う側の色々な事柄が複雑に絡み合ったため。売る側の事情と、買う側の事情、それぞれの側から考え、足に合った靴を手に入れるためにはどうしたらよいのかを考えていきたいと思います。

 

「きついことは悪いこと」ではない。むしろ、きついほうが正しいんです

店頭で試着しながら「ワンサイズゆるいパンプス」をお勧めされた場合、残念ながらそれは「ダメなお店」です。その理由はあとで説明するとして、先に「正解のパンプス」からお教えしましょう。

 

筆者のように、個人専用で木型からオーダーパンプスを作る者からすると、既製のパンプスを選ぶときには「少し小さめ」の「本革」パンプスを選び、伸ばして履くのが絶対的な正解です。

 

足に合った木型から作る、「自分の足にぴったりのオーダーパンプス」を初めて履いたお客様が多く感じる第一印象は「キツイ」です。コレには理由があります。

 

まず、今まで緩いパンプスばかり履いてきて、「足に当たる部分があるパンプスはダメ」「緩いのが当たり前」という足の皮膚感覚を払拭できないから。オーダーで木型から作ると足の骨に合わせてしっかりと形を合わせて作るので、基本的に無駄な隙間がなくなり足全体が包み込まれます。今までパンプスが触れたことのない足の部位に靴が触れるため、慣れないのでキツイと勘違いされるのです。

 

木型から作るオーダパンプスに近い状態を目指して既製のパンプスを選ぶ時に、少し小さいサイズを選ぶのは、緩い靴を履いてきた人には勇気のいることです。しかし、足全体が適度な締め付けで包みこまれるのが本来のベストな靴です。足に合ったパンプス選びの第一歩は、キツイことは悪いという認識を改めることなのです。

 

正解は、小さめの靴を買って「自分で調整する」。そんなに難しいことではないのです

そして、「本革」と素材を指定したのも理由があります。小さめのパンプスで足当たりがキツいところを「ストレッチャー」という機材で伸ばして緩めるのですが、このためには本革が必須です。

 

靴屋さんの店頭では革を伸ばすような、形が変わってしまうような調整は基本的に行ってもらえません。手間や時間もかかるし、形を変えてしまうと新品として売ることが難しくなるためです。そのため、伸ばす手間のない大きめサイズを勧めらます。

 

シューフィッターのいる靴屋さんの中には調整をしてくれるところもありますので、ぜひ相談してみて下さい。ただし、追加で料金がかかったり、その場でガツンと調整して靴が傷んだりする事もあります。自分で時間を掛けてやったほうが靴に負担がかからず長持ちします。意外と簡単なので、いちど覚えたらあとはご自身でやってみるといいでしょう。

 

ここで注意点です。合皮素材はストレッチャーを使うと伸びずに裂けてしまうので、必ず本革の靴であるかを確認して下さい。ストレッチャー自体はネット通販で3000円程度で購入できるので、一家に1台あっても損はないと思います。

 

ストレッチャーの使い方は簡単。少し小さめの本革のパンプスの、足が当たりすぎだと感じる部分にコマを付けて、靴の中に入れて広げる。これだけです。広げるときに、ドライヤーなどで一度熱を入れてから広げて、1日程度放置しておくと効果的です。

 

緩いパンプスは害しかない。苦痛を感じる靴ばかりなら、安価なオーダーも検討すべき

伸ばして履くのにちょうどいいぴったりの小さめ靴が見つかる人はいいのですが、足が小さい方、細い方はなかなか小さい靴が見つからないと思います。これも大きめサイズが多く作られているせいです。1000人いれば、2000通りの足があり、ほぼ同じ足に巡り会うことはありませんが、皆さん大量生産された同じ形の靴を無理をして履いているのです。

 

もう無理?!と思っている方は、一度オーダーパンプスについて調べてみてはいかがでしょうか。歩くという人間として基本的な動作をサポートする靴も、今3D技術などで進化し、価格も手頃になってきています。先に正解のパンプスを履いて、答えを知っておき、それに近い既製品の靴を探すのも一つの方法だと思います。

 

では、なぜこのように「本来の足にあった靴以外をお勧めされてしまうのか」、構造的な問題を考えていきます。この部分さえわかっていれば、店頭で販売員さんが何をどう判断しているのか理解できるはずです。

 

▶【後編】戦慄…常に「顧客にとって本当にいいもの」以外を勧められてしまう?「パンプス」が背負う事情とは

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