一生働かざるを得ない時代。40代がセカンドキャリアを考え始める【ベストなタイミング】って?
人生100年時代といわれ、これからなるべく長く、生活費を稼ぎ続けねば…しかし、いくつまで働けるのか…。今はまだ仕事があるものの、将来いつまでここにいられるのか、もしかしたら必要とされなくなるのでは…とミドル世代に突入すると不安になるもの。
まだまだ先のこと…、と油断していると、人生をまっとうできる生活費を稼げないかもしれませんよ!
年金だけでは暮らせない時代、継続的に安定して仕事をゲットできる人になるには?
キャリアの専門家にアドバイスをいただきました。
▶▶スーパーで「カゴにコレを入れる人」は貧乏になる?5つの商品とは
先輩方も「働き続ける」のが課題。今ドキのシニアの意識とは?
求人検索エンジン「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社が、50歳~79歳の1,800名を対象に「シニア世代の就業」に関する意識調査を行ったところ、50代から70代の58.3%がシニア期も「働きたい」もしくは「働く必要がある」と感じていることがわかりました。
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9割以上に不安や課題が…
一方で、9割以上が不安や課題を抱えていることが判明したのです。
シニア期も働く意欲・必要性があると回答した人のうち、92.7%が働くことについて不安や課題を抱えていることがわかりました。
不安や課題の内容で上位に挙がったものは「健康状態が維持できるか」(59.6%)、「働くための気力を維持できるか」(38.5%)、「肉体労働に耐えられるか」(28.1%)でした。
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セカンドキャリア実践者は20%未満
またシニア期に働くことを見据えて行動し、現在就業している人、つまりセカンドキャリア実践者は、全体の19.1%にとどまりました。年代別では50代が15.3%、60代が29.8%、70代が12.0%です。
シニア期に自分が改めて輝きながら働きたい。そんな気持ちを持つ人は多いようでしたが、60代にならないと準備を始めない傾向があるようです。
セカンドキャリアを考えるタイミングは早いほうが良い
キャリアデザインなどに詳しい法政大学経営大学院 藤村博之教授は次のようにコメントしています。
「シニア期のキャリアを考える上で大切になってくることは、まず考えるタイミングです。
調査では3人に1人は60歳以降に考えているという結果となりましたが、その先も働く年数が長くなってきている中で、もっと早くから考えることが望ましいでしょう。タイミングとして推奨したいのは50歳。
55歳だと定年までにできることの選択肢が限られやすいですが、50歳のタイミングであれば、65歳まで働くと考えてもまだ15年あるため、転職も含めて選択肢を広く考えることができ、新しいことに挑戦するエネルギーもあります。」(藤村博之教授)
まだまだ今は夢中で日々をこなしている、というミドル世代も、遅くとも50歳になったら次のフェーズに思いをはせるべき、と意識しておきたいですね。
とはいえ、「そんなにハイキャリアなわけではないし、自分には何のキャリアもないし…」なんて思う人もいそうですが…?
「多くの方が会社・組織の辞令で仕事内容などが決められる環境で働いているため、自分のスキルや能力、経験を整理することがないまま定年を迎えてしまいます。
企業で50歳の社員を対象にした研修を担当することがありますが、自分にあまりスキルや能力がないと感じている人が非常に多いです。しかし、これまで社会人経験を積み重ねる中で、スキルや能力がないことはありません。自分のキャリアを棚卸しして、言葉で表現できるようにしておくことが大事であると考えています。例えばキャリアアドバイザーのような第三者の力を借りたり、会社外の違う世界の人と議論したりすることも、自分の能力を整理して、どう活かせるのかを考えるきっかけになると思います」(藤村博之教授)
「キャリア棚卸&発見シート」を活用してみよう
いままでのキャリアの棚卸…なんて何から考えればいいの?という人におすすめなのが、転職ポータルサイトなどが公開しているキャリアを自分で振り返れるフォーマットを活用すること。求人検索エンジンのIndeedが無料で公開している「キャリア棚卸&発見シート」をぜひ見てみましょう。
これまでの仕事内容、自身の強みやスキルの発見、仕事におけるアピールポイントの書き出し、今後のキャリア形成に向けて必要なことの整理や設計を行うことができる手軽なツールになっています。
早速、「キャリア棚卸&発見シート」を用いて、筆者自身の棚卸しをしてみました!
ステップ1:これまでの経験の振り返り
出典「キャリア棚卸&発見シート」より(以下、同)
自身のこれまでのキャリア(仕事やプライベートにおける活動)で評価されたことや感謝されたことなどを、具体的なエピソードをもとに年代別に書いてみます。
筆者はライフステージの変化に応じてけっこう転職を繰り返してきたため、各所での経験をすべて書き出しました。評価されたことや感謝されたことを思い出すというのは、なんだか楽しい作業で、自己肯定感があがる実感が…。
ステップ2:強み・スキルの棚卸
強みについては「対人関係における強み」、「物事に取り組むときの強み」、「課題解決における強み」、自分の性格や行動の特徴にあてはまるものを選択すると、それぞれに紐づいた「強み」ワードを参照すると、そのまま職務経歴書や採用面接でのコメントに使えて便利!
ステップ3:経験・強みを言語化する
これらを振り返って、最終的に振り返った経験とスキルを組み合わせて、アピールポイントを文章化していきます。
いきなり自分のアピールポイントを書くのは難しいですが、ステップを踏むと、何を自分のキャリアの強みにするのか見えてきやすいですね!
ミドル時代からセカンドキャリアをちょっと意識しつつ、50歳の節目には絶対に具体化しよう!と決めておくだけでも、きっとその先の人生が変わりそう。
人生100年時代、いつまでも自分の可能性を信じて、前向きに生きていきたいものですね!
【有識者プロフィール】
藤村 博之(ふじむら ひろゆき)さん
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
京都大学助手、滋賀大学助教授、教授を経て、1997年に法政大学経営学部教授、2004年4月から現職。専門は労使関係論、人材育成論。著書に、『人材獲得競争―世界の頭脳をどう生かすか』(竹内、末廣と共著、学生社、2010年)、『新しい人事労務管理[第6版]』(共著、2019年)、『考える力を高めるキャリアデザイン入門』(編著、2021年)などがある。
【調査出典】
Indeed「シニア世代の就業」に関する意識調査を実施
【参考】
「キャリア棚卸&発見シート」
(取材・文/笹山真琴)
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