梅宮アンナ初の独白「40年前、私立小で教師にいじめ抜かれた私が、ひとり娘のお受験を決めるまで」#1
なぜ、お受験させようと思ったのか? 「私、教師にいじめ抜かれた壮絶な過去の経験があって」
——なぜ、そこまで苦労してでも、百々果さんの私立小学校進学にこだわったのでしょうか。
とにかく、早くから百々果を彼女の個性にぴったり合った学校に行かせてあげたかったんです。今、思えば公立でもよかったのかなとも思うんですが、親が芸能人なので、浮いちゃったらかわいそうかなとも考えましたし。
実は私も高校までエスカレーター式の私立小学校に入学したのですが、もともとあまり校風が合わなかったところにきて、小学校6年生で担任にいじめ抜かれたんです。文字通り地獄のような日々でした。
大げさではなく、毎日、辛くて死にたいって思っていましたから。今でも、どうして両親はもっと私に合う学校を選んでくれなかったのかなと思うほどです。親が芸能人という特殊な家庭なんだから、せめてそういったカラーを受け入れてくれる学校に行かせてくれたらよかったのにって。
学校だけでなく、家の近所の子どもたちにも「外人、外人」とからかわれるので通学路も苦痛だったし、小学校時代はあまりいい思い出ってないんです。
――傷口をえぐるようで申し訳ないのですが、どのような思い出があるのでしょうか?
小学校時代はつら思い出ばかりがたくさんあります。あれは忘れもしません、6年生の夏休み明けのこと。宿題が入ったカバンを駅のホームに忘れてしまったんです。お財布が入っていたからカバンごと盗まれてしまい、戻ってきませんでした。
宿題のひとつに、俳句を作るという課題がありました。子どもながらに一生懸命思い出して1日で10個くらい作ったと思います。父に、手紙も書いてもらい、宿題と一緒に職員室まで渡しに行きました。それをちらっと見た担任の先生は、タバコを吸いながら吐き捨てるように言ったんです。
「おまえさあ、親使ってまでうそつくんだなあ」
子どもながらに必死で「うそついていません、本当です」って弁明するんだけど、ずっとネチネチネチ言われるの。もう顔は涙でぐしゃぐしゃ。しゃくりあげすぎて過呼吸みたいになっちゃうし、制服の袖は、流れ出る鼻水を拭うもんだからカピカピ。
そんな子どもを前にしても、ティッシュの1枚も渡さず冷たい目で見てるの。あのときの光景や、すごくつらく、悔しかった感情を今でもはっきり覚えています。子ども心に、「もし私がこのぬれぎぬで死んだら、この人は反省するのかな」とまで思い詰めました。
——本当ですか? いじめというか、今ならば虐待として大問題となる内容ですね。
ほんと、ほんと。まだありますよ。お掃除の時間に、ある紙が落ちてたんです。それを拾った子が「あ、××先生の悪口が書いてあるよ〜」と言って。私は、その様子を見ながら「ああ、あの先生のこと嫌いなの、私だけじゃないんだな」と思っていました。
すると、どういうわけだか、その情報が先生に伝わっていて、次の日のホームルームで「この悪口書いたやつ今すぐ名乗れ」って言うんですよ。でも、誰も名乗り出なかったら、今度はじっと私を見て「おまえだろ。おまえがこれ書いたんだろ。はっきり言えよ」ってクラスメイトの前で詰め寄るんです。
私もまたつい「先生のこと嫌いですけど、それは私じゃない」って、余計なこと言っちゃって。そこから、その先生が学校に来なくなっちゃったの。「××先生が、犯人が名乗りでるま学校に一生来ないと言っています」って他の先生がわざわざクラスに言いにきてね。そこから3週間くらい来なかったかな。
――一連のことはご両親にもお伝えするわけですよね。なんとおっしゃるんですか?
今だったら大問題になるんでしょうが、当時は、学校の先生が間違っているわけがないという考えが主流だったので、両親もアンナが生意気なんだろうって思ってたみたいで。
——それはつらすぎますね。でも、そこまで先生に嫌われてしまった原因は、なんだったのでしょうか? きっかけなど思い当たることなどありますか?
単に見た目が、外国人ぽくて派手だったからだと思います。特別、校則違反をしてたわけじゃなし。だってね、小学校卒業直前、その先生に「梅宮、中学校の先生が呼んでるから行ってこい」って言われたんです。
突然なんだろうと思って、中学校舎の職員室に行ったら「今から言うことをよく聞いてください。あなたは中学に入った途端、先輩にいじめられます。なぜなら、あなたは目立つからです」って言われたんですもん。
——怖すぎるのですが。にわかには信じがたい、壮絶なお話ですね。
怖いですよね。本当の話です。で、私は、中学までが限界で、付属の高校には進学しないと決めました。それからは渋谷の交差点で、かわいい制服を着た人を捕まえて、学校名を聞き、電車に乗って高校見学へ行き、校門の前で生徒さんたちにどんな学校なのか質問して。そのうち1校を面白そうだなと思ったので、そこに入学するという選択をするわけです。
——中学3年生でその行動力もすごいのですが、そこまでしてでも逃げたかったという現実もすごいです。
実は、後日談があるんです。数年前に、その小学校の同窓会がありまして。友人たちから声はかかりましたが、あの先生に会いたくないと思って欠席したんです。そうしたら、出席した子たちから「来なくてよかったよ」って連絡が入りました。
なんと、その元担任がわざわざ、皆の前で「俺は、おまえたちをかわいいと思ったことは一回もない」って言ってのけたんだとか。
——ひ〜〜〜〜〜!!!!
と、そんなわけで、私は百々果がのびのび過ごせるような学校に行ってほしくてお受験に必死だったんです。おかげさまで、百々果が入った学校は本当に素晴らしくて、苦労したかいがあったなと今でも思っています。
つづき▶梅宮アンナ「育児放棄バッシング」の背景で起きていた「誰も知らない」これだけのこと#2
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取材・文/斯波朝子(オフィスCuddle)撮影/廣江雅美