山口百恵、神話でも菩薩でもなく、ただ「かなえたかった」こととは(前編)
芸能記事リバイバル企画! あのとき、あの人はいったい…?そして今は…
本日は2021年2月に配信された「山口百恵、神話でも菩薩でもなく、ただ『かなえたかった』こととは」をお送りします。
新しい人が現れては消える芸能界。誰もが生き残りをかけて必死ですが、そんな中、引退したにも関わらず、強い存在感を放つ人がいます。山口百恵さんです。
人気絶頂時に、初めて愛した人と結婚することを選び、家庭に入った百恵さん。芸能人は一般人にはなれないと私は思っているのですが、この大スターだけは芸能界に戻る気配が全くない。
もはや神話の域に達した百恵さん。先日は、NHKが百恵さんのラストコンサートを放映したところ、同時間帯の視聴率トップを記録しました。これを受けて、女性週刊誌も百恵さんの“秘話”を記事にしています。
年々存在感を増す百恵さん。ハタチそこそこの頃もすごかった
自分語りで恐縮ですが、私は昔、「タレント本の書評を書く」という仕事をしておりました。芸能人は特殊な自意識を持っているんだなと思わされたものです。見て見て、私ってすごいでしょ、生まれつき非凡でしょと、なんかはしゃいでいる。けれど、ただ一人、まったくそういう自意識を感じさせなかったのが、山口百恵さんなのです。
引退間際に百恵さんが書いた自叙伝「蒼い時」(集英社文庫)は、200万部を売り上げる大ベストセラーとなりましたが、いま読んでも「私は特別な人間である」という自意識を全く感じさせません。
百恵さんが国民的スターになるにつれ、世の中に山口百恵論が出回ります。「山口百恵は菩薩である」とか「時代と寝た女」などのコピーが有名でしょう。
百恵さんの所属事務所の社長は、自著の中で「山口百恵の最大の魅力は大根足だ」と書き、写真家・加納典明氏は百恵さんのBCGの注射痕が残る腕に「色気を感じる」と言ったそうです。
それでは、当の百恵さんがそれらをどう受け止めていたかというと、「レコードの売り上げ枚数が私の十分の一しかないタレントに対してなら、そうは言わなかったのではないだろうか」と。他人の分析が「売れたタレントのことは、すべてがプラスに見える」というバイアスに過ぎないことに気づいてしまっているのです。
売れない芸能人がこう思うのなら当たり前ですが、頂点を極めたまだ21歳の女性がこんなこと言えるってすごくないですか?
百恵さんもすごいのですが、その周りの人もフツウじゃない。たとえば、百恵さんのお母さんはどんな人だったのだろうと思うことがあります。
▶あの時代でも、百恵さんの母が「言わなかった」こと
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