【40女の恋愛事情】story2 私は彼の特別になれますか?-45歳・真由子の場合(3)-

2016.08.23 LOVE

wooden table in front of abstract blurred restaurant lights

本当は、ベンチで話すだけではない、もっと特別な関係を望んでいる。

普通にごはんを食べにいったり、お茶をして笑いあったり。

そんなプライベートな時間を過ごしたかった。

 

「今度、一緒にお茶でもしませんか」

そう柔らかく誘われたら、喜んでついていくのに。

「いつもお世話になってるから、たまには僕に、ごちそうさせてください」

そんな風に言われたら、すごく、うれしいのに。

彼はそんなところには気が回らないらしく、毎日台本と取っ組み合っているらしい。

 

私だけが、劇場帰りの彼と待ち合わせをしている。

それだけが私の誇りだった。

もしかしたら、彼はいつか私に特別な感情が芽生えるかもしれない。

そんなことは多分ない。

でも可能性はゼロじゃないから……。

だから今夜も、彼を30分以上も、待っている。

 

その時、公園に2人の若い男の子が入ってきて、ベンチに座り、缶ビールを開けて、飲み始めた。パンフレットを持っているから、観劇帰りだということがわかる。

 

「あいつ、まだ女の子に囲まれてたな」

「しばらくかかりそうだな」

「人気出てきたよな」

「そうだな。チケット今回、50売れたんだって?」

「そう。1人で30買ってくれたファンがいるんだって」

 

私と同じような人もいるんだな、と、なんとはなしに会話を耳に入れていた。

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