テレビ局事業の宣伝のお仕事とは?『アレグリア』宣伝チーフ有澤ひろみさん「中学生のころからの憧れの仕事でした」
シルク・ドゥ・ソレイユ(以下、シルク)の日本公演『ダイハツ アレグリア-新たなる光-』(以下、アレグリア)が、6月25日(日)まで東京・お台場ビッグトップにて上演中です。シルクはいまや日本でもすっかりおなじみのカナダに拠点を置く世界的サーカス・エンターテインメント集団ですが、突如として世界を襲ったパンデミックの影響もあり、日本での公演は5年ぶりとなります。
この『アレグリア』の宣伝チーフを担っているのが、2000年にフジテレビに入社した有澤ひろみさん。世界規模のエンターテインメントの日本公演の宣伝を一手に引きうけるそのお仕事の中身と込めた思いを伺いました。
華やかなテレビ局で「イベント事業の宣伝」のお仕事。どんなことをするのでしょう?
──いきなりで恐縮ですが、現在、有澤さんはどんなお仕事をされているのでしょう?
有澤 2000年にフジテレビに入社して以来、事業局に所属しています。5年ほど産休と育休で不在にしていましたが、もう20年近くこの部署でイベントの興行や宣伝に関わっているということになります。舞台やコンサート、ミュージカルなどさまざまな興行のほか、美術展を担当することも。イベントの魅力を紹介する特別番組やCMを作ることもあります。
──シルク・ドゥ・ソレイユにはいつから関わっているのでしょう?
有澤 フジテレビは1992年からシルクに携わっていますが、5都市公演など、大規模なタッグを組んだのは私が入社した2000年から。常に担当していた訳ではありませんが、シルクは私の社歴に寄り添ってくれているような存在です。物販やプロモーションでのかかわりを経て、前作の「キュリオス」に続き、今回の「アレグリア」には宣伝チーフとして携わっています。
──具体的にはどのようなことを担当されるんですか。
有澤 仕事の守備範囲はものすごく広いです。「アレグリア」などの大規模な興行は、運営チーム、宣伝チーム、券売チームが三位一体になって初めて実施できるのですが、そのハブ的な部分を担いながら宣伝にかかわる仕事をおこなっています。今回の「アレグリア」に関しては、5 本、特別番組を作りました。ポスターも、チームで細かい部分まで話し合いながら何パターンも製作しています。街に出ている販促物で、私の目を通っていないものはありません。
──忙しいけれど、やりがいもありそうですね。そもそも有澤さんは、なぜ宣伝の仕事を目指されたのですか。
有澤 こういった仕事をしている方に憧れて、中学生の頃からイベント事業に関わる仕事をしたいと思っていました。
──おお! 中学生の頃からの夢を実現されたのですね。
有澤 はい。もちろんやりがいはありますが、忙しすぎて、へこたれることもしばしばです。とくに「アレグリア」には多くの人が関わっているので、毎日、膨大な数のメールを処理しなければなりません。電話も次から次へとかかってきます。ただ、今回の興行は東京公演と大阪公演を合わせると300公演以上。大きなプロジェクトを仕切るチャンスをいただけるのは、とてもありがたいことだと思っています。
コロナ禍での苦渋の延期。「告知していいのだろうか」迷う日々
──今回の「アレグリア」は2023年2月に東京で幕を開けました。この後、大阪での公演を控えています。このプロジェクトに関してはいつ頃から動き始めていたのでしょうか。
有澤 今回の「アレグリア」は、コロナ禍の影響により、長期間公演ができない状態が続きました。いまだからこそ上演したいという思いは強かったのですが、「アレグリア」の上演が決まったのはコロナの真っ只中。そんななかで、呑気な顔をして、「サーカスやります!」と声を上げていいのかと葛藤を抱えていました。
「アレグリア」に限ったことではありませんが、一般的に興行というのは宣伝から動き出します。この状況下で、どういったアプローチならみなさんに受け入れてもらえるのかということに日々頭を悩ませていました。でもある時、私たちフジテレビが先頭を切ってサーカス・エンターテインメントを日本に持ってくることで、みなさんに楽しんでもらおうと、吹っ切れたんです。
多くの方が、コロナ禍で大変な思いをされたと思います。大切な人にもなかなか会えなかったし、娯楽も制限されました。リアルな現実に苦しめられた後だからこそ、シルクで非日常を感じていただきたいと考えています。
コロナに限ったことではなく、みなさん、日々、大変なことがあると思います。そんな日常をしばし忘れて、つかの間、非日常に身を委ねて心を震わせていただきたいですし、そんな場所をご提供することこそが私たちの仕事だと考えています。
ご自身のお仕事について有澤さんは笑顔を絶やすことなく、朗らかに語ってきれました。後半では、シルク、そして、現在、上演中の「アレグリア」の魅力を深堀りします!
つづき▶2億人を魅了するシルク・ドゥ・ソレイユ『アレグリア』「いまだからこそ胸に響く」その理由を聞きました
取材・文/長谷川あや 撮影/ 松川 忍
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