「結婚できなかった元カレ」への未練…。ただれた関係を断ち切れない既婚女性が抱える欲望とは【不倫の精算 ・リバイバル5】後編
満たされないから追いかけたいという欲
「今の関係で満足してるの?」
と尋ねるたび、Hさんは「だって、仕方ないじゃない」と繰り返す。
離婚する気はまったくないし、今の生活を手放してまで彼を手に入れたいわけじゃない。
「あの人も、私に離婚させてまで付き合いたい気持ちはないよ。この年で派遣だよ? 私と子どもとどう考えても養っていけないじゃん」
これが彼女の実感であり、「お互い都合のいい存在でいいんだってば」と言い切れるのは、彼の内面の弱さ、自分と同じ卑怯なところを十分に理解しているからだった。
それなら、なぜ結婚してからも彼を求めたのか。
Hさんは、ちらりと腕時計に目をやった。約束の時間はとっくに過ぎている。彼は現れない。
「あーもう、面倒くさ。またこっちからか……」
紙コップに残ったコーヒーを一気にあおり、大きくため息をついた。
バッグを漁り、車のキーを取り出すとテーブルに置く。あぁ、やっぱり行くんだな。そう思ったが、口にはしなかった。
不倫の関係になってからも、彼は変わらなかった。相変わらず彼女に愛情を伝えることはしないし、彼から連絡が来ることもない。それは自信のなさからかもしれないが、それでもHさんは彼を追いかける。
付き合っていた頃と同じように、彼女は今も満たしてもらえない。それが、Hさんの情熱を駆り立てる。
夫への罪悪感は今でも続いている。それは彼女が普段から家庭に尽くしている姿を見るとよくわかる。それでも満足できない。Hさんが彼へ向ける気持ちは、夫が与えてくれない不足感を補うもののようにも思えた。
彼を忘れられなかった理由は、この欲だと、Hさんを見ていると思う。満たしてくれないから追いかけたい。自分以外の女性が寄っていかないことも、彼女の独占欲を煽る。
「今日はありがとう。じゃあ、行ってくる」
Hさんは当然のように「行ってくる」と口にする。それに応える言葉が出てこない。
▶昔の彼が忘れられないという女性は多いけれど
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