「お願い、私を見て…」不実な既婚男にきわどい写真を送信し続ける彼女の心の慟哭は【不倫の精算 ・リバイバル6】(前編)
どうして彼女たちは妻ある男と関係を持つのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。
恋愛心理をただひたすら傾聴し続けたひろたかおりが迫る、「道ならぬ恋」の背景。
【不倫の精算 リバイバル2023】#6 前編
不倫相手に渡し続ける「写真」
— 最近のI子(38歳)との食事は、もっぱら「彼」の話題が中心だった。
地元の中堅企業で15年以上事務員として働くI子は独身。2つ上の姉は結婚して子どもがいるが県外に住んでいて、I子は実家から出ることなくずっと両親と暮らしている。
誰もが振り返る美人というわけでもなく、着るものもそう派手な装いをするほうではないが、彼女の雰囲気にいつもどこか艶のある女らしさを感じるのは、身につけている下着のせいだと思っている。
カジュアルなイタリアンの店で、I子のスマホが鳴った。「彼」からだ。
I子はいそいそとバッグを漁った。その瞳に光が満ちるのを目にすると、ハマり具合がよくわかる。
スマホを開くI子に「なんだって?」と尋ねると、
「うん、喜んでくれたみたい」
と嬉しそうに頷いた。
スマホを渡されると、LINEの画面が開いていた。そこには、I子が自宅のベッドで四つん這いになっている写真がある。白い裸身にまとっているのは、美しい刺繍の入った総レースの下着。その毒々しいような赤い色が、微笑んでいるI子の顔とアンバランスでまた性的な刺激を誘う。
その下には、「すごくイイ。またよろしく。早く抱きたい」とだけメッセージがあった。
I子の「彼」は既婚者だ。会社の取引先の男性で、不倫の関係は1年以上続いていた。
ほどほどにしたら、とこれまで何度か言ってはみたが、I子が耳を貸すことはなかった。こんな「投稿」はもう10枚以上続いている。
「この間買ったやつなんだけど、どう? 良くない?」
高揚した口調で訊いてくるI子には、こんな写真を不倫相手に渡すことへの危機感はまったく感じられない。
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