バツイチ独身女がハマった「都合の良い不倫」のドロ沼【不倫の精算リバイバル・9】後編
G子は何よりも娘の存在を大切にしている。だが、自分のことをないがしろにするわけではない。自由でいたい。5年も不倫の関係を続けていたのは、この関係に無責任でも良いという暗黙の了解を勝手に手にしていたからだった。
だが、
「離婚されたら困るから別れるなんて言えないじゃない!」
と視線を落としたまま肩に力を入れるG子の姿には、どこかで矛盾を感じた。
彼のことが本当に軽い存在なら、すっぱり別れを切り出せたはずだ。だが、それができないのはどこかでG子自身もこの不倫を大切にしていたから。先はないと思いながら、一方で彼を愛している気持ちもまた、事実だった。
だから嘘をついた。それはG子の弱さだった。
だが、G子の意図に反して彼が取った行動は、さらに離婚に向けた動きを進めるというものだった。
「自分が離婚しないせいでほかのオトコを好きになったって思ってるんだね」
だから、離婚すれば戻ってくると考えたんだ。ぼそっとつぶやくと、頷きながらG子が言った。
「もう、これだから恋とか面倒くさい……」
それが彼女の本音だった。
▶「都合の良い恋」の代償