性的テンションが違う不倫カップルを見舞う「予定調和の最後」【不倫の精算リバイバル・10】後編
不満を募らせる既婚男性に感じた“気持ち悪さ”
いわゆる“抜く”行動のためにセクシーな写真や動画を恋人へ要求する、その気持ちはわかる。
だが、欲が少なく行為そのものにも関心が低い恋人ならば。過去に誘いを断られることもあったのならば。そもそも「求めても叶わない可能性」のほうが高いと想像はついただろう。
Rさんは男性の欲そのものは否定しないが、解消のために“一方的に使われる“自分が耐えられないのだった。
「嫌だって言ったのよ、この間。
そっちのスマホに残るのが嫌だし、そんな気分にもなれないって。
そうしたらね、何て返ってきたと思う?
『俺の気持ちはどうでもいいのか』とか『彼女ならそれくらいしてもいいはず』とか、とにかくもう、気持ち悪くって」
Rさんは声を歪めて言った。
煙を吐く気配とともに、気持ち悪いのよ、と繰り返すのが聞こえた。
拒絶と嫌悪がセットになったとき、人の心はそれまでと正反対に大きく針を振るのだ。
「こんなだから嫌われたのよ」それは言ってはいけない言葉だった
「……」
どう返せばいいのか、彼女の気持ちはもっともだし、これで終わっても不思議はないなと思っていると、
「こんな男だから、奥さんともうまくいかないのよ」
小馬鹿にするような響きで出たRさんの言葉に、思わず目が開いた。
こちらの意見など待たないように、彼女の怒りは続く。
「だってそうでしょ、案外奥さんにも強制とかしていたかもよ?
別居はモラハラが原因って言っていたけど、こういう気持ち悪いところが嫌われる理由かもしれないじゃない」
彼女は気づいていない。
最初にこの男性との不倫を打ち明けたとき、彼が既婚者であることも、関係についても、彼女は罪悪感を持っていなかった。
離婚しないまま自分と肉体関係を持つ彼を、彼女は一度も否定したことはなかった。
それが、自分には受け入れがたい要求を突きつけられ断わったら不満をぶつけられたことで、「結婚生活をダメにする気持ち悪い男」にまで彼の価値を下げ、貶めているのだ。
それは、そんな男と付き合っている自分自身まで蔑むことになる。
▶「気持ち悪い」と思うような相手と、不倫を続けるの…?