「お食事のあとにどこへ行くのか」もちろん知っていたでしょう?【不倫の清算・リバイバル13】(後編)
「不倫の重さ」?長い長い間ひとりでいた私の孤独よりも重いの?
「……」
結局、Bさんが伝えたかったのは不倫している自分であり、今の状態を尋ねると独身男性とは「私の気が向いたときに連絡してホテルに行く」関係が続いており、一方で夫や子どもたちとの生活も以前と変わらず順調で、
「特に困ってはいないんだよね?」
という質問に笑顔で頷けるほど、Bさんの心は安定しているように見えた。
目論見通りに既婚女性との不倫関係を手に入れた男性と、それに乗っかってただ情事を楽しむだけの既婚女性と、満たされている部分は違えど波風の立たないつながりではあった。
「でも、不倫はねえ、おすすめしないよ」
飲み終わったカップの底を眺めながらそう言うと、
「あなたはそう言うでしょうね、いろいろ見てきているのだから。
でも、私は満足しているのよ」
全部を話し終えて、Bさんは穏やかな表情を浮かべていた。
自分を求める男を下に見ながらの関係なんて、いずれ虚しくなるだろう。
そう思ったが口にせず、
「教えてもらった、ってさっき言っていたけど、旦那とのレスはきついよね、寂しいし」
と、欲の部分について触れた。
Bさんはしばらく黙っていたが、
「まあ、それも、どこもそんなものでしょうね。
ママ友とかに聞いても似たような感じでさ、いまだにラブラブな夫婦なんて、滅多に見ないわよ」
と肩をすくめて答えた。
「あなたの本音の話だよ」
止められなかった言葉は、Bさんが「答え」を避けたからだった。
あなたは、求められる自分に満足しているが、どうして不倫なんてリスクの高い関係を選んでいるのか、理解していない。
「……本音って」
怯えたようにまばたきをして、Bさんがこちらを見た。
「不倫は重いよ」
「……」
夫との間に横たわる距離感と、満たされない自分。
「普通の主婦」だと言い聞かせないといけないほどの渇望を知るとき、彼女と不倫相手がどうなるのか、少し気になった。
>>>つづく
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本記事はリバイバル配信です
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