「50歳までなんてリハーサル。これからが本番です!」と言い切る新人51歳ロックシンガーの案外しんどい紆余曲折
「よく、年甲斐もなくとか、50歳にもなって、50歳のくせに、なんて言いますよね。でも、私はそれはちょっと違うって思うんです」。そう切り出したRICKEY。
オトナサローネではライター・力武亜矢として活躍する兼業ロッカー、RICKEYは、6月30日にソロデビューライブを控えています。
50歳「にもなって」ロッカーとしてソロデビュー? 昔やり残した夢を追って、というようなお話かしら?
いえいえ、詳しく伺ってみたら全然違いました。これは50歳前後の男性女性、誰にでも応用できる「これからの生き方の心得」、働き方のライフシフトなんです。
誰だって一通りの紆余曲折を経て50歳になる。「新しいスタート」の切りどきとは
長年音楽活動を続けている彼女が初のCDを出すという話だと思い込み、冒頭で「そもそものソロデビューはいつだったんですか?」と聞いたところ、ちょっと説明しにくそうに「それが、この6月30日なんです」と話し始めたRICKEY。
「音楽活動はずっと続けていました。今から30年前、福岡で歌手をしていたのがスタートですが、サイドワークが面白くなってしまって。アルバイトから正社員になり、そのお店の最年少昇格で主任になりました。多忙のあまり20代前半で音楽活動はストップ、31歳までは仕事に集中していました」
ですが、なにごとにも真正面から取り組む完璧主義のRICKEYは、31歳で過労で大きく体調を崩し、半年以上の長期入院を余儀なくされます。
「臨死体験するほどの重症でした。この余波で物理的に無理ができない身体になり、以降は仕事を少しペースダウン。35歳を過ぎたころになって、やっと心と仕事に余裕が出てきたので、もう一回音楽活動をしたいなとコピーバンドを始めました」
もともと仕事で企画や広報を手掛けていたRICKEYはメディアアプローチの方法も知っていたため、このバンドはコピーバンドとして異例のメディア露出を誇り、テレビ出演のオファーがくることも。やがて39歳でオリジナルのヘヴィメタルバンドをスタートし、仕事と両立させたインディーズバンド活動に入りました。43歳になるころには仕事としてプロと同じ舞台に立つ機会も増え、音楽が趣味ではなく収入になるような道も開けてきたそう。
「だけど、世の中を見回すと本当に歌がうまい人というのはレベルが圧倒的に違います。そんな中で私ごときがCDを出したところでたかが知れているな……と、それ以上の活動は躊躇していました。メタルサウンドが大好きでバンドはずっと続けていたものの、自分主体で表現したいことはできないまま、ずるずると時間だけが過ぎていました」
そしてコロナ禍。「人生100年、あと50年『も』あるんだ!」と人生観が大きく変わる
そんな中、書籍『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)が発刊され、「人生100年時代」というキーワードが急激に広がります。
「あるときその『人生100年時代』という言葉を聞いて、私はものすごく衝撃を受けました。だって、それまでは『もう50歳だから、いまさらソロ活動やCDリリースなんて恥ずかしい』『50歳のくせにデビューだなんて』と思い込んでいたのに、突如として『あと50年もあるんだ!』に視点が変わったんです」
同世代の誰しもが徐々に「身の程を知ってくる」時期ですよね、とRICKEYは言います。
「私だって、そんなに歌がうまいわけではない。例えばMISHAさんみたいに誰にでも心を届けられるような歌唱力があるわけではないのですが、でも、あと50年あるならば、その神様のような人たちと自分を比べるのはやめよう、私の身の丈にあった表現をすればいい!と、ほんとうに突如として思えてきて」
とはいえすっぱり切り替えができたわけではなく、行きつ戻りつが続きました。ある日は「いいじゃん!」と思い、次の日には「とは言うけれど、やっぱり無理……」と気持ちは揺れます。
「ある日、グチとして友人のインディーズレーベルプロデューサーに、『50にもなってという不安はあるけれど、やってみたい気持ちはあるんだよね……』とこぼしたところ、『じゃあ、やってみようよ』と、まさに鶴の一声があって。その瞬間、天啓のように『私はこのポジションで頑張ってみよう!』と思えたんです」
だって、これまで50年もの間人生をリハーサルしてきたんだから、今からが本番だと思って頑張ればいい。MISHAさんみたいにはなれないけど、そんなことは気にかけないで、できることで動いていけばいい。
「そして6月30日にソロCDの発売と記念イベントを行う流れになったんです。コンセプトは『人生100年。50歳まではリハーサル、50歳からが本番!』です」
いまの時代、70代80代で活躍する人もざらにいるため、いまさら自分自身がそうした「セカンドキャリア代表」になろうとも思ってはおらず、ただ「50歳からが本番!」の実践者の一人として、そんな人がいっぱいいる中の一人になりたい。「じゃあ私もやれる!」と思ってもらえたら儲けものだとRICKEYは言います。
「いま、医学の研究も猛スピードで進んでいるので、私たちは80歳どころか100歳まで生きる可能性があります。なのに私たちの世代って、いつまでも昭和の呪縛の中にいますよね。私はもう何歳だから●●はダメというような謎の制限です。30歳までに結婚しなければというのも同じ呪縛ですよね。友人なんて、せっかく独身なのに50歳で恋なんて恥ずかしいなんて思いこんでいます。そんなことないよ、これからが本番だよって言いたくて」
いま、国民の半分が50歳以上です。この大人たちが楽しそうであればあるほど、下の世代の未来も楽しくなります。
「こういう話をすると『私も頑張らなきゃ』と考えてしまう人もいると思いますが、そういう人はすでにものすごく頑張っている人。逆に『50年がんばってきたんだから、おろせる荷物はおろして』って思います。人生のバイオリズムは人それぞれですから、とにかく人と比べないこと。いっぽうで自分の中での、過去の自分との比較はOK。まだやりたいことがある!という人は、ぜひもういちど頑張ってほしいんです」
Welcome To The kyo-house 特別企画 『RICKEY ソロCDデビューを祝いまSHOW !!』
~人生100年時代。50歳まではリハーサル、50歳から本番。そうだ、CDだそう~プロジェクト
2023年6月30日(金)
■開場時間 18:10
■開演時間 18:30
■RICKEY出演時間 21:10
会場:東京・目黒ライブステーション
チケット代:2800円+1ドリンク代
出演:RICKEY
with/ カズミン、Mickey、石井ん家 Holly & Norry
「今回は僭越ながら、トリをつとめさせていただきます。バンドとはまったく違うアプローチのRICKEY をお楽しみに。ソロはメタルではなく、ポップスロックです!」
RICKEYのnote
https://note.com/ricky_vocal/n/ncf3a1961255a
■CD発売情報
『BE A SUPER STAR! C/W 明日のマリア』1200円
サンライトレコード SONL0016
2023年6月30日(金)直販・通販先行発売
2023年7月7日 (金) 全国CDショップで一般販売開始
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