「いいお母さん」だったのに不倫…。魔が差して、快楽のあとに女性が見たものとは(後編)
不倫の責任は誰がとるのか
真美の不安も焦りも理解はできるが、慌てたり取り乱したりするほどに周囲は不審感を強くするのであって、「あなたのことじゃないよ、何でもない顔でふーんって答えていればいいんだよ」と力強く何度も言った。それが自分のためと頭ではわかっていても、「実際はわからない」ことまで思考が及ぶ真美は、ママ友たちの間ですっかり萎縮していた。
「もうグループラインも既読スルーで放置してるんでしょ?話題が出ても反応したらダメだよ、そのままで距離を取っていくのがいいよ」
名指しで自分について書かれることはないが、ママ友たちと作ったグループラインで「浮気の話が出たら不安になる」と真美は話していた。だからつい否定する書き込みをしたくなる、そんな言動がかえって「やっている」とうがった見方をさせるわけで、無言を貫くのが自分への関心を薄くする最適解のはずだった。
「そうだよね、うん。返事はしてないの、園で会っても仲のいい◯◯さんたち以外には挨拶だけにしてるし、ランチ会も行かないし。それでいいんだよね……」
押し込めた声で真美は言う。覚束ない意識のままでママ友たちと顔を合わせるのは、距離を取ったのが自分からだったから余計に苦しくなる。それでも、一度そうしたのなら態度を変えないことで周囲は関心を失っていくし、新しいターゲットを探すはずなのだ。
「これも自分のせいだよね」
と、暗い声でつぶやくのを
「あなたのせいだとしても、いつまでもそのままじゃないでしょう。時間が経てば必ず変わるから」
と前と同じ言葉でふたたび答えた。
不倫の責任は自分に返ってくることを、真美は正しく理解していた。
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