別れた不倫相手と、職場で再会して…。アラフォー女性の取った行動は(後編)
過去の自分と向き合う勇気
この男性と不倫関係にあるとき、日向子が「結婚している男ってこんなにずるいのかと思う」とつらそうに漏らしたことがある。若い頃に婚約で失敗し、それから普通のお付き合いに背中を向けることが多かった彼女は、不倫という不毛な関係を手にしてふたたび、男性不信に陥っていた。
別れを選んだのは、既婚男性のいいように存在させられる自分に「本当に嫌気が差した」からで、別れ際にひどい言葉をぶつけたとしても、それが本音だった。ただ、みずから選んだのにそれを棚上げしていることへの不甲斐なさも、日向子には確かにあったのだ。
だから今回のような現実が襲ってきて、「駄目な自分の過去」が一気に日向子の心をむしばむのだろうと思った。自分さえ忘れれば済むはずだった過去の不祥事が、大好きな仕事に関わるなんて状況は、まともな精神を保っていられない。だからこうやって人に不安をぶつけるのだ。
それでも、不倫は「悪いのはお互いさま」だからこそ、今の現実に持ち込まないのが自分のためなのだ。仕事ならやるべきことが決まっているのは救いで、知りようがない相手の思惑に一方的に振り回されて「下手を打つ」ほうが、今の日向子にとってはまずいのだ。
不倫の影響は、こうやって終わった後でどこに出るかわからない。改めてそう思ったが、過去を悔やんでも仕方ないし乗り切るしかない。どれだけつらくても、自分が選んだことの結果が今なのだ。
「あんたは大丈夫だよ、できる女だから」
そう言うと、
「ありがとう、知ってる」
と、スマートフォンの向こうから笑い声が聞こえてきた。
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