東大生の親の年収は平均より高いらしい。だからといって、学費値上げはアリなのか?
「おばちゃんがとってきてあげる」
冒頭で、自分の年齢の話をしました。
大学生がぼくの年齢を判断できないのは分かります。
目視した人間の数が少ないし、自分が頻繁に目にする周囲の人を基準にするので自分より歳上の人間が実際に何歳であるかを判断する材料が少ない。
しかし、職員や先生方はどうでしょう。
ぼくと同じくらい、あるいは年上の人ばかりです。彼らと短い会話をしたとき、彼らの言葉の運びからぼくが一般の学生と同じように見られていると感じます。
東大には生協が運営する学生食堂があります。
先日遊びに来てくれたフランス人によると、「フランスでは700円程度でこんなに美味しいものが食べられることはない!食堂はだいたい不味い!」そうです。
そんな食堂をぼくは週2回程度利用します。
入り口には当日のメニューのディプレイがあって、それを見てからお盆を取って、定食のコーナーに並び、おかずとご飯を注文して、レジに向かいます。
レジはマニュアルが洗練されていて、とてもスムーズに流れていきます。
ぼくはいつもグリルチキンと黒米ミニを注文していて、その日もそうでした。
トレーニングルームで筋トレをして、友人と食堂に向かいます。入り口が混雑していたので、お盆を取らずに、おかずとご飯を受け取り、レジに向かいました。
ぼくの前の学生が会計をしていると、学食のおねえさんがぼくに声をかけてくれます。
「あら、お盆忘れちゃったの?おばちゃんが取ってきてあげる!」
お姉さんは、目にも止まらぬ早さで、ぼくがやってきた順路を逆走し、入り口のお盆を取ってぼくのところまで戻ってきてくれました。
なんて優しいお姉さんなんだ。
彼女の「おばちゃんが取ってきてあげる!」から、謙虚さとぼくの年齢をどのように判断したかを推認することができます。
お姉さんのことをぼくは「おばちゃん」だとは微塵も思いませんでした。きっと39歳から「おばちゃん」と言われたら不快に思うでしょう。
彼女は「20歳くらいの学生と比べたら、自分なんておばちゃんなのよ」と思って、「おばちゃん」という1人称を使ったと考えられます。
つまり、ぼくを20歳くらいだと判断した。これはぼくの見た目が若いということではありません。思い込みや刷り込みの影響でしょう。
学生のほとんどは20代で、ごく稀に30代もいるけれど、40歳近い学生がいるとは多くの場合考えません。
他者の思い込みが人を大きく若返らせる。東大に入ってそう感じます。
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