やっちゃダメ~!「ツメを〇〇に切る」。やりがちNGケアをやめると、爪水虫・巻き爪を予防できる【医師が解説】
爪白癬にまつわるアンケート調査
前編の記事では、爪白癬とはどんな病気なのか、そして放置するとどんなリスクがあるのかをご紹介しました。
爪白癬について、楽天シニアのアンケート調査(※1)の結果で、多くの人の実情を知ることができます。
「(爪白癬に関する)コラム記事(※2)を読む前に爪水虫(爪白癬)のことをご存知でしたか?」という質問に対し、「いいえ」という回答が約40%でした。半数には届きませんでしたが、意外と多くの人が知っているようです。
また「現在の爪の状態で該当するものをすべて選択してください。」という質問に対して約40%が何らかの異常を抱えている人が多くいることが分かりました。
詳細に見てみると、「爪が厚くなっていたり、ぼろぼろと欠けたりする」が15.7%、「爪が白色や黄色に濁っている」が13.8%、「爪の水虫にかかったことがある、もしくは今かかっている」が12.5%でした。
足爪に異常を抱えている人も意外と多い結果となりました。自分の足爪、大丈夫か不安になりますよね。
※1 調査概要:アンケート期間:2023年12月21日(木)~2024年1月24日(水)、アンケート回答数:22,627件、男女50歳以上(楽天シニア定義)で約71%を占める。
爪白癬の予防法
高山先生に、日頃からの爪ケアの方法も含めて、爪白癬の予防法を教えていただきました。
1.足指を丁寧に洗う
「足の指・間を洗うという行為は、足爪を『見る』という行為にもつながるので推奨します。爪の周りは垢(あか)がたまりやすく、周りに白癬菌があると爪に入ってきてしまいますので、いつも清潔にしておきましょう」
●洗い方
「泡を指の上に置いて、足指用のやわらかいブラシを使って、歯磨きで歯垢をかきだすように爪の周りを優しく洗いましょう。指の溝のところも、泡を使って優しくなでるように洗ってください。そして手でしっかりもみ洗いしながらお湯で洗い流します。洗った後は、しっかりと乾かすことも大切です」
2.爪を保湿する
「入浴後にオイルやクリームを用いて爪を保湿することにより、爪が切りやすくなるだけでなく、爪の割れや二枚爪などのトラブルも予防できます」
3.爪を正しく切る
「指の先端まで爪を残すようにしましょう。深爪にならないよう、指先の高さから爪先の白い部分までの長さが、1~2mm残るように切ります。
正しい切り方は、爪甲の端から端まで5回くらいに分け、まっすぐ横にスクエアに切ってから、スクエアオフの形になるように切ること。その後で、両角を軽く丸めるように整えましょう。爪切りの刃はまっすぐなものがよりよいですね。爪やすりを使用して長さなどを改善してください」
●正しい切り方「スクエアオフ」と適切な爪の長さ
●よくない爪の切り方「バイアス切り」と深爪
「反対に、避けたいのはバイアス切りです。これは、足爪甲の端と端だけを切り、台形上に整える方法です。バイアス切りは、斜めにカットされた先端から巻き爪になる恐れがあるので、推奨しません。また、爪を短く切りすぎる深爪も避けましょう。爪がめりこむ陥入爪や細菌感染症を起こす恐れがあります」
●おすすめの爪切り
「爪切りを選ぶなら、直線的な刃先のタイプのほうが、真っ直ぐにカットしやすいです。また爪への負担が少ない、ニッパー型の爪切りがおすすめです。金属製のものよりも、ガラス製のほうが爪周りの皮膚を傷つけにくいのでおすすめです」
爪白癬になったらどんな治療をする?
ところで参考までに、爪白癬になってしまったらどんな治療をすることになるのか、知っておきたいものです。高山先生に伺いました。
「爪白癬と診断された場合、重症化しないよう、早期からの治療が重要になってきます。主に外用薬と経口薬が用いられています。加えて、ネイルケアを行うことでより効果的な治療が期待できます」
皮膚科での主なネイルケアの方法を教えていただきました。
●爪の処置
「肥厚・硬化した爪の処置として、電動やすり(グラインダー、フットケアマシン)でカットします。粉塵の吸引機能が付いたタイプの電動やすりもあります。鱗屑がボロボロと出てくるので、カット前に濡れたガーゼなどで拭き取ります。肥厚の程度が低い爪は、爪切りニッパーを用いてカットします」
●生活指導
「足は毎日丁寧に洗うこと、爪を保湿すること、足白癬もしっかり治療すること、自分の足に適した靴を選ぶことなどの生活指導も行います」
これらの治療を受けることにならないよう、日ごろからのケアをしっかりと行い、セルフチェックをしながら、万が一病気にかかっても重症化しないうちに早期受診ができるように努めたいですね。
爪白癬の概要からリスク、予防法、日ごろのきれいな爪づくりのポイントまで、教えていただきました。爪白癬を予防するのはもちろんのこと、普段からの足先を洗うときや爪切りのタイミングで、足爪のことを気にかけてみましょう。
【取材協力】
高山 かおる先生
埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科主任部長
日本フットケア・足病医学会理事。体の土台である足の問題を根本から解決するため に2015年に足育研究会を立ち上げ、フットケアについてや、その重要性について日々啓 発活動を行っているフットケアのスペシャリスト。2015年4月より埼玉県済生会川口総合病院にて勤務し、足と爪のケア外来を立ち上げ日々、爪切難民の診療等行っている。
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