うつ病で休職し、5年間の闘病。発症の原因は「結婚生活」と「仕事」のどっち?
昇進と結婚、おめでた続きのはずが…
兵庫県在住の将児さん(仮名・38歳/会社員)は、大手機械メーカーのシステムエンジニア。30代半ばになり、チームリーダーを任されると、それまでとは仕事環境が一変、業務の大半がプロジェクト全体やお金の管理になりました。
プログラムを組むことが大好きで情熱をかけていた将児さんにとって、現場を離れてしまったのは自分のアイデンティティの一部を失ったようなものでした。彼にとっては大きな精神的ダメージとなったのです。
また、あまり場を仕切るのが得意でない将児さんは、管理職に向いていないと感じたこともストレスの一因です。
同じころに結婚が決まり、彼女と一緒に暮らし始めました。新婚の楽しい時期だというのになぜかこのころから、日々「しんどい」「つらい」と感じるようになったといいます。
振り返ってみると、彼にとってつらかったのは、毎週のようにスケジュールに組み込まれた結婚式の打ち合わせでした。
結婚式に関しては新婦がイニシアティブを握ることも少なくありません。しかし、彼女は自分で何かを決めるのが苦手なタイプ。
将児さんもリーダーシップがある方ではありません。それでも将児さんは、「彼女に喜んでほしい、負担をかけたくない」とできるだけ自らが動こうとしました。
今思えば「それが間違いだった」のです。
振り返ってみると、このときにすでに心を病む兆候が出ていたのかもしれません。「結婚式のひとつひとつを決断することが耐えがたい苦痛だった」と将児さん。
彼女がドレスをいくつか試着して「どれがいい?」と尋ねても「どれもキレイ」としか答えられなかったといいます。彼女が悪いわけではなく、「自分自身のキャパを完全に超えていていた」と将児さんは話します。
すべてがどうでもよくなり「うつ病」と診断
なんとか結婚式を乗り越え、新婚生活がスタート。
もともと就業時間は遅く、フレックスタイムを利用して午後から就業していた将児さん。妻との同居を境にだんだんと夜眠れなくなり、朝に起きられなくなっていきます。ついに起きるのは午後遅くになり、夕方から出社するようになりました。
同時に無気力に襲われました。大好きだったスポーツ観戦も読書もなにもしたくない。さすがに自分でもおかしいと感じていたといいます。
妻も仕事が多忙で朝早くに出勤するため、将児さんの生活を知る由もありませんでした。しかしある日偶然、午後に帰宅した彼女にすべてを知られることになります。
「そんな大事なことをどうして言ってくれなかったの」と妻は激高。彼女の勧めでメンタルクリニックに行くと、「うつ病」と診断されました。
その後悪化し、1年間会社を休職することが決まりました。将児さんの会社では、休職中も給料の7割が支給されます。彼女も働いていたため、金銭的な不安はありませんでした。
しかし将児さんは「会社は休んではダメ」「一刻も早く戻りたい」とかたくなに感じていたといいます。
結婚生活がストレスに
うつ病で休職中は1日16時間眠る生活でした。睡眠導入剤を飲むと気を失うように眠ってしまうので、一応規則正しい生活を送れるようになりました。
この頃の将児さんは、うつ病の原因は「仕事」で、「管理職に向いていないこと」がストレスだと感じていました。しかし休職中にかかったカウンセラーから「結婚して生活リズムが変わったことも原因として考えられる」といわれ、思い当たる節があったといいます。
結婚するまで、将児さんは両親や姉妹と同居していました。しかし家族は、将児さんの生活について何も言わなかったため、干渉されるのが苦手です。
結婚後は、妻から細かいことで叱られるようになりました。彼女は忙しいなか、うつ病の将児さんをかいがいしく世話してくれましたが、その一方で自分の理解の及ばないことを将児さんがすると、激しく怒るのです。
半年ほどで症状が落ち着いたので、仕事復帰後を見据えたスキル習得のために出かけるようになったという将児さん。しかし妻は「まだ完治していないのに無理して出かけたら悪化する」と怒り出しました。
彼女に落ち度はなく、自分がよく考えるべきだったと今は思うという将児さん。しかし、冷静になればわかることも、うつ病で心が不調な中ではうまく考えられませんでした。
たとえ些細なケンカでも、日々の積み重ねが将児さんを追い込んでいったのです。
結婚と昇進で順風満帆に思えた将児さん。結婚と同時にうつ病になってしまい、症状と向き合った新婚生活の苦悩についてお伺いしました。
▶この記事の【後編】を読む▶『結婚後、どんどん悪化する「うつ病」。妊活・二世帯同居どころじゃない!思い切って別居してみたら、原因が明らかに』 __▶▶▶▶▶
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