体目当ての男に翻弄されて…。勝ち組だったはずの彼女の転落劇とは【不倫の精算 ・リバイバル】(後編)
敢えて言おう、不倫とは「依存」ではないかと
「本当に別れたい」
という言葉が出てきたとき、「やっとか」という思いとともに、彼女の精神状態がとても不安になった。
運ばれてきた料理をぼぅっと眺めるだけで口をつけない彼女はただ疲れていて、行動する気力が尽きていることがわかるからだ。
しばらく音沙汰がなかったことを詫びることもなく、Dさんはぽつりと
「ねぇ、あなたが言う依存って、これなのね」
とつぶやいた。
はっと箸を持つ手が止まる。
そうだ、彼女は明らかに依存していたのだ。
その言葉をはっきりと使ったことはなかったが、「振り向かない不倫相手に我慢してまで尽くすこと」がどれほど不毛な行為か、悔しいという感情の裏にある「また私を求めてほしい」本音は何を意味するのか、Dさんは悟っているようだった。
「……」
Dさんは動かない。
不倫は後ろめたい関係だからこそ、縁を切りたくなれば簡単だし、切られた側は後を追うことはできない。
結婚指輪を外さないといけないほど追い詰められ、その反面別れたいのは夫ではなく不倫相手であり、この矛盾に苦しむのは、一番ほしかった「求められたい自分」がもう与えられない現実を受け入れられないからだ。
振り向いてもらえなくてもそれを堂々と責められないのも依存が加速する原因であり、今が本当に瀬戸際なのだ。
ここで踏みとどまる覚悟を持てればと思う。
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