「こんなの私じゃない」「人と会いたくない」…外見の変化による「生きづらさ」とがん患者の〈アピアランスケア〉
おもな外見の変化とその対応策
●頭髪の脱毛
医療用ウィッグ、医療用帽子(ケア帽子)、スカーフなど
●まつ毛・まゆ毛の脱毛
まつ毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ®」など、メイク、メガネ
●爪障害
ネイルケア、ネイルカラー(急な受診や入院の際、オフできないためジェルネイルは避けた方がベター)、テーピング、ネイルチップ
決して「医療用」と名前のついたもの、「患者専用のもの」を使わなければいけないわけではありません。自分が心地よいものを選んで、少しでも自分らしく社会生活を送っていきましょう。
がん患者向けのアピアランスケアですが、「ヘアロス」かつ「爪に症状の出る」円形脱毛症と重なる点が多くあります。
アピアランスケアのなかでも大きく悩ます「ヘアロス」。髪を失ったときの不安や恐怖。ヘアロスは見た目に大きく影響することから、生きづらさを抱えていたり、周囲に伝えづらいためひとりで悩んでいる人が少なくないのが現状です。
当事者は、社会に適応するために、”普通”に見えるように、変わってしまった外見を隠す努力をしています。アピアランスケアで外見の変化を隠しても、人の目が気になる、心ない言葉を言われるのではと不安なまま過ごすなら、アピアランスケアの意味はありません。アピアランスケアをしても生きづらさを感じるのは、世間の「目」に原因があるのではないでしょうか。
外見が変わってしまっても、ヘアロスでも、当事者も世間も気にすることなく社会生活を過ごすことができるなら、アピアランスケアは必要ないでしょう。そのためには、多様な外見があることを知り、受け入れること。理解できないものを否定しないこと。大切なのは、同情ではなく、理解と共感ではないでしょうか。本来目指すべき社会は、努力をしなくても生きづらさを感じない社会、「自分らしく」不安なく生活ができる社会だと思います。
>>次回から、医療用帽子、医療用ウィッグ、スカーフのアピアランスケアについてお届けします。
【ヘアロス】
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