更年期の肌トラブル「乾燥してかゆい」「シワっぽい」をケアする、7つの成分って?【皮膚科医が解説】
更年期女性のよくある肌トラブルや肌の傾向
皮膚科医の横山先生に、更年期女性のよくある肌トラブルや肌の傾向、特徴を教えていただきました。
●よくある肌トラブル
シミ、シワ、たるみ、乾燥、かゆみ、ピリつき、吹き出物、湿疹、くすみ、赤ら顔、毛穴の開き、詰まり、黒ずみ
「女性ホルモンであるエストロゲンが減少することで、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成量が低下し、水分保持機能も低下します。
角質機能も低下することで、乾燥などの刺激に肌が敏感になったり、角質層から入った雑菌が肌トラブルを起こしやすくなったりします」
●更年期の肌トラブルの特徴
・シミには、長年の紫外線による影響が原因となる老人性色素斑と、女性ホルモンの乱れなど原因とされる肝斑(かんぱん)があり、作られやすい。
・吹き出物は、口の周りなどのフェイスラインに出やすくなる。
・乾燥するとかゆみが出やすくなる。
・肌の弾力が失われると、毛穴が開きやすくなり、毛穴が目立つようになる。
・女性ホルモンの変化で血行が不安定になれば、顔の毛細血管が拡張し赤ら顔になりやすくなる。
更年期女性の肌に向いている成分って?
更年期の40~50代女性の肌に、特に向いている成分にはどんなものがあるのでしょうか。5つを教えていただきました。
●大豆イソフラボン
「不眠や抑うつ、めまい、イライラなどの更年期の不調を改善する効果が期待できます。骨粗しょう症の予防や肌の弾力を改善する効果もあり。女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをします」
●エクオール
「大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌によって代謝されて生み出されるのがエクオールです。イソフラボンよりも強い働きと考えられています」
●ビタミンB1、ビタミンB12
「更年期のストレスを和らげ、自律神経の働きを維持します」
●ビタミンC
「ストレスへの抵抗力を高め、身体を守るはたらきがあります」
●プラセンタ
「更年期障害の治療として厚生労働省から認可を受けた治療法です。プラセンタは胎盤から抽出されたエキスで、ホルモンを調整する内分泌調整作用や、自律神経のバランスを調整する自律神経調整作用などあります」
レチノールとCICAは40~50代の肌に合う?
近年はレチノールやCICA(シカ)などの成分が話題ですよね。コスメも数多く販売されています。でも、安易に利用してかえって肌荒れを起こしてしまうのは避けたいものです。それぞれ40~50代の肌に合うのか教えていただきました。
●CICA
「CICAはツボクサエキスのことです。古くは傷跡の治療に使われていました。肌のバリア機能の強化につながるため、水分保持機能や角質機能は低下したゆらぎやすい更年期の方の肌に効果的と考えられます。
抗炎症効果があるので、吹き出物が出やすい方にも適しているでしょう。年齢とともに減少するコラーゲンの産生の促進にも効果が期待できます。
CICAに含まれるマデカッソ酸とアジア酸には、抗酸化作用と抗菌作用があります。酸化はシミ、シワやたるみといった肌悩みを引き起こす原因になるので、抗酸化という面からも、エイジングケアが期待できる成分です」
●レチノール
「レチノールは、コラーゲンの合成を高め、ハリやツヤをアップさせてくれる成分です。ターンオーバーを正常化し、シワや弾力低下に効果的です。皮脂分泌を抑制する効果もある成分なので、肌荒れやニキビ、開いた毛穴にも効果的です。効果が強い分、敏感肌や揺らぎやすい時期には刺激が強すぎることもあります。
そういったリスクから、レチノール誘導体(酢酸レチノール・パルミチン酸レチノール)や、バクチオールやヒトデエキスなど、リスクを抑えた次世代レチノールも登場してきています」
ここまでの前編記事では更年期女性のよくある肌トラブルや肌の傾向や向いている成分、レチノールとCICAについて皮膚科医の先生に解説いただきました。
後編記事では、化粧品のプロに、発酵コスメは更年期女性の肌に合うのかと、コスメの種類や選び方をうかがい紹介します。
つづき>>>「発酵コスメ」って、40~50代の肌に効果あるの? 種類や選び方の注意点まで【専門家が解説】
【取材協力】
横山 歩依里先生
エルムクリニック麻布院 院長 美容皮膚科医
広島大学医学部医学科卒業。JCHO東京新宿メディカルセンター及び関連病院(国立国際医療研究センター病院、東京山手メディカルセンター)にて勤務。皮膚科・形成外科研修。2022年7月 エルムクリニック麻布院 開院。美容皮膚科学会所属、ジュビダームビスタ認定医、ボトックスビスタ認定医、日本化粧品検定1級。
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