【中受と教育虐待】夫に圧を掛けられ続けた息子に異変…。危機を覚えた妻が「密かに行ったこと」は(前編)

2024.12.04 LIFE

子供の塾の成績で妻を罵倒する夫

Tさんのお子さんは中学受験を目指して、小学校4年生から塾に通い始めました。夫は息子を、自分が通った大学の付属中学校に進学させると決めていました。じつは息子と妻は、地元の中学校に進学することを希望していたのですが、その意見には一切耳を傾けませんでした。

 

夫婦間で教育方針が食い違うことは少なくありませんが、Tさんのケースでは、それが単なる意見の違いではなく、夫が家庭内での力関係を強調するための「支配」の一環となっていました。妻の意見を無視し、自分の考えだけを押し通す…それはモラハラと言えます。

 

息子が通う塾では毎月のクラス分けテストがあり、その成績によってクラスが決まるのですが、夫は息子が1番上の国公立クラスに居られないとTさんに強くあたります。そして、子どもの成績が悪いのは、全部母であるTさんのせいだと責めたてるのです。

 

「なんでお前は子どもの面倒をちゃんと見てないんだ?成績が下がったのは、お前が家で何もしないからだろう!」

 

夫の怒鳴り声は、家中に響き渡ります。息子はびくっと身を縮め、Tさんは泣きそうになるのを必死でこらえました。

そんな生活が続き、息子は成績が悪いとTさんが怒られるというプレッシャーから、テストの日に具合が悪くなるようになってしまいました。

 

どうして子供の成績を妻のせいにするの?モラハラ夫の心理

1. 自分の価値を保ちたい

モラハラ夫は、自分の価値を家庭や子どもの成果に依存する傾向があります。たとえば、子どもの成績が良いと「自分が優れた父親だ」と感じますが、成績が悪いと「自分が否定されている」と受け取り、妻にその責任を押し付けます。

「俺がこんなに頑張って指導しているのに、どうしてお前は子どもをちゃんと見ていないんだ?」
これは、自分の指導力や家庭での役割を正当化したい気持ちの表れです。

 

2. 妻をコントロールしたい

モラハラ夫は家庭内で「自分が上に立ちたい」という欲求がとても強くあります。妻の意見を無視し、自分の考えを押し通すのは、自分の力を誇示し、支配感を得たいからです。特に教育や進学問題に妻の意見を受け入れることが「自分の立場が弱くなる」と感じるので譲歩はできません。

「子どもの教育に関しては俺の言う通りにするべきだ。お前は余計なことを言うな。」
妻の意見を無視することで、自分が妻を支配していると思い込むのです。

 

3. 責任を取りたくない

家庭で問題が起きると、モラハラ夫は自分の非を認めたくないため、責任を妻に転嫁します。これは、自己保身の心理からくる行動と言われます。

 

夫はプライドのために子供の成績にこだわる

“夫は教育熱心なフリをいつもしているが、それは息子への愛情からではない”

ということは、Tさんには分かっていました。夫にとって「子供の成績」は自分のプライドの一部であり、他の方に自慢できるかどうかが重要なのでした。「優秀な子供を持つ立派な父親」と思われたい。そのために、子供には過剰な期待を押し付け、ミスや失敗があれば容赦なく叱りつける。そんなことの繰り返しでした。

 

夫は息子に怒った後は必ずTさんにも怒りをぶつけてきます。家族の中で問題が起これば、それは全て妻のせいなのです。息子の成績が悪いのも、子供が反抗的になるのも、家が少しでも散らかっているのも、「妻が至らないから」と全てTさんのせいになります。

「責任をすべて私に押し付けることで、自分は良い父親だと本気で信じているのです」

 

妻を攻撃するもう一つの理由「支配欲」

モラハラの背景には、「自分が家族の中で一番上でなければならない」「自分の言う通りに家族が動くべきだ」という強い支配欲があります。これは、家庭内での自分の立場を確認し、コントロールすることで安心感を得ようとする心理が働いているからです。

  • 「自分は家族のリーダーであり、間違いがない存在だ」という信念を守るために、問題が起きると「俺は正しい。妻が至らないせいだ」と責任を押し付けます。
  • 妻を責めることで、妻を従属させ、「自分が優位に立っている」という感覚を得ようとします。これにより、自分の不安定な内面を補おうとしているのです。

モラハラ夫にとって、「妻を責めること」は、自己肯定感を保つだけでなく、自分が家庭内での力関係をコントロールしているという実感を得る手段でもあります。

モラハラ夫は、自己中心的で自分の弱さや不安を隠そうとするために、妻や子どもを攻撃的に支配しようとします。しかし、その背景には、自己評価の低さや責任逃れの心理が隠れています。

 

私まで息子に「勉強しなさい」と言うようになってしまい…

夫に怒られるのが怖くて、いつしかTさんまで息子に「勉強しなさい」と言い続けるようになっていました。息子は父親の怒鳴り声を毎日聞かされ、次第に「父親は怖い」「母親は守ってくれない」と逃げ道がなくなっていたようです。

「私が自分が盾になって息子を守らなければ行けいないのに、夫に怒られるのが怖くて息子に無理をさせてしまったのです」

 

精一杯頑張っていた息子は、家庭の中で安心して過ごせる居場所を失い、学校生活にも支障をきたし始めました。

次のページへ▶▶そしてある日、学校からTさんの元に連絡が…。「私が夫に立ち向かわなければ」と母を決意させた出来事とは

 

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