たい たい たい尽くしの世の中を金なし、親なし、家もなしの蔦重が駆け抜ける!彼の始動のきっかけはひとりの女郎の死【NHK大河『べらぼう』#1】
ありがた山の寒がらす
重三郎は警動の頼みを意次に断られたものの、彼から吉原を助けるためのヒントを得ました。

田沼意次(渡辺謙) 重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」1話(1月5日放送)より(C)NHK
意次は吉原の窮状は不逞な岡場所の増大だけでなく、忘八親父たちの取り分の多さ、吉原が成り下がったことも原因ではないかと助言しました。さらに、彼は「では 人を呼ぶ工夫が足りぬのではないか? お前は何かしているのか 客を呼ぶ工夫を」と、重三郎に問いかけます。重三郎は意次のこの言葉によって他者にはたらきかけるばかりで、自分が客を呼ぶためには何もしていなかったことに気づかされます。
いつの時代も、満たされた状況にあっても他人のためにほんのわずかな不利益さえも被りたくない人はいます。このタイプの人たちは食事がありあまるほどあっても、空腹の人に分け与えないでしょう。しかし、人間はこうした人たちばかりではありません。重三郎のように相手への恩を忘れず、世のため人のために駆けまわり、状況を好転させようと奮闘する人も少なからず存在します。だからこそ、この世は捨てたものではないのかもしれません。
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この記事は
アメリカ文学研究/ライター
西田梨紗
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