子どもの財産はどうなる?将来的に子どもが損をする「ダメな財産分与」とは【行政書士が斬る!】

夫は学資保険を「解約する」前提で計算しています。この保険は子どもが15歳時に50万円、18歳時に100万円が支給されるプランです。しかし、返戻金は178万円。これを折半すると楓さんが受け取るのは89万円だけです。しかも、この保険には子どもが怪我や病気をしたときの保障も付与されています。そこで筆者は「解約すると保障もなくなってしまいますよ」とアドバイス。

 

楓さんは「解約じゃなく、私の名前に変えて欲しい」と頼んだのです。保険料を支払うのは契約者です。契約者を夫から楓さんへ変更した場合、それ以降、保険料を支払うのは楓さんです。そこでお楓さんは「どっちにしても、あなたが保険料を払わないで済むことに変わりはないでしょう!」と念押ししたのです。

 

最終的には預貯金と学資保険は財産分与せず。子どものお年玉、祝い金70万円は夫が楓さんに渡す。それ以外の財産の合計は574万円(夫398万円、楓さん176万円)。最終的には夫が楓さんに子どもの財産とは別に111万円を渡すことで決着したのです。

 

ここまで楓さん夫婦が離婚を決断してから、お金の話がまとまるまでを駆け足で見てきました。法務省(令和5年の司法統計年報)によると家庭裁判所の調停、審判で離婚したのは23,035件。

そのうち、財産の分与を行ったのはわずか33%(7,786件)しかいません。そして分与の金額別に見るともっとも多いのは100万円以下で20%(1,575件)、次は200~400万円で14%(1,085件)と続きます。

離婚時、子どもの財産を減らすと習い事、受験、進学などの場面で困るのは子ども自身です。そうならないように子どものため、心を鬼にして戦わなければなりません。

▶▶離婚に「完全に失敗した」妻。息子がもらったお年玉まで夫のものになるなんて

 

 

1 2 3

スポンサーリンク