まさか!?一本の白髪をきっかけに「若さにこだわるのは必ずしも浅ましいことじゃないのかもしれない」と180度考えが変わった理由
アンヌ遙香です。女子アナ時代、若々しさが求められることに反抗心すら抱いていたはずの私が、不覚にも若く見られて浮かれてしまった…そんな「若さ問題」に対する一つの答えを導き出してくれた作品について語る連載の【後編】です。
◀この記事の【前編】を読む◀◀◀こちらから◀◀◀
みんなが恐れてやまない「敵」とは何か?
長塚京三さん演じる渡辺儀助は77歳。フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻に先立たれ、都内の山の手にある実家の日本家屋で暮らしている。鏡のように美しく拭き清められたテーブルで、自作したレバーの焼き鳥とフランス語の文献を肴に晩酌を楽しむような、こだわりが詰まった丁寧な一人暮らし。
残された預金を計算し、人間関係を清算し、捨てきれない欲望と向き合いつつも、いつか来る終わりに向けて慎ましやかに夢と現実の間を生きる元大学教授の清らかな暮らしが描かれるが、ときおりかつての教え子が我が家に遊びに来てほんのりときめいたり、行きつけのバーでは「先生に習いたかった」と可愛らしい女の子に微笑まれて悪い気がしなかったり。
残りの人生をうまくカウントダウンしながら完璧な人生の幕引きを考えていたはずなのに、ある日パソコンの画面に「敵がやってくる」と不穏なメッセージが流れてきて、彼の脳内、心、そして生活そのものが脅かされていきます。
これは現実なのか?妄想なのか?夢なのか?
美しかったはずの毎日がおかしな方向にぐらついていき、迫り来る「敵」に怯え始めます。
この「敵」というのは、何らかのメタファーであるのは確かであるのですが、それが何なのかは実際にご覧になる方一人ひとりに委ねつつ、私は敵はすなわち「死」だろうと感じました。
過酷な現実を目の前に突きつけられると冷静ではいられず、とんでもない恐怖感が彼の生活を覆い尽くします。また、まだまだ元気なつもりでいても、思いもよらず下血したり…と自分の肉体の衰えも知らしめられ、ますます不安感が押し寄せていく、というストーリー。
▶こんなところにまさか!? 最近、自分の老化を肌で感じた出来事が
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