好きでもない男に色を売り続ける女郎に救いはあるのか? そして、吉原大門の外へ出た花魁の将来は【NHK大河『べらぼう』#10】
蔦重と瀬川をつなぐもの
蔦重と瀬川をつなぐものも“夢”でした。蔦重は「青楼美人合姿鏡」を瀬川に渡した後、彼女に夢を語っていました。
「俺は 吉原を 楽しいことばかりのとこにしようと 思ってんだよ。女郎が いい思い出 いっぺえ持って 大門 出てけるとこにしたくてよ」
この夢は蔦重一人の夢ではなく、瀬川にとっての夢でもあります。二人にとっての夢であり、二人をつなぐものです。

瀬川(小芝風花) 蔦重(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」10話(3月9日放送)より(C)NHK
蔦重にとって吉原は大切な場所ですが、瀬川にとっても吉原はホームグラウンドです。瀬川は「青楼美人合姿鏡」のページをめくりながら、悲喜こもごもの日々を思い出していました。瀬川はこの場所で蔦重に出会い、二人で喜怒哀楽を共にしてきました。
また、瀬川の最後の花魁道中を松葉屋の主人たちは娘を見るような目で見守っていましたが、瀬川も彼らにあたたかな思いを少なからず抱いているはずです。瀬川は女郎の苦しみも、周囲の人たちの自分に対するあたたかな思いも知っているからこそ、吉原のために自らの使命を果たすことを決めました。
蔦重は瀬川の身請け後も“馬鹿みてえな昼寝の夢”を見続けることを誓いました。この夢を見続けていれば、瀬川の存在を感じられるから……。
瀬川の最後の花魁道中は彼女の覚悟が感じられ、自らの決断に悔いはなさそうでした。また、未来に立ち向かっているようにも見えました。その姿を見守る蔦重は寂しそうではあったものの、瀬川を見守り、彼女の明るい未来を願っているようでした。

蔦重(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」10話(3月9日放送)より(C)NHK
同じ夢を抱き、手を取り合いつつも、それぞれの道を歩む二人…。他人はこうした二人を不憫に思うかもしれません。しかし、人間には各々に与えられた使命があり、それを果たすのも1つの生き方。また、愛のかたちもさまざまです。
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