祭りの日、人びとの 高揚感やにぎわいは幸せを呼び寄せる。そしてうつせみと新之助は…【NHK大河『べらぼう』#12】

2025.03.25 LIFE

*TOP画像/蔦重(横浜流星) 喜三二(尾美としのり) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)の第12話が3月23日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

大文字屋市兵衛と若木屋与八の雀踊り対決の行方…

江戸っ子について威勢がよく、短気ではあるものの人情深いイメージを抱いている人は多いのではないでしょうか。

 

大文字屋の主人・市兵衛(伊藤淳史)と若木屋の主人・与八(本宮泰風)は、江戸っ子の中の江戸っ子といえそうです。

 

本放送では、今回の祭りの発起人である市兵衛と、その年の惣代(代表)を名乗りだした与八との間で火花が散りました。

 

市兵衛(伊藤淳史) 与八(本宮泰風) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

与八に仕切り役を奪われた市兵衛は「俄の二両に御よう心」と書いた紙を蔦重(横浜流星)に300枚摺らせ、吉原にばら撒き、祭りを潰そうともくろみます。

 

蔦重(横浜流星) 市兵衛(伊藤淳史)大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

怒り心頭の市兵衛をなだめたのは、蔦重の「じゃあ 実力で奪い取りましょう」という一言でした。市兵衛は“惣代”である与八に祭りに参加したいと不満を抱きながらも伝え、本番に向けて準備を進めていきます。

 

俄祭りでは市兵衛が率いる一団が雀踊りを披露した後、与八が率いる一団の雀踊りが始まる予定でした。しかし、与八は市兵衛の一団が踊り終わらないうちに反対側から登場し、この一団の出番を奪おうとします。二人が醸し出す嫌悪な雰囲気にそれぞれのチームの踊り子は抜けていく中、市兵衛と与八だけは踊り続けます。

 

市兵衛(伊藤淳史)大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

与八(本宮泰風) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

二人の盛り上がりはヒートアップしていき、祭りの最終日の前日には褌(ふんどし)一丁の姿で踊るほど。最終日には“褌を取るのではないか”とも囁かれていた二人ですが、まさかの展開を迎えました。市兵衛と与八は笠と扇を交換し合い、二組がともに並んで一つの雀踊りを作り上げたのです。

 

顔を合わせれば睨み合っていた二人ですが、いつからか絆が芽生え、30日間にわたって踊り続けた仲間になりました。同じ気勢で、汗を流した者同士にしか分かり合えないつながりが二人にはあります。

 

蔦重については、二人の男の覇権争いで俄祭りが盛り上がったことも幸いし、『明月余情』の売上を伸ばしていました。祭りの興奮を閉じ込めたこの本は土産としても人気を集めました。

 

『明月余情』 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

さらに、蔦重は平沢様こと、朋誠堂喜三二(尾美としのり)に吉原の案内本をつくる約束を祭りの高揚感の中でとりつけることに成功しました。にぎやかな場所で、自分の気持ちが高まっているときに頼み事をされると頷いてしまうもの。蔦重は人の懐に入り、頼み事をするのにも長けていますね。

 

俄祭りで起きたもう一つの奇跡。うつせみと新之助に突如拓かれた道

喜三二は「祭りは神様が来てるから、常には起こらないことが起こる」と言っていました。

 

祭りの奇跡は若い二人の男女のもとにも訪れました。うつせみ(小野花梨)と新之助(井之脇海)は松の井(久保田紗)の心遣いでチャンスを掴んだのです。

 

うつせみが新之助を見つめながら立ち尽くしていると、松の井は「祭りに 神隠しは付き物でござんす」と伝え、笠を差し出しました。あわせて、「お幸せに」という言葉を贈ります。

 

うつせみ(小野花梨) 新之助(井之脇海) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」12話(3月23日放送)より(C)NHK

 

うつせみと新之助は笠をかぶり、大門に向かって寄り添いながら進んでいきました。二人は明るい未来の光に向かって歩を進めているようにも見えました。

 

新之助もうつせみも花の蕾のようで、若さゆえに生きていくには未熟な部分もあるように見えます。吉原を抜け出し、好きな男と幸せになることを望んだうつせみに社会の厳しさを教え説いたいね(水野美紀)と比べれば、この世の厳しさも人間の恐ろしさもまだまだ分かっていないのかもしれない…。

 

視聴者は若き二人の大門の外の世界での幸せを願うことしかできません。

 

*****

 

吉原は男たちが本気でぶつかり合うことができて、洗練された気遣いをしてくれる女郎もいる街。蔦重も瀬似(小芝風花)もそんな街だからこそ守りたいと思ったのかもしれません。

 

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