悲しいことがあったあなたへ【暮れの酉 幸せに気づくエッセイ♯5】

2025.06.16 LIFE

ときに悲しみは、怒りにかたちを変える

 

傷ついて本当は悲しいのに誰も受け止めてくれないと、悲しみは怒りをまといます。怒りという形でしか悲しめない大人はたくさんいます。僕のところに来て、誰かへの怒りを爆発させるお客さまはめずらしくありません。その姿に重なるのは「痛いよ、つらいよ」と泣いている小さな子どもの姿です。傷ついて悲しいのに誰もわかってくれない。同情してくれない。やさしく抱きしめてくれない。事実かどうかは別にして、そういうふうに思ってしまっている。だから感情を置き換えてしまうんですね。かわいそうと言われるのが嫌で、悲しみを見せられない人もいます。

 

総じて、孤独な人は怒りに走りやすいです。世界への信頼が薄い人と言い換えてもいいかもしれません。たくさん傷ついてきたのでしょう。遠い昔、助けを求めて差し出した手を振り払われた記憶が深い傷になっている人もいるでしょう。すがりついても振り向いてくれなかった背中が頭から離れない人もいるのでしょう。

 

「助けて」と言っても誰も助けてくれないことへの恐れ。助けを求めることに臆病になってしまうと、人は孤独へと向かいます。「助けて」と言うかわりに怒りをぶつけたり、愛情を試すように要求し続けたりして、自ら関係を断ち切るようなことを重ねていく人も少なくないです。怒りは分断を生む暴力なのです。

 

誰かの助けが必要なほど弱いことをさらしてはいけない、弱みを見せてはいけないという思い込みは、あなたを幸せにしていますか?

 

変な言い方かもしれませんが、悲しむ「勇気」を持ってみませんか。少しだけ世界を信じてほしいのです。素直に「悲しい」と表現してみる。身近な人に言いづらければ匿名のSNSでもかまいません。悲しんでいる気持ちを吐露してみてほしいのです。やさしい母親のようにすべてを抱きしめてくれる人は現れないかもしれませんが、同じ痛みを知っている人が共感してくれるかもしれませんし、ただそっといたわってくれる人が現れるかもしれません。僕の叔母は長年飼っていたペットを亡くして悲しみに暮れていたところ、同じペットロスに苦しむ方と出会い、癒やされていったことがあります。そんなふうに悲しみを起点に新しい世界が広がることだってあると思うのです。

 

世のなかにはなんでもポジティブに考えようという風潮がありますが、感情にポジティブもネガティブもないと思っています。すべての感情は幸せになるためのサイン。前に進むためにしっかり悲しまないといけないときもあると思っています。

 

自分のなかにある大切なものに気づくことは、人生を輝かせるきっかけになるはずです。悲しみにふたをせず、存分に悲しんで、心に傷を負った自分をいたわってあげてください。そういう積み重ねが虚勢でもハリボテでもない強さになっていくと思うのです。

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★毎週月曜日18:30配信予定。次回もお楽しみに!

 

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PROFILE:暮れの酉

大阪ミナミの老舗占い館で、18年間人気No.1の座に君臨。古今東西の占術を古典から深く学び、練り上げてオリジナルの「鳳凰数術」を考案。2022年2月初の書籍『暮れの酉の繊細な人のための鳳凰数術占い-名前と生年月日でわかる生きやすくなるための方法』(ヨシモトブックス)を発売。個人鑑定はからファンコミュニティから受け付け中。

 

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