ねえ、どうしてその男に貢ぐのがやめられないの?【不倫の精算 10】

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恋人が家族と幸福に過ごす時間をひたすら耐え、連絡を待ち続ける「不倫女性」。
どうして彼女たちは妻ある男を愛してしまったのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。

恋愛心理をただひたすら傾聴し続けたひろたかおりが迫る、「道ならぬ恋」の背景。

【不倫の精算 10】/これまでの記事はこちら

独身男性に重ねるプレゼント

— その日はとりわけ気温が低く、日中でも太陽が見えずに街の色彩は灰色だった。

待ち合わせに指定されたカフェに行くと、店内の隅に座るJ子さん(38歳)の姿が見えた。いつものようにカジュアルなスポーツウェアに身を包み、足元には大きなバッグが置かれている。

「急に呼び出してごめんね」

飲み物を買ってJ子さんに声をかけると、こちらを振り向いた顔はしっかりメイクされていた。付けまつげに彩られた瞳は濃いシャドウが塗られ、着ているパーカーと同じボルドーだがどうしても似合わない、と今日も思う。

左の薬指に目をやると、結婚指輪がないのもいつも通りだった。夫に対する「失くすのが嫌だから」という言い訳が半分嘘であることは知っているが、こうして見ると「若作りに励むアラフォー」の印象が強い。

「今日もあの人と会うんだけどさ、これを渡そうと思って」

勢い込んで話しながら、J子さんは足元のバッグを開く。中から取り出したのは、新品のスポーツシューズだった。

「この間アウトレットパークに行っててね、あの人に似合いそうだから買ったんだけど、どう思う?」

にこにこと笑顔を向ける姿に後ろ暗さはない。わざわざ「どう思う?」と尋ねるのは、「あの人」が共通の友人であるからだ。彼女は既婚者だが、彼は独身。不倫の関係はここ半年ほど続いていた。

確か先日は同じブランドの靴下を贈っていたはず。それを思い出しながら、「またプレゼント?」とまず返した。

J子さんは頷きながら、

「あの人には似合うものを身に着けて欲しいの」

と言った。

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