吉原におんぶに抱っこだった蔦重も、ついに独り立ち。「生まれや育ちで人の価値は決まらない」”吉原もん”蔦重が日本橋進出にこだわった理由【NHK大河『べらぼう』第23回】
傍観者として口を出すのは簡単だが…
蔦重が日本橋に店を出したいと思ったのには店をもっと大きくしたいという野心だけでなく、多くの人たちの想いがあったからです。蔦重は須原屋の主人・市兵衛(里見浩太朗)と話す中で自分の役割や「耕書堂」と名付けてくれた源内(安田顕)を改めて思い出しました。

蔦重(横浜流星) 須原屋の主人・市兵衛(里見浩太朗) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」23話(6月15日放送)より(C)NHK
さらに、吉原の人間が市中で受ける扱いのひどさを痛感する出来事が…。女郎屋の主人たちは和泉屋の主人への恩義から葬儀に参列したものの、「吉原の人?吉原もんだ」とひそひそと囁かれ、さらには「すみません あちらに お移りいただけませんか」と丁寧に遠ざけられる事態に陥りました。扇屋の主人・宇右衛門(山路和弘)の「よし 行くぜ」の一言で、彼らが外の席に移動し、雨に打たれながら感情を抑えるシーンは切ないものでした。

半左衛門(正名僕蔵)を含む女郎屋の主人 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」23話(6月15日放送)より(C)NHK

蔦重(横浜流星) 女郎屋の主人たち 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」23話(6月15日放送)より(C)NHK
市中の人たちが言うように“吉原もん”は女郎が身体を売って稼いだお金で生計を立てている身分です。しかし、松葉屋の主人・半左衛門(正名僕蔵)が言うように、食べていけず、死ぬしかない女性たちを食べさせています。「じゃあ てめえらは 買う以外 そんな子らに 何かしてやったことがあんのかってよぉ!」という一言にいえるように、多くの人は女郎を憐れんだり、女郎屋の主人を蔑んだりしているものの傍観者にすぎません。女郎屋の主人を批判はするけれど、女郎のために自分が何かをする気はさらさらないのです。
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