どこからが「不倫」ですか?夫はいるけれどまだ恋をしたい【♯婚外恋愛1】
どれだけバッシングされても、決してこの世から消え去らない不倫。
お互い籍を入れないままの恋愛。パートナーが複数存在する恋愛。
恋愛相談家・ひろたかおりが従来の「婚姻」の外にある恋愛と、その心理を傾聴する。
肉体関係はないけれど「彼氏」
— キャリアウーマンらしい、と思う。A子(40歳)は約束の時間に遅れない。いつも10分前にはカフェのテーブルに座り、すでに飲み物を用意して待っていてくれる。
「カフェオレ。砂糖抜き」
にっこりと笑ってこちらにドリンクのカップを差し出すA子は、今日もきっちりとメイクした顔にオレンジのニットを着ていて、綺麗にネイルの施された指には結婚指輪が光っていた。
いつもありがとう、と答えながら彼女の前に座ると、A子はすぐに口調を変えて話し始めた。
「ねぇ、彼がさ、今度ふたりで旅行に行こうよって言うんだけど」
言葉の内容に反して、彼女の表情は曇っていた。「いいじゃないの」と返すと、ちらりと視線を寄越し、
「ちょっと、簡単に言わないでよ。わかってるくせに」
とため息をつく。
「まさか、行った先で寝ちゃうとか?」冗談半分で口にした言葉だったが、それには答えずにA子は
「これ以上仲良くなりたくないんだよね」
と細い声でつぶやいた。
「彼」は、A子と同じく既婚者だった。肉体関係を持たないプラトニックなつながりは、もう半年になろうとしている。
「仲良くなりたくないって……」
カフェオレを一口飲んでから、思わず呆れた声が出た。
「そんなの、思ってるのA子だけなんじゃないの?」
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