
【史実解説あり】女郎にとって身請けは「わずかな希望」。しかし身請け先で幸せになれた女郎ばかりではなかった。誰袖の場合は…【NHK大河『べらぼう』第27回】
【史実解説】誰袖は幕臣・土山宗次郎に身請けされるものの…
史実においても、誰袖は大文字屋を背負う花魁でした。本作では意知との身請け話が出ていましたが、史実では幕臣・土山宗次郎に1200両(花魁の身請けは1000両(約1億円)が相場)で身請けされています。宗次郎は勘定組頭を務めており、田沼意次の右腕でした。また、彼は私生活も華やかで、大田南畝のパトロンでもありました。
宗次郎は誰袖の身請け料のうち500両を買米金から盗んだことが契機となり、破滅の道に進みます。意次が失脚した年に公金横領が発覚。彼は逃亡するものの、逃亡先の武蔵国で捕まり、斬首となりました。宗次郎が公金横領を自らの意思で行い、誰袖は無関係だった可能性もあるものの、宗次郎は誰袖と出会っていなければ違う未来があったかもしれません。そう考えると、誰袖は宗次郎にとってファム・ファタールといえないだろうか…。
二人の結婚生活に関する記録は残されておらず、宗次郎と別れた後の誰袖の生活についても明らかになっていません。
ちなみに、1400両で瀬川を身請けした鳥山検校は愛する女性を身請けしてから約3年で崩壊しました。座頭金の不当利得や過度な奢りの罪科に問われ、入牢、遠島の刑に処せられました。
吉原の頂点に君臨した花魁は国内有数の裕福な男性に身請けされたものの、その後の人生が必ずしも不自由なく幸福に満ちたものではありませんでした。女郎にとって身請けは過酷な暮らしにおけるわずかな希望であったものの、先に身請けされた女郎たちの現実を知ると、その希望さえもかすかなものになりそうです。
▶▶「麻酔無しで針を目に」江戸初期の眼科手術が恐ろしすぎる! 眼病が多い江戸、「眼鏡」はまだまだ高級品。目が悪い人には厳しい時代だった参考資料
松村 邦洋『松村邦洋懲りずに「べらぼう」を語る』 プレジデント社 2024年
吉田浩『決定版 蔦屋重三郎のことがマンガで3時間でマスターできる本』明日香出版社 2024年
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