
『もみ消して冬』で山田涼介が顔芸名優に進化したと思う
テレビドラマは楽しい。私なんてハマって視聴をするようになったのが小学生だからすでに四半世紀は虜になって、ついにはこうしてコラムを書く仕事にまで発展してしまった。でも時代の変遷とともに内容もずいぶん変わってきた。放送禁止用語やネットでの炎上防止など制作するうえで危惧することが増えてきたことが原因で、視聴者側にだいぶ気を遣っているように思う。これはテレビドラマだけではなくて、出版業界も同じなのだけど。
最近、音楽の趣味趣向が「俺、ディープハウス好きで」「デトロイトテクノに夢中」「やっぱJ-POPじゃね」と細分化されてきているようにドラマの内容も選ばれている。
その昔、月9をクラス全員が見ていたような現象はだいぶ減った。ムズキュンラブストーリー、伏線が張られたヒューマンもの……流行もあるけれど、みんなと一緒のものを見るよりは自分の趣味が最優先。これも当たり前なのだけど。
じゃあドラマを観る意味や定義とはなんなんのか。その疑問に応えてくれるような作品が現在放送中の『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系・毎週土曜・22:00〜)だ。気を抜いてニヤニヤ、クスッとしながら見られる”ちょっとくだらない”がいいコメディドラマを紹介したい。
顔面偏差値の高い面々による顔芸にクスリ
”北沢家の3兄弟は全員東大卒、美形、末っ子の秀作(山田涼介)は警視庁勤務、長男の博文(小沢征悦)は心臓外科医、長女の知晶(波留)は弁護士とエリート揃い。ちなみに父親の泰蔵(中村梅雀)は私立高校の学園長と絵に描いたような、華麗なる一族だ。が、父の不倫発覚をはじめ何かと厄介な事件を起こす傾向に。その事件解決を求められるのがパシリ化されている末っ子の秀作。彼が北沢家で大きな顔をできるようになる日は来るのだろうか……”
笑いのツボはいくつもドラマに潜んでいるのだけれど、まず一番に笑ったのが主演の山田涼介(Hey!Say!JUMP)によるオーバーリアクション気味の表情による演技。
彼はジャニーズ内でも美形ぶりから「華やかだ」と賞賛されていて、グループ内でも不動のセンターポジションを誇るようなバリッバリのアイドル。でも彼はその気配をすべて消して、北沢家ではヒエラルキーの低いヘタレ弟役を演じている。喜怒哀楽をまるで舞台演者のように魅せて、目指すはチャップリンというところだろうか。
秀作が感情を変えるたびに「♪ジャジャジャジャーン」と流れる火サスのテーマソングも、顔芸の面白みを増量させている。私の中で「香味ペースト好きの息子」だった男性が一気に、おもしろい俳優に格上げされた。独特な鼻声で語る
「(亡くなった)母さん、元気ですか」
の心の声も素敵。
同じく、イケメンのギャグといえば尾崎光希役の小瀧望さんと山田さんによる「例えばの話」。自分の悩みを他人の悩みに例えて職場の仲間同士で話し合うという設定だ。ギャグと表裏一体のような話を真顔で話す小瀧さん。ちょっとつり上がった眉尻の感じもいい。
思えば彼もジャニーズの一員だし、この作品の脚本家である金子茂樹さんは『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系・2007年)や『世界一難しい恋』(日本テレビ系・2016年)に見られるように、不器用な男性の機微を表現する話が本当に上手なんだよな、としみじみ。
金持ち一族による素っ頓狂な事件解決策に笑う
ドラマはほぼ一話完結。家族が起こす事件を秀作が警察官の国家権力を使って解決しろ、と北沢家の面々から強いられることがメインテーマ。この解決策がどう考えてもおかしい。
父親が撮られた不倫現場の写真は盗んでこいと言われ、上司の飼い犬を逃した兄のためにそっくりの犬を探して代理にさせる。さらに父親が睡眠薬を飲まされたかもしれないという事件を”姉弟で犯人探しを競う”というゲームにしてしまうということも。ちなみに知晶が勝つと
「土下座して(私の)靴なめろよ」
が秀作に与えられた罰。結局、弟の負けだったのだけど世の中への刺激を危惧したのか実際の放送はなかった。山田さんが山村紅葉に襲われるシーン同様、ちょっと見たかったと思った視聴者は私だけではないはず。
こういう凡人では思いつくことのない、変人の領域にある事件解決策がこのドラマのひとつのキモ、だ。秀作は家族のためにこれからいくつ犯罪を犯していくのだろうか……。
他にも波留さんの衣装、執事役の千葉雄大さんの動きがやたら可愛いとか見てほしいポイントはたくさんあるけれど、とりあえずこの前情報だけ入れておけば大丈夫。
今週末の夜、ビールでも飲みながら小ギャグ連発のドラマで息抜きはいかがですか?
(トップ画像・『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』日テレ@公式宣伝部ツイッターよりhttps://twitter.com/nittele_da_bear/status/964790272218497024)
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